『モスクワ・タイムズ』の2024-9-2記事「Russian Manufacturing Growth Hits 1-Year Low in August」。
月曜日発表の統計値から分かること。ロシアの製造業は、かつてなく成長率が鈍っている。
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2024-9-2記事「Ukrainian drone burns a forest belt with termites」。
ウクライナのまったいらな耕作地帯で、畑の境界線になっている、細長い潅木帯。
ここは敵の兵隊が隠れ潜むところなので、焼き払った方がよい場合がある。
その道具の最新版。
クォッドコプターに、特殊な焼夷剤入りの箱を吊下させる。それをFPV操縦により、グリーンベルト上を低空飛行させつつ、「ふりかけ粉」のように連続的に焼夷剤を滴らせれば、雑木林は下草から丸焼けになってくれる。粉末は、放出の開始時点で既に点火されているようである。落下中において既に燃えている。
SNSに投稿されている動画を見ると、粉末は空中においてすでにオレンジ色の閃光と濃厚な白煙を発している。ここから、焼夷剤の正体はテルミットだろうと見当がつく。「三酸化鉄」粉とアルミ粉のミックスだ。
軍用の普通のテルミット剤は、燃えると摂氏2400度になり、鉄道のレールを溶着できるほどだ。
箱の重量は公表されていないが、数kgというところか。
強力な13インチのマルチコプターなら、ペイロードは8kgある。その荷重状態で水平距離5kmまで進出できる。
宇軍はテルミットを空中から粉末として地表に注ぐ用法を今回、初採用したが、以前から、マルチコプタードローンにテルミット梱包(1kg)を吊るして、遺棄されている露軍のAFVのハッチの中に落としてやり、確実に焼却破壊する技法は、よく使っていた。
※爆風が発生しないので、マルチコプターが巻き添えにならず、重量級のマルチコプターを使い捨てにしないで、何度も反復出動させられる。ちなみに通常のテルミット反応では毒ガスの類は発生しない。白煙を吸っても命にはかかわらない。しかし閃光に紫外線が含まれているため、至近から直視していたら、目は悪くなるであろう。
既知情報によれば、ウクライナ国内で重さ1kgの四角柱形の「テルミット梱包弾」を製造しており、その単価は12ドルくらいだという。同じ重さの爆薬よりもずっと安い。
外形を円柱状にしないのは、敵AFVの天板にヒョイと投げ上げたときに、ころがり落ちないようにと考えているらしい。テルミット反応の高熱は、装甲鈑にも穴をあけてしまう。
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Nishank Motwani 記者による記事「The Danger of AI in War: It Doesn’t Care About Self-Preservation」。
AIをプレイヤーに加えた兵棋演習があちこちで試行され、知見が蓄積されている。AI主導の戦争指揮には、特徴が見られることがわかってきた。人間が采配するウォーゲームよりも、容易にエスカレーションに進む。核戦争の開始にも、ためらいがない。
人間にとって、戦争とは、生き残る意思を賭けたものである。だから、万一の失敗のおそれを無視できず、名プランの実行にも、ためらいがつきまとう。
それと異なり初手から無生物たるコンピュータは、自己の生存には頓着しない。ということは、最大戦果が期待できるならば、大概のリスクを度外視することに雑作が無い。
人間にとって戦争は、我の意思を彼に強制する営為である。コンピュータにとってはそうではない。