露軍は追加で30万人を充員召集して、ハリコフを攻めたいのだという。

 Defense Express の2024-3-23記事「Ukraine Keeps Attacking russian Oil Refineries: Kuybyshevsky Oil Plant on Fire After Alleged Drone Strike」。
    3月23日深夜、ロシア領内サマラ州にあるクィビシェフスキー精油工場に複数機の無人特攻機が突っ込み、複数の爆発が起き、火災に。

 この工場と、最寄のウクライナ領土とのあいだは900km離れている。無人機は直線コースを飛んだとは考えられないので1000km以上飛べる型なのであろう。

 長距離の無人機攻撃を計画するときは、敵のSAM陣地の位置を見極めて、そこを避けるようにする。ゆえに直線コースを飛ぶことは決してないのだ。

 今回やられた精油所は、年産700万トンの原油を処理できた。2012年から2015年にかけて、104億ルーブル(2012年レートで3億3500万ドル)を投じて近代化改修したところである。それが炎上した。

 使われたUAVは「Liutyi」ではないかという。国営の「ウクライナ防衛工業JSC」という企業体が製造しており、航続距離は1000km以上ある。※基本レイアウトは「バイラクタルTB2」と相似。縮尺模型の写真だけが公表されている。

 この攻撃の直前に英紙『フィナンシャルタイムズ』が、匿名の米高官がウクライナ政府に対して《国際油価が高くなるから精油所攻撃は止めてくれ》と要請したという記事を載せている。※それじたい、精油所所在地の防空部隊を油断させるためのディスインフォメーション作戦であった可能性が高いだろうと思う。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-3-21記事「Russian FAB-500 bomb fell at 10:30am but detonated at 3:00pm」。
   露軍は、「FAB-500」改造の滑空爆弾の信管に、5時間遅延信管をとりつけてきた。
 10時半に着弾したものが、轟爆したのが15時だったので。

 ※露空軍は「FAB-3000」という3トン爆弾の滑空爆弾化も進めているところだという。在庫品ではなく、目下、しゃかりきに量産させているのだという。これが爆発するとブラストの影響は半径900mに及ぶそうだ。さてそこで提案だ。ロクな空軍機をもっていない宇軍には同じことはできないのか? できる。パラグライダーに3トン爆弾を吊るし、最も安価に――おそらく3Dプリンターによっても――量産が可能な「パルスジェット」のエンジンをとりつけて、モーターパラグライダーとして、近距離の敵地を攻撃させることが。リリース方式は、輸送用のヘリコプターから落とすのが合理的だろう。攻撃対象は、鉄道とパイプラインと送電鉄塔と橋。AIの画像識別チップを組み込んでおけば、リモコンの必要もない。

 ※砲弾は簡単に増産できないが、爆弾は質を落とせばいくらでも簡単に増産できる。今から2年するとNATOの砲弾製造能力がロシアを圧倒してしまう。だからロシアの軍需工業は、砲弾ではなく「滑空爆弾」に注力するように指導されているところなのだと思う。アウディウカでは1日に80発の滑空爆弾が飛んできて、地上の建物はすべてサラ地になったという。この、「空爆によるサラ地化」こそは、露軍がシリアでず~っとやってきた常套戦法だ。

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 Povilas M.記者による2024-3-23記事「The Growing Popularity of ‘Dragon’s Teeth’ ―― Do They Work?」。
    WWII中のジークフリート線に打設された「竜の歯」にくらべると、今日のウクライナ戦線で見られる「竜の歯」はずいぶんチャチい置き物だが、兵隊たちはこれをますます気に入っている。効果はあるらしい。

 AFVは、ゆっくり前進すれば、「竜の歯」を押しのけて、障害線を越えられる。しかし、最高速力では超越はできない。そこに意味がある。

 こいつは急設できる。トラックの荷台に積んで運んでくればいいだけだ。
 それを、地雷原や、他の障害壕や、対戦車火器陣地と組み合わせるのだ。

 ポーランドとバルト三国も、すでに、露領と接する国境線に「竜の歯」を並べている。

 ※ポーランド国内で量産されているクラスター弾頭を、ウクライナ軍の多連装ロケット弾に装着するという計画が進んでいるらしい。