日本で「ポケベル」が廃れたのは、犯罪集団が多くないことと関係があっただろう。ただ、これからは分からないぞ。

 SETH J. FRANTZMAN 記者による2024-9-17記事「Hezbollah’s worst nightmare: Chaos in its ranks」。

 ヒズボラは、集団内で規律の確立されているエリートのテロ・グループで、効果が低くて損失の多い、あるいは無目的に見えるテロには、ほとんど関与しない。その成員のリクルート活動も、一粒選りである。

 ヒズボラは1980年代にレバノン内で旗揚げされ、今に至る。
 そのヒズボラを大混乱させる、イスラエルの秘密作戦が17日に発動された。

 ポケット携帯式の電気的な連絡機器である「pager」〔日本のポケベルをイメージすべし〕に、爆発物が製造段階から仕込まれており、それが、イスラエルからの暗号電波コマンドによって、一斉に炸裂したようだ。

 ※日本ではポケベルは廃れ、食堂の呼び出しデバイスにその残影を見るのみだが、海外では仕事人の広域連絡用に高性能品がまだいろいろ売れているようだ。アマゾンでページャー商品を検索して最初に出てくる255ドルの米市場向け製品の場合、液晶に84文字まで表示される。もちろんリチウム電池入り。この電池をちょっと削ってその容量を爆薬に置き換えればいいわけだ。あるいは、ふつうのリチウム電池に見えるが中味の半分が爆薬成分であるような特殊電池をイスラエルは開発したのか?

 偶然、ある男がポケットからページャーを取り出したところ、それが手の中で爆発するシーンが、ビデオに映っているという。
 ※ということは、まずポケベルを鳴らし、所持者が、何の用だろうと思ってそれを手に取ったタイミングで轟爆が起きるように考えているのか。意図的に、敵人の利き手を吹っ飛ばしてやろうという魂胆。

 レバノン内の複数の病院内を撮影した動画がSNSに出回っている。急患たちの多くは手の一部が欠損している。その他にも、足、腹部、顔面に負傷した者、多数。

 片手に重傷を負ったヒズボラ・メンバーは、今後は活動がやりにくい。その手の傷を、みとがめられてしまうだろうから。

 ヒズボラは、直近11ヵ月間のイスラエルとの戦闘で、メンバーをすでに450人ほど、殺されている。もともと少数精鋭集団なので、この損失は、痛い。

 非合法活動集団は、普通のスマホを使ったら当局に簡単に監視・盗聴されてしまい、なにもかもバレバレになるので、仲間内だけで秘密の連絡をしやすいポケベルを配ることが、よくある。生き残っている麻薬ギャングも、そのようにしている。

 ヒズボラは、2005年に、元レバノン首相であったラフィク・ハリリを暗殺した。それがヒズボラの仕業だと特定できたのは、電話の記録が残っていたからであった。これを教訓にして、彼らは大事な相談では電話を使わないようにしたのである。

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 Thomas Newdick, Tyler Rogoway 記者による2024-9-17記事「Hezbollah’s Exploding Pagers Could Be As Monumental A Cyber-Espionage Operation As Stuxnet」。
    駐レバノンのイラン大使、Amani氏が、なぜか、病院にかつぎこまれた。どうやら、ヒズボラと直に連絡するためのポケベルを所持しており、それが爆発した模様だ。
 ヒズボラのバックには国家としてのイランがあったことを、端的に、世界に示してしまった。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-9-17記事「Novaya Zemlya test site is ready for a nuclear explosion」。
   ノバヤゼムリャ島の核実験場の管理責任者が、水爆実験の準備ができた、と声明している。
 前回の実爆実験は、1990年10月24日だったが、またやる気らしい。