かつてKLMの旅客機を撃墜された怨みのあるオランダ人は、いつでもロシアに報復することを躊躇しない。だから、迫力があるわけ。
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Defense Express の2024-6-3記事「How Much Does a Regular Modern Anti-Personnel Hand Grenade Cost Now?」
このほどスペイン国防省は、最新型の手榴弾を4万2500個、発注し、その入札の上限額を公表している。
同省は、納期1年で、最高550万ユーロまで出すとしていた。
スペイン国内で手榴弾を永年製造しているメーカーはひとつしかない。サラゴサ市にある「Instalaza」社である。その手榴弾は「アルハムブラ D/O (M2)」という。
要求仕様によれば、この対人用手榴弾は、総重量400グラム。
樽形の容器の外皮はプラスチック製だが、そのプラスチック皮の中に整然と、径2㎜の鉄球が3500個、層状に封入されている。
樽形の外皮には、この2㎜球の他には、金属が使われていない。したがって、重くて致死的な高速破片は物理的に生じないようにできている。そのかわり、半径10m内では濃密な対人毀害力を確実に発揮し、ほぼ必殺である。
※2㎜の鉄球をいかほど加速しようとも30m(=人力投擲限界)も飛散はしないだろうし、風向きのかんけいで万一飛んだとしても致命傷にはなるまい。したがって、歩兵部隊が突撃のきっかけを作為するための「攻撃用手榴弾」としては好適なわけである。投擲者が見計らった爆発タイミングに膚接して立ち上がり、そのまま突撃前進しても、こっちには破片は来ないと確信ができる。そういう寸法なのだ。しかしこれが、第二次大戦中の米軍型手榴弾(すなわち陸自の現有手榴弾)だと不規則に大きな破片が生じてしまい、それは50m先でも人に致命傷を与え得る速度と重量を持つ。5月30日に北富士演習場で投擲訓練に立ち会っていた陸自隊員が死亡した事故も、報道から想像をすると、爆発点よりも30m後方で、頭を壕から出して見ていたところに、おそらく数万分の1の確率でたまたま重い破片が1個飛来し、それが運わるく頚部動脈を傷つけた。陸幕はこの貴い犠牲を無にすることなく、西欧諸国軍が採用している新型の手榴弾に、すぐにきりかえろ! そして旧式手榴弾は、ウクライナへ送って無人機用の兵装に現地改造してもらうがよい。
さてスペイン軍の新調手榴弾だが、計算すれば1発129.4ユーロ=138ドルだ。
これは入札価格だから、納入契約ではまた違ってくるだろうが、そう大きく変わることもあるまい。
「アルハムブラ」は信管に特長がある。フライオフレバー式のメカニカルフューズ(レバー解放後、4秒遅延)であると同時に、底部の穴に、電気発破のコードをつなげることもできるようになっている。
つまり即興的にブービートラップなどへの転用も自在なわけ。
充填炸薬量は104グラムである。
※ベトナム軍の「2022年型」自転車の、ダウンチューブから垂直に立ち上げてトップチューブを下支えしているようにみえる短いパイプチューブの側面に沿って、2個のボルト穴があいた「取付け金具」も熔接されているのだが、その目的がわかった。この自転車を、負傷兵後送用の「ストレッチャー」に仕立てるときに、T字形の金属支柱を増着しなければならないのだが、そのT字支柱の取付け用の螺子穴なのだ。詳しくは今日以降の「note」で解説するから、そっちを見ていてくれ。(画像検索を手伝っていただいている御方に、ここで感謝を申し上げます。)