ルーマニアの造船所はこのたび、ポルトガル海軍のために「無人機空母」を建造することになった。

 ルーマニアの造船所は、オランダやパキスタンにもフリゲートやコルヴェットを納品してきた。面白いことに、ルーマニア海軍からの受注は過去三十年間、ゼロだという。

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 ロイターの2024-2-9記事「Five facts about Oleksandr Syrskyi, Ukraine’s new army chief」。
   オレクサンドル・シルスキー上級大将は2019からウクライナ陸軍の総司令官だった。木曜日、ザルジニーのあとがまとして、全軍の総司令官に就任した。

 生まれは1965年である。

 1980年代に旧ロシア領からウクライナに引っ越した。
 ソ連軍将校としてモスクワの高級指揮学校に入り1986年卒。砲兵を5年指揮した。
 よってシルスキーの戦術は、基本的にソ連流である。

 2014年からドネツクとルハンスクでロシアの侵略者との戦闘を指揮。2019に全ウクライナ陸軍の指揮を任された。

 2022-2~3月にキーウを守りきったので4月に国家英雄勲章を貰っている。

 2022-7にハルキウ方面での反攻を計画・指揮。かなりの面積を奪い返している。

 2023前半、バフムトの防衛を指揮。相手はワグネル。ほとんど潰滅させた。そこに価値があると本人は主張した。批判者は、バフムトはすでに瓦礫の山なので守る価値は無いと腐していたが。

 シルスキーの信条。いちばん重要なのは兵隊たちの士気だと。ゆえに頻繁に最前線を訪問している。
 西側記者に答えたところでは、睡眠時間は毎日4時間半。リラックスのためにはジムへ行く。
 シルスキーは妻帯者で、息子が2人いる。

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 Tom Balmforth 記者による2024-2-9記事「Ukraine’s popular ‘Iron General’ replaced as war grinds on」。
    大統領ゼレンスキーは、戦場への、新しいアプローチを希求している。そのため古顔のザルジニー総司令官を解職した。木曜日。

 ザルジニーの考え方は、CNNに対して2月1日に本人が語っている。ザルジニーは、大軍である露軍と、小兵力の宇軍が戦うためには、ドローンを筆頭とした先端的な技術的イノベーションだけが恃みになると考えている。

 ザルジニーは、ウクライナが国家総動員体制になっていないことが不満である。もっと徴兵すべきなのに政府がそれをためらっていることが不満である。すでに動員されている将兵は、交替が来ないので疲れ切っているとザルジニーは考えている。

 ザルジニーの軍歴は1990年代にさかのぼる。つまりウクライナがソ連から分離独立した後に、ウクライナ軍に入って将校になった。

 2014年の侵略にさいしては東部国境を守った。

 2023-11にザルジニーは言った。戦況は消耗戦モードに入っており、それはロシア軍にとっておあつらえむきだと。ゼレンスキーは戦線が膠着しているという対外イメージを嫌い、ここから両者間にヒビが入った。

 2022後半、露軍は、ハルキウとヘルソンでの苦戦を経て、塹壕陣地を構築するようになった。これで宇軍の前進を止めた。

 ※まだまだ情報が少ないが、ロイターのこの2本の記事だけから判定すると、前のイギリス首相にそそのかされて南部で機動攻勢をかけようとしたのがザルジニーで、その失敗の責任をしかし自分では取ろうとせず、政府が50万人追加徴兵しないことへもっていこうとしているために、ゼレンスキーが馘を切ったのか。ただし英米とのリエゾンとしてはザルジニーは使えるから、政府は外交ポストを用意するつもりなのか。シルスキーの「砲兵主義」は正しい。ロシア人やウクライナ人にはその流儀がいちばん向いている。英米の軍事アドバイザーはまったくわかってないのである(オースティン長官もわかってない口なので、なんの指導もできなかった)。とは申せシルスキーにも野戦重砲の弾薬が地面からは湧いてこないことが分かってない。分かっていたらとっとと「迫撃砲主義」に切り替えていたはずだ。ここで政治家の「教養」が問われる。ゼレンスキーに軍事史の教養があったら、政治主導でその切り替えのイニシアチブを取れていたはずなのだ。政治家は作戦に口を出す前に補給の世話を焼かねばならない。それを自力でどうしたらいいかわからず、まったく米国におまかせにするしかない無能なのである。だから米議会が紛乱すると、たちまち兵站が窮する。交替しなければならないのは、軍事史の教養がない政治リーダー、お前だ。しかし、ウクライナには、その交替候補者が、ひとりもいないのだ。

 ※雑報によると、ロシア軍はドゥバイからスターリンクを買って、自軍内でも利用しているという。
 ※雑報によると、サウジアラビアはインド製の砲弾を輸入する。

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 AFPの2024-2-8記事「US regulator declares AI-voice robocalls illegal」。
    FCC連邦通信委員会は、他人に似せたAI生成の人工音声は、「電話消費者保護法(TCPA)」違反であるとした。

 これはバイデンの偽声でニューハンプシャーの予備選投票を棄権しろと呼びかけた直近の犯罪を承けたもの。
 TCPAは、無差別にロボットが電話をかけて録音テープでCMする行為を禁じた法令。
 さいきんはシステムが巧妙で、発信者はローカルの誰かのように思わせる。

 ※雑報によると中共のSNS検閲制度はこんどは「きりん」のイメージを禁止するらしい。