100機以上のスウォーム・ドローンがモスクワを空襲し、複数のビルが燃えていると。

 Svetlana Shcherbak 記者による2024-8-31記事「Ukrainian Air Force Has for the First Time Shown the Detailed Use of JDAM-ER and Revealed Its Actual Range」。
   ウクライナ空軍の「ミグ29」には、2022末から米国製の「JDAM-ER」を運用するための機体改造が施され、2023-3に、その最初の実戦投弾がなされている。

 このほど公式ビデオが宇軍によって公表され、その取り付け方の詳細が明示された。

 ビデオから、クルスク地方の「Seym」川に架る橋を爆砕したのは、JDAM-ERであったことも判明した。
 このことから、実戦環境下における同兵装の実用的な水平飛翔レンジを、推定できる。

 兵装をリリースした場所は、「Sumy」地区の「Zhary」村の上空だろうと、映像から判断した。そこから橋までは、約40kmだ。
 リリースは低空からのトス爆撃法による。すなわち投弾直前、機体を高速にして急上昇させ、その途中で爆弾を抛り出す。

 このたびのビデオ画像の解析では、リリースの高度までは掴めなかった。

 残る疑問。ロシア製の機体で西側の兵装を運用して精密に当てるためには、特注のプログラミングも必要である。それはどうやっているのか?
 過去、「AGM-88 HARM」をミグ29およびスホイ27から運用させるにさいしては、ソフトウェアの入力端末として「iPad」が役に立っていた。今回も、その便法が使われているかもしれない。

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 ストラテジーペイジ の2024-9-1記事。
   ロシアにとって今、香港が、兵器と弾薬密輸の最重要拠点になっている。

 香港当局は、ロシアの原油タンカーやばら積み貨物船がその正体を誤魔化して香港に密輸品を卸すのに協力している。貨物船は戻り道で中共製の兵器・弾薬を搭載してロシアの港まで戻る。

 これは新しい話ではなく、ずっと下地があるのだ。2004年いらい、在香港の複数の商社は、中共製の武器の密輸出で稼いできた。輸出先は、さまざま。

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 Khaleda Rhman 記者による2024-9-1記事「Is College Still Worth? Many Americans Say No」。
  ダラス市でレストランの店長をしている23歳。この人は大学を1学期だけで中退した。

 今日、4年制大学を卒業するためには、1人の学生は10万ドル以上の借金を抱え込むであろう。それに利子をつけて、数十年もかけてローン返済をしていかなければならないのだ。

 そんな長期の経済的な大負担に見合う、生涯の幸福はあるか? 無い、というのがこの23歳の胸算用であった。
 じっさいまた、1~2年生が受講せねばならない大学の初級授業が、新味を感じさせない内容のものばかりだったという。高校生のうちに勉強してしまった範囲だったという。

 こんなものに時間を使うのだったら、その同じ時間を「労働」に使い、若年にして経験を積んだ方が、もっと自分の市場価格を高められると、この人は直感し、その直感に従ったのだ。

 多くのアメリカ人が、この人と同じ価値判断をするようになっている。

 2021のガラップの意識調査によると、子育て中の親の46%が、じぶんの子どもが高校卒業後にすぐに4年制大学に進学する必要はないと考えている。

 過去十数年、米国では、テクノジー産業が、4年制大卒の肩書きを信用も重視もしなくなった。要するに、産業の最前線が求めているものとは関係のないことを大学が学生に教えていることが多い。「Z世代」もそこに敏感だ。

 2024年に750社にアンケートしたところによれば、18%の企業はいまや、管理職に任用したい若い人材に対して、最初から大卒資格をもはや要求していない。

 他方、労働省の統計によれば、四大卒の労働者は、高卒の労働者よりも、給料が65%多い。また失業率は、高卒が大卒の2倍に近いとも。

 理工医系の大学教育は、学生がかけた費用を、卒後に取り戻す目途が立つ。人文系は、〔法曹大学院コースを行くのでないならば〕然らず、苦しい。これは大学の経営者側も同様で、学生の人気が低くて財務が火の車だと、教育内容も人間重視ではなくなってしまう。人文学部なのに。

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 2024-9-1記事「Ukraine Eyes Billions in Revenue from Controlled Defense Industry Exports」。
   ウクライナ国内の兵器産業は、現況、年に200億ドルの武器弾薬を製造できるキャパシティがある。
 またウクライナ政府は、年に60億ドルの武器弾薬を調達できる予算がある。

 この差額の140億ドルは、将来、輸出が可能である――と、ウクライナの業界団体が皮算用。

 しかし夢と現実のあいだにはギャップがある。国家が、あたらしいテクノロジーに全賭けするのだという決意と方針を示して、必要な資金と労働力をここに一点集中してくれないと、産業キャパシティがリアルの工業生産にはなってくれない。
 民間会社の自社投資では、遅々とした拡大しか期待できない。

 そこで提案する。政府は国産武器の輸出を奨励しなさい。
 そうすれば企業は自社の稼ぎを増やし、その中から技術開発資金の余裕を得るから。

 現状、ウクライナには、私企業による武器輸出を禁ずる法令は存在しないのだが、政府の胸先三寸指導により、それが事実上、できないのだ。

 要するにウクライナ政府は国内の企業に《勤労奉仕》をさせて武器弾薬を無料で造らせて納品させたいと念じているのだ。政府からは資本注入をせずに。

 増税して原資をつくって政府が武器をどしどし発注しどしどし買い上げるというのが戦時では当然なのに、ゼレンスキーは納税者からの反発がおそろしく、その常道を避けるつもりなのである。

 それで、国内企業に無償・無報酬での献納をさせようと安易に考えている。
 そんなヒッピー式・共産主義式の頭で、最先端のハイテク兵器が大量生産できるわけない。まるで経済がわかってないのだ。

 2024-7にウクライナ国防省内の兵器生産委員長は、国内武器メーカーによる輸出が必要だと発言。
 8月12日、政府内に、そのメカニズムを考える作業部会が立ち上がった。

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 Defense Express の2024-9-1記事「Ukrainian Drones Finally Reached Moscow’s Oil Refinery」。
   モスクワ市へ電力を供給している「カシラ発電所」に9月1日の夜、3機の自爆ドローンが突入した。
 この発電所は「Oka」川岸にある。

 また同時に「Tver」地区の「Konakovo」市にある発電所と都市ガス供給ステーションも特攻機にやられた模様。

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 Hydrocarbon Processing News の2024-8-30記事「Russian diesel output set to fall 7.5% m/m to 7 MM tonnes in August」。
   8月のロシアの軽油生産量は、7月より7.5%減った。
 これは宇軍に爆撃された精油工場の修繕が追いつかないためである。

 ロシアではこれから秋の収穫作業ピークを迎える。その農機とトラックを動かすのに軽油は欠かせない。
 この内需を満たすために、軽油の輸出が減らされるはず。おそらく秋の軽油の輸出量は、7月の「五分の一」になるだろう。

 ※こうした統計を解析されるとロシアの弱みがありありとわかってしまうので、ますます石油関連統計の発表をロシア政府は禁ずる傾向にある。