靴の接着剤は最も強靭なものを使っているはずなのに、温度×湿気で機能が不全に陥る。おそらく元寇のときにモンゴル軍の「合成弓」の膠に起きたのがこの現象だったのだと思う。

 和弓のスタイルには、理由があったのだ。

 次。
 Eva Dou 記者による2024-4-11記事「A drone factory in Utah is at the epicenter of anti-China fervor 」。
    ジョージ・メイタス君(26)は、ソルトレイクシティで高校生だったとき、人の肩にとまらせておいて、人が探険するルートを先行偵察してくれるミニドローンを空想していた。
 17歳にして彼は「Teal ドローンズ」社を起業。ティールというのは、急速に増やすアヒルの子のイメージだ。

 強敵は中共のDJIだった。とにかくその製品の値段は、米国内で製造したなら、ありえない安さであった。

 メイタス君は、一般消費者向けの市場でDJIと競っても生き残れないと判断し、国防総省や警察、税関向けのISRドローンに、自社製品のキャラクターを明確に絞った。
 特に、夜間の視察能力を「売り」にできるように考えた。

 今次ウクライナ戦争ですべてがハッキリした。スモール・ドローンは、バトル・ツールとしての価値を証明した。

 特に片道特攻機。ペンタゴンもこれを見て、「レプリケイター」路線を推進する肚を括った。数百万機のオーダーのドローンの「数」によって中共軍を圧倒しようという最新戦略だ。

 この「レプリケーター」イニシアチブが明確に提示されたことで、米国内の弱小ドローン・メーカーたちには、急に未来の経営展望が開けた。対DoDの商売では、DJI社などはとうぜん排除されるから、もはや誰も、中共との価格競争を強いらることはない。米国内の製造コストの相場を前提した上で、米軍に売り込みをかける、まっとうな勝負ができるのだ。

 Teal Drones社は2021年に「レッド・キャット・ホールディングズ」が買収している。オーナーは、ジェフ・トンプソンだ。

 メイタスがティール社を興したのは2015年だった。当時、ドローンはブームだった。WP紙の現オーナーであるジェフ・ベソスも、2017年から小荷物をドローンで配送するとの野心を語っていたものだ。

 ところが2016にDJI社は、自重1.6ポンドでポケットに入るサイズ(3.3×7.8インチ)の「Mavic Pro」を999ドルで北米発売した。これと価格や機能を競おうとした米国内の中小ドローンメーカー(たとえばSkydioなど)は、軒並み、打ちのめされた。

 もし2018年にペンタゴンが米軍内でのDJI運用を禁止しなかったら、ティールもスカイディオ社も、皆、潰れていただろう。

 スカイディオ社は2023年にきっぱりと、一般消費者向けの製品部門を閉鎖している。これからは「官」だけを相手にするのだ。
 ティール社は、暗視能力、全天候能力、対電波妨害能力をドローンに附加すれば、高くても米軍はそれを買ってくれるので、助かっている。

 それでも、ティール社の今の従業員は100人弱。DJI社の1万4000人といわれる中国工場(もちろん大量の製造ロボットもあり)とは規模が比較にならない。

 しかし、ソルトレークシティ北部で、原野遭難者の救助隊にドローンで協力している人にいわせると、森林内で迷子を捜索するといったミッションにかぎっても、いまもって、DJI製品が最も優秀であり、米国内メーカーとの格差はいまだに「数年」はあるというのが実感だそうだ。

 DJI製品の使用が許可されていたならば、命を救えた遭難死者がいた、と、この人は明言する。

 DJIの3万ドルする最高性能ドローンを使えば、地平線のあたりまでビデオカメラをズームして、サーマルイメージによって、人の所在だけを背景から浮かび上がらせることができるのだという。

 ユタ州は法律によってDJI製品を禁じているわけではない。そこが救いである。

 マイアミ警察のある部隊。カリフォルニアで製造されたスカイディオのドローンは1機が2万5000ドル。それに対しDJI製は、1500ドルから3000ドルだという。

 フロリダ州は州法によって中共製のドローンを官公署が使うことを禁じている。

 中共製ドローンは、屋内を探索させているときにも、無線交信が切れないという。それに対して米国製のドローンは、屋内に入れるとすぐに無線のリンクが切れてしまい、そこで機材がロストする。

 レッドキャットは、ティールに加えて、一時、2つのドローン系のスタートアップを保有したものの、今はそれは手放した。2社とも、中共から部品を仕入れて値段を安くする路線のメーカーだったので。そんな腐れ縁があると、ティールを「官」に売り込むときに、障碍となってしまうのだ。

 ※近刊の『自転車で勝てた戦争があった』は、今、アマゾンで注文されますと、おそらく速い人で5月の5日には、書籍を手にできるのではないかと思います。都内書店への配本は、5月10日ですので、早ければ即日に店頭に現物が出るはずです。5月まで待ちきれないという都内の人には、4月下旬に書籍をGetできる特別な道もあるのですが、これは公言できません。超おもしろいので、みんなで買おう!



自転車で勝てた戦争があった