私が知る限り、初めて「対艦弾道弾」なるものが、実戦で実艦に命中した。

 Howard Altman 記者による2024-1-15記事「Anti-Ship Ballistic Missile Hits U.S.-Owned Container Ship In Gulf Of Aden」。
    セントコム発表。月曜日、米国のイーグル・バルク・シッピング社が所有し、マーシャル諸島の国旗を掲げていたコンテナ船『M/V Gibraltar Eagle』に、フーシの放った対艦弾道弾が1発、命中した。

 被弾により、船倉が小破した。怪我人無し。船は問題なく航海を続行している。
 『ジブラルタル・イーグル』は全長200mのウルトラマックス・サイズ。
 コンテナ船の頭上からミサイルが降ってきた。場所は、アデン港の95海里南東。

 同じ日のもっと早い時刻の午前2時(現地)にフーシは、別な対艦弾道ミサイルを紅海の南部に向けて放ったのだが、それはうまく飛翔せずにイエメンの陸地に墜落したという。

 フーシの対艦弾道ミサイルは小さなものなので、どこに当たろうが、商船が沈むほどとは思われない。

 また、今回の対艦弾道弾の命中事件の前の日には、フーシは対艦巡航ミサイルも1発発射した。それは米駆逐艦の『ラブーン』を狙ったようだが、F-18が途中で撃墜した。

 ※終末誘導をどうやっているのかが謎。標的がタンカーならば、足は遅いし航路も定まっているから、予想未来点に向けて発射すれば高確率で当たると期待できようが、AISを切っていて脚も速いコンテナ船にどうやって当てた?

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 Defense Express の 2024-1-15記事「How Dangerously Close a Patriot Must be to Shoot Down a russian A-50 Over the Sea of Azov」。
   アゾフ海北部で「A-50」を落としてやったのは、ペトリオットSAMらしい。
 また同じ時刻に別なペトリオットは、ロシア軍が3機しか運用していない「イリューシン22M」空中指揮機を、破片の穴だらけにしてやった。このターボプロップ機は基地までは帰ることができたものの、大修理が必要だ。

 ロシア側は12月に4機の「スホイ34」と1機の「スホイ30」もペトリの長距離射撃で撃墜されているので疑心暗鬼を生じており、《ウクライナ軍はペトリの「PAC-2 GEM-T」を覆面列車に載せて奇襲的に運用しているのだ》というルーモアが飛び交っている。

 ※空対地弾のX-59を発射する任務を帯びた「スホイ34」のパイロットが地上と交信している内容が傍受されていて、このパイロットは味方の「S-300」のレーダー波を感知して回避行動を取ったという。そこから推定されることは、ウクライナ軍はペトリの所在を秘匿するために「S-300」のレーダーを使うようにしているのではないかということ。このようなツギハギの工夫を「フランケンシュタイン」という。

 ※モスクワタイムズによるとロシア政府は人手不足解消のためにケニア人を1万人、呼び寄せるという。

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 The Maritime Executive の2024-1-14記事「Vietnam’s State Shipbuilding Company Faces Bankruptcy」。
  ベトナム国有の造船所。赤字で倒産の瀬戸際だという。

 ※わたしがベトナム戦争中の輸送専用改造自転車の写真を初めて見たのは、90年代かもしくは89年頃に発行された三野正洋氏の著書で、たしかハノイかどこかの戦争博物館で著者みずから撮影したものでした。わたしの記憶ではその媒体は『戦車マガジン』の別冊だったのですけれども、手元に現物は無く、今、ネットで調べてもそれらしい古書にヒットしません。ともかく、それを見て以来ずっと、わたしは、ベトナムの自転車の正体について、できるだけ知りたいと思って来たのです。今年はついにその懸案が実現します。それは1942年~44年頃に日本軍が使うことができた自転車とどこがどう違っているのか、漸く、一般読者向けに説明できると思えるようになりました。版元は並木書房さんの予定ですが、原稿がぜんぶ出来上がったところで、「こんなの売れない」と言われてしまったら、デジタル書籍に仕立て直すでしょう。

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 2024-1-15記事「Germany to Donate Advanced Drones to Philippines」。
   ドイツは比島のコーストガードのためにハイブリッド無人機の「トリニティ F90+」を追加で寄贈する。
 この無人機は2022年にすでに複数、寄贈されている。

 電動の3発機で、ローター軸が90度、傾く。発艦時には3軸のマルチコプターとして垂直に浮揚。高度が確保されたところでローター軸が前傾し、固定翼機として水平飛行する。モーターは、2軸が左右主翼の前縁にあり、もう1軸は、垂直尾翼の上端前縁にある。

 着艦時には、ふたたび3軸のマルチコプターとなる。

 ※前のロスコスモスの長、ロゴジンによると、ザポリッジア戦線の宇軍の無人機の「量」はすごいことになっている。露軍の1つの目標に対して半ダースのドローンが襲ってくるという。全戦線にひっきりなしに「羽音」が響き渡っていると。真冬ながら、さばえなすあきつしまか。

 ※個人用の浅い塹壕で寝ている兵隊が、寝たままの姿勢で、みずからは据銃することなく、対ドローンの「対空射撃」ができるようにする、「ミニ三脚アクチュエーター」があり得るはずだ。そこに小銃のバットストックを咥えさせ、中隊武器庫の銃架のように立てておく。ドローンの羽音を聞いたら、兵隊は仰臥したままで、ゴーグル型視線照準システムを「スティック付きのベネチアンマスク」のように顔面に装着すると、アクチュエーターも起動し、有線を介して、照準線のパララックスが自動補正され、正確な高射銃撃を開始。視線照準システムは、それ自体が「顔面アーマー」となる素材&形状であることが望ましい。また、このスティックをペリスコープとし、塹壕内に居ながらにして小銃による水平の狙撃を「アクチュエータ」に代行せしめ得る「他撮り棒」機能があると尚、好ましい。