小人閑居して不善を為す。

 WAYNE PARRY 記者による2024-3-22記事「What is gambling addiction and how widespread is it in the US?」。
    ミズハラがESPNに語ったところでは、彼は国際サッカー、NBA、NFL、そして大学アメフトに、違法に賭けていた。

 ギャンブル問題全国カウンシルによれば、全米で250万人もの成人が、過剰に賭博にのめりこんでしまっており、それとは別に500万~800万人の、賭博中毒予備軍が存在するという。

 米国では38の州とワシントンDCにおいて、スポーツ・ベッティングは合法だ。
 これにはきっかけがあった。2018年にNJ州でひとつの訴訟があり、これに連邦最高裁が判断を下した。それが基準判例となり、合法賭博の水門が開放された形となったのだ。

 そして今日、スポーツ賭博の8割以上は、オンラインである。端末は、スマホでも、ラップトップでもいい。

 火曜日にNCAA(大学バスケットボール)のトーナメントが開幕した。米国ゲーム協会の試算によれば、米国人たちはこのトーナメントに関する合法賭博に、1年で27億2000万ドルを賭けるであろう。

 米国のメジャープロスポーツ団体は、それぞれの所属選手たちに、ギャンブルを禁止している。違反すれば、罰金や、有期限の出場停止、永久追放などのペナルティが待っている。

 過去の有名なケースとしては、大リーグのスター級打者ピート・ローズが、自分のチームの試合に賭けていてスキャンダルになった。

 今のプロ球団は、毎春に所属選手たちを教育するプログラムを組んでいる。そこでは、安全規則、セキュリティ規則、そしてギャンブルに関する注意がしっかりと教え込まれているはずだ。

 もともと米国のプロスポーツ団体は、スポーツ賭博の合法化に反対していた。2018年時点で4つの州でスポーツ賭博が合法だった。合法州をそれ以上は増やさないように、各リーグも熱心に運動していた。しかし2018判例を境に流れが転じ、その後は球団とギャンブル産業はビジネスパートナーになっている。つまり特定球団や特定リーグには、公式の特定賭け屋が結合している。それはたとえば球場内に賭け屋の広告看板が堂々と出されているからすぐに分かる。いくつかのスタジアムには「スポーツ・ブック」(中がカジノになっているリアルタイム観戦ブース)が堂々と併設されている。

 加州では、あらゆるスポーツ・ベッティングが違法である。
 日本では、競馬などいくつかのギャンブルだけが許認されている。

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 Matt Rybaltowski 記者による2024-3-21記事「Bookie Connected With Ohtani Interpreter Has Been On Feds’ Radar For 5 Years」。
    ラスヴェガスのマット・ボイヤーを、連邦捜査局は5年も監視していたという。

 オークランドAのマイナーリーガーだった、ウェイン・ニクスという男。2001に選手を引退しているが、そやつが2019に「リゾーツ・ワールド・ラスヴェガス」という会社の社長になっており、2023-9に解雇されている。捜査当局がこいつと司法取引をして、ボイヤーについてのいろいろな情報を引き出したようだ。

 ニクスは選手引退直後から顧客開拓に励んでいた。その中にはMLBオールスターに選ばれたヤジエル・ピュイグ、元シカゴブルズのフォワードだったスコティー・ピペン、それからルブロン・ジェイムズのマネジャーも含まれている。

 ボイヤーは複数の国に多数の口座を開設していたらしい。たとえばコスタリカにも。その名義はボイヤーの兄弟にしていたりする。
 賭けた客からはぜったいに直接にはその口座へは行かない。
 かならず中間の集金人が介在している。

 ボイヤーの弁護士は、ダイアン・バースである。バースが『ロサンゼルスタイムズ』紙に答えたところでは、大谷はボイヤーに会ったことはなく、話したこともなく、テキストの送受もなく、いかなる接触もしてない。

 ヴェガスの賭け屋はたいがい、VIP客に対しても、賭けられる上限額を設定している。ふつうその上限は、5万ドルから10万ドルのあいだだ。

 法廷記録によると、ひとりのニクスの客は、2019年のスーパーボウルの賭博で、500万ドルを賭けたという。

 加州はスポーツ賭博を禁じているから、加州の住民は、オフショアの賭場を利用するようになる。

 想像だが、地下の賭け組織の者がミズハラと親密な関係をつくったのだろう。
 ミズハラは「UC-リバーサイド」大学に通っていた。そのキャンパスはオレンジ郡に近いのだが、一帯には地下のポーカールームやカジノがたくさんあるという。

 ミズハラはESPNに語った。2021年にサンディエゴのポーカーゲーム場でボイヤーに会ったと。

 直近の十年、ヴェガスのスポーツベッティング界隈にて、ボイヤーの名を知らぬ者はいないはずだ。

 当局はボイヤーのひとりのアソシエイトの電話を押収している。そのアソシエイトは、「リゾートワールド」社内でボイヤーの「ホスト」をしていたという。

 ある起訴状によるとニクスは、コスタリカにある「サンドアイランドスポーツ」という会社を通じて違法賭博を運営していた。

 ニクスの長年のビジネスパートナーはエドン・カガソフという。彼はコスタリカにコールセンターを立ち上げ、そこでオンラインの賭けを受け付けていた。昨年7月、カガソフは罰金300万ドルと、保護観察6ヵ月を言い渡されている。

 がんらいボイヤーはヴェガスでは「鯨」(巨額の賭け金をすってくれる上客)に数えられていた。最近になって、違法ブックメーカーの側面があることが、知られるようになっている。

 ボイヤーを中軸とする複雑な違法賭博は、当局にとっては、1980年代にギャングのフランク“レフティ”ローゼンタールがヴェガスを去っていらいの、大きな山なのかもしれない。

 1995にデニーロが演じた映画の『カジノ』は、ローゼンタールの話なのである。

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 ?年7月12日記事「Sports Betting and Financial Crime」。
    スポーツ賭博は、国際犯罪組織の「マネーロンダリング」にその仕組みが悪用されやすいがゆえに、米国の連邦司法当局として常に監視対象なのである。

 オッズを操作すれば胴元は確実に大金を儲けられる。その大儲けの中に、みかけ上の大損を混ぜる。他の犯罪で得た収入を、たくみにまぎれこませ、洗浄してしまえる。

 ブックメーカーはさいしょからグルである。彼らも儲けさせてやって、犯罪組織は、違法収益の出所を、どこなのかわからなくすることができる。

 いちどに大金を賭ける行為は当局からトラッキングされやすいが、小口にわけて無数の賭けの中に分散すれば、当局は追いきれるものではない。

 スポーツ賭博は、古代ギリシャにはすでにあった。
 それいらい、ルールが何百年も洗練されてきているが、ひとつだけ、変わらぬことがある。スポーツ賭博は、犯罪者たちの天国なのだ。

 捜査当局は、オッズが操作されていないかを注視している。マネロンの兆候は、特定の試合結果に対する不釣合いに高いオッズとして現れるものだという。

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 2022-5-31記事「How Offshore Operators ―― and Those Who Support Them ―― Break U.S. Law」。
   ベガスのあるネバダ州には合法スポーツ賭博しか存在ができないように米司法当局は努力してきた。
 しかし、オンラインがその努力を無にさせつつある。
 アンティグァ、コスタリカ、ラトヴィア、パナマに賭場が設けられ、米国市民が米国内に居ながらにしてそこでスポーツ賭博できるためだ。それらの賭場の所在地には、スポーツ賭博を取り締まる法律が無い。

 米連邦最高裁は「マーフィ 対 NCAA」の裁判で、スポーツ賭博は合法だという判断を示した。これを承けて、全米の過半の州(35州+DC)で、スポーツ賭博が解禁された。

 合法州でもそれぞれ厳しく州法によってライセンスを定めている。賭け業者がライセンスから逸脱すれば、それがオンラインであろうとも、脱法行為になる。

 すくなくも4つの連邦法が、オンラインを用いて脱ライセンスの賭博ビジネスに関与する行為を犯罪だと定めている。

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 Max Blenkin 記者による2024-3-21記事「Australia says BAE to build fleet of nuclear-powered submarines」。
    豪州政府は木曜日に発表。同国海軍用の原潜は、英国のBAE社が建造する、と。
 その引渡しは2040年代になるであろう。

 英国の造船所からアデレードまで回航してきて、そこで最終艤装する。

 豪州は原潜艦隊の維持のためにあらたに2万人以上の特技系労働者をかきあつめなくてはならない。

 他方で先に米国から出来合いのヴァジニア級×3隻を買わないと豪州海軍はいつまでも訓練を始められないという見積もりがある。
 トランプが大統領に返り咲くと、こうした一切の話がご破算にされる可能性も懸念されている。

 ※ロシアで起きた劇場テロについて、たちまち海外からは「ファルスフラッグ説」が浮上し、SNSをにぎわせている。昔プー之介がチェチェン人のテロを自作自演して対チェチェン戦争のための「動員令」を出すとともにみずからを絶対的な国内統制権力者になりあがらせた成功体験の二番~三番煎じというわけだ。4人の襲撃者が全員あっさりと逃亡できているのは、彼らがFSBのようなプロ機関員だからという仮説と矛盾しない。対宇戦争のための追加の数十万人規模の徴兵が、モスクワの青年層にはウケがよいわけがないので、その反発をあらかじめ封じてやるために、わざと、若いやつらが反政府的な意見交換をしているであろうコンサート会場を襲撃させるという演出か。