2024-4-29記事「Production of the fuselage of a Ukrainian long-range drone of an unknown model, April 2024. Photo credits: The Wall Street Journal」。
ウクライナ某所にある、UAVのガラス繊維の外皮をつくる地下工場を、外国記者たちに公開したらしい。
WSJ記者が見学できたその工房は、6ヵ月前に、レンジ800kmの片道特攻ドローンを完成したという。5ヵ月前には、その製造拠点は「空きオフィス」であったという。
この小企業主、ハルキウ地方でプラスチック容器の製造業を、もともと営んでいた。しかし露軍の占領地が西漸してきたので、その土地を逃げ出して、避難先の町であらたに、グラスファイバー外皮の軍用UAVをこしらえることにしたという。
74歳の社長は、若干名の技師を雇用した。いずれも、旧ソ連時代に飛行機工場に在職していた者たちだという。
その社長じしん、若い頃、ハリコフ航空機工場の主任技師だったのだ。
今げんざい、工房は75名の従業員を働かせている。
この工房では、機体(ドンガラ)のみを製造する。エンジンや兵装は、他所で組み付ける。
複合素材外皮は「焼成」の必要があり、その工程には11時間もかかる。ウイングスパンは2mにすぎないのだが……。
もっかのところ、1日に1機分か2機分しか、量産はできていない。
終日フル操業とするためには2交代制にせねばならぬ。それにはあと50人雇用したい。焼成炉も1基、増設したい。
この企業では今、並行して、片道1000km飛んで自爆する新無人機の開発も、続けている。
次。
Defense Express の2024-4-30記事「ATACMS Strikes on Crimea Become Systematic: Targets are Air Defenses and Airfields」。
射程300kmのATACMSを手にした宇軍は、なぜかクリミア大橋の破壊は試みずに、むしろクリミア半島内の露軍航空基地の一掃を優先している模様。
4月30日夜には、2箇所の航空基地をATACMSで攻撃した模様。
敵AAを飽和霍乱するために、同期的に特攻UAVも放たれた。
ある外野の分析者いわく。クリミア半島内の「S-400」を一掃するためには、すくなくもあと30発の、後期型ATACMSが必要だと。
重要な事実。ロックマート社がATACMSを開発したそもそもの想定用途は、敵のSAM陣地と航空基地の破壊なのである。まさに、その想定用途で役に立つかどうかの、実験がなされているのである。
※雑報によると、韓国設計の「K9」をトルコでライセンス生産した自走榴弾砲「T-155」を12両、米国が手配してウクライナへ間もなく送るという。射程は40km強。「T-155」はトルコ軍がシリア国境帯で使っている他、ナゴルノカラバフ紛争でもアゼルバイジャン軍が装備し、性能は証明済みだと。
※問題は大砲ではなく砲弾だ。「速く大量生産できる砲弾」というのは無いことがハッキリしたので、これはもう、大型ペットボトルにケミカル素材を充填した「サーモバリック爆弾」で代用させるしかない。それを市販のハンググライダーに吊るし、模型飛行機用のパルスジェットエンジンを取り付けてモーターグライダーに仕立てて夜間に低速で低空を飛ばし、GPSには依拠せずに、INSと「マシンビジョン」を使って適宜のインフラ構造物に対してランダムに突入させる。これから夏になり、現地の地上風の「風向き」は海→内陸向きとなるので、好都合だろう。