こわい番組タイトル。「行列のできる銀行」。

 Anthony J. Constantini 記者による2024-8-30記事「As Europeans are arrested for what they say, how ‘free’ is Europe’s speech?」。
   合衆国と西欧とでは、同じ西側でも、「権利」の焦点が異なっている。米国では個人の自主自由が重視される。典型的なのが、個人の武装権だろう。それに対し、西欧では、集合的な権利が伝統的に重要視されている。たとえば社会保険制度だ。

 近代においてはこれまで両地域ともに「スピーチの自由」が個人にあると認めていた。ところが欧州全域で今、「スピーチの自由」を行使すると、投獄または科料に処されてしまう。

 ドイツでは、高校に警察が押しかけ、16歳の女子高校生を引っ立てて行った。ポピュリスト右翼政党を応援するビデオをTikTokにリポストした嫌疑が、この生徒にはあるからだという。

 オーストリーの女性が警察に逮捕された理由は、10歳未満の少女と結婚した初老のムハンマドはペドフィルだとよばわったからだという。

 またAfD(ドイツのための選択肢)に所属する女性政治家は、移民による輪姦犯罪は、ドイツ市民による輪姦犯罪よりも多数であるという事実を指摘したところ警察に逮捕され、裁判所は罰金刑を言い渡した。裁判所は、彼女が挙げた事実については争わず、その指摘がヘイトをけしかけるから犯罪なのだとした。

 これは何を意味するか?
 じつはヨーロッパには「言論の自由」など、これまで本当にあったためしは無いのである。

 たとえば、ポーランド、ドイツ、スペインでは、法令に、国家指導者を馬鹿にしてはいけない、と書かれていた時代が長い。「民主主義」が全欧に行き渡ったあとも、そうだったのだ。

 そしてWWII後になんと西側の指導者たちは、今次大戦の原因のひとつが「言論の自由」だった、と結論した。ワイマール・ドイツの政府は、反ユダヤ言論や宗教信徒への迫害を禁じていたのに、ナチ党は自由にその主張を広宣することができたじゃないか、というのが、彼らの納得する因果関係なのだ。

 今、ドイツでナチ式敬礼をすると、8万ユーロの罰金である。それはおかしいと声をあげる者は欧州にはいない。
 そこから、線引きが曖昧になるのである。ナチ式敬礼を違法化できるなら、すべてを違法化できる。

 歴史の事実。ヒトラーは、人々の怒りを、うまくまとめたから、政権をとれた。そして握った権力を使い、まず「フリー・スピーチ」を禁止したのだ。その暗黒時代は、まだ続いているのである。

 ※雑報によるとショルツ政権は28人のアフガン流民を本国へ強制送還したものの、ドイツには毎日964人ずつも移民が入り込んでいるから、焼け石に水のパフォーマンスだとの批判ありと。

 次。
 ロイターの2024-8-31記事「Ukraine’s air force commander dismissed after F-16 crash」。
   ゼレンスキーは大統領命令により、ウクライナ空軍司令長官を解任した。

 前日、F-16とパイロットの喪失が公表されている。その事件は月曜に起きていたという。

 ゼレンスキーは理由を述べなかった。

 ウクライナ参謀本部いわく、とりあえず Anatoliy Kryvonozhka 中将が、空軍司令長官を臨時代行する、と。

 月曜日の事故については、そのF-16が、露軍が放った巡航ミサイルと無人特攻機を何機が迎撃し、さらに次の迎撃目標へ向かう途中で起きた、としか、説明されていない。

 次。
 Howard Altman 記者による2024-8-30記事「Zelensky Fires Air Force Commander As Claims Swirl Around Fatal F-16 Loss」。
   木曜日に、宇軍のインサイダーであるマリアナ・ベズーラがSNSに投稿した。いわく、Mes(戦死したパイロットの名)は、味方のペトリオットによって撃墜されたようだと。

 Mes中佐はもともとミグ29のパイロットで、宇軍にはF-16が必要だと度々、TV番組で主張してきた有名人であった。戦死の日付は8月26日。