ストラテジーペイジの2024-11-24記事。
1年以上前からウクライナ軍は、ロシアの海外工作部隊のひとつ「アフリカ・コープス」の活動を妨害するために、現地アフリカの政府軍や、反露の対抗勢力ゲリラに協力をしている。
さいきん、盛り上がっているのは、マリである。「アフリカ・コープス」は軍事政権に協力し、金鉱の利権を確保しようとしている。ウクライナ軍は、同国内の反政府勢力(トゥアレグ族)に加勢している。
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Chiang Ming-yen and Wu Kuan-hsien 記者による2024-11-20記事「China could become world’s largest producer of PCBs in 2024」。
PCB=プリントされた回路基板 の国別製造数において、ついに2024年、中共が台湾を抜き、世界最大の製造国に躍り出た。
すなわち中共は昨年よりも製造数を16.6%増やし、世界のプリント基板のシェアの32.8%を占める。
背景。中共製の電気自動車は、その製造数において世界の6割に達している。
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Sebastien Roblin 記者による2024-11-19記事「Russian Jamming Is a Real Threat to Military Aircraft—But America’s New Quantum Tech Can Defeat It」。
グーグルの系列の「SandboxAQ」社はこのたび、発表した。
地磁気の違いを利用することで、GPSに依拠しないナビゲーションが可能。
「AQNav」と称する装置。その中核は量子センサーである。
C-17Aを用いた昨年のテストにより、これは敵の妨害を受けないということが確かめられているという。
他にも3機種に搭載して200時間以上、すでにテストしている。
悪天候もまったく影響しないと分かった。
地球そのものが発している地磁気に妨害をかけようとしても、簡単にできるものじゃない。原発級の巨大なエネルギーを集中すれば局所の攪乱はできるかもしれないが、こっちは移動する飛行機だから、すぐにそのスポットを抜けてしまう。したがって、敵が妨害するために用意しなければならぬコストと、それによって得られそうな戦術効果が、見合わない。
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Defense Express の2024-11-24記事「First Drone is the “Hooligan”: Insights on Magura V5 Tactics and Specifications From Commander 13th」。
ウクライナ軍の無人爆装特攻艇「マグラV5」にいちばんくわしいのが「第13部」と呼ばれる特任部隊。同部隊は、宇軍の国防情報局の隷下。
Jenny Klochko 氏による長いインタビューでわかったこと。艇の全長は5.5mである。
航続距離は800kmである。それだけあれば、黒海の8割以上をカバーできる。
炸薬は、標準量が250kg。これを320kgまで増量しても、航続力とは両立するし、他の搭載機材へのしわ寄せもないという。
「マグラ」と「SeaBaby」は別物である。宇軍は、複数種類の無人ボートを開発してきたのだ。
特攻ボート戦術でいちばん大事なこと。複数艇で攻撃させるのだが、まず先頭の1艇が、敵艦のどこでもいいから、早く衝突して爆発すること。
とにかく、この爆発によって、敵艦内には大混乱が起こり、もはや冷静な対処行動は、それ以降は不可能になるのである。
その混乱に乗じて、こっちは落ち着いて、第2艇、第3艇を、敵艦の弱点や急所を狙って、ぶつけることができる。後続艇の仕事によって、敵艦には回復至難の損傷が与えられる。けっして第1艇で沈めてやろうなどと思ってはいけない。
第13部の指揮官は言った。第1艇のことは「フーリガン」と呼ぶ。大騒ぎを起こすことがその使命なのだ。
「マグラV5」の単価は、もし輸出するなら23万ドルになる。しかし宇軍への納入は、それより低い値段でなされているという。
ちなみにロシア軍は、鹵獲した「マグラV5」を調査して、その電子機材類の部品代の積算から、単価は25万ドルだ、と試算していた。
この鹵獲されたモデルは初期型で、今ではハードもソフトも変わっているという。
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RFE/RL’s Radio Azadi の2024-11-24記事「Freight Train Arrives In Afghanistan From China As Beijing Looks To Increase Ties」。
中国製の商品を満載した貨物列車が、23日にアフガニスタンのマザレシャリフ駅に到着。
この列車は、カザフスタン~ウズベキスタンを通過してきた。始発から22日がかりだったという。
タリバンによると、55個のコンテナが到着した。
この列車が戻るときには、コンテナには、アフガニスタンの産品が積まれるはず。それは中共まで行く。
じつは中共はタリバン政府を、アフガニスタンの正式な政権としては承認していない。しかし一帯一路の一環として、関係強化を図る。
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Maryan Kushnir and Serhiy Nuzhnenko 記者による2024-11-24記事「The Life, And Nail-Biting Work, Of A Ukrainian Sapper」。
バフムトの近く。ウクライナ軍の工兵隊員に密着取材した。
2022-3入隊だから、もうベテランだ。
それ以前には、石工として、ポルトガルで稼いでいた。ポルトガルは欧州の中では未開地域で、なんと文盲が今なお存在するのである。
それは、俸給を受領するときにバッテンしか書かない労務者がいることで、気づかされた。
対露戦線へは、2022-7に出た。初陣だ。
戦争映画と実戦の違うところは、状況が瞬時に変転して行くこと。だから、「じゅうぶんな準備」なんてものは、絶対にできっこないのだ。
ミッションのさなかには、さほど恐ろしさはつのらない。深夜、ひと仕事が終わったあと、エバキュエーション・ポイントに集合して、しずかに味方のトラックを待っている未明のときに、おののきが訪れる。
負傷した戦友が隣に転がっているのに、露軍と戦闘中のため、それをどうしてやることもできない。これがいちばんキツい。前線では、彼らは家族も同然だからだ。
不発の状態であちこちに墜落している、敵味方のFPVドローン。ここから、機材を安全に回収するという、厄介な仕事もある。
素人は、墜落している不発ドローンに近づいてはいけない。敵はそれをリモコンで起爆させることもできるからだ。しかし、ベテラン兵は、安全な墜落機を見分けることができる。
まず、メインバッテリーから延びる線を外してしまう。次に、起爆用の電気雷管を探す。そして装薬から雷管を慎重に引き離す。
別な電池がみつかることもある。それも除去しなくてはいけない。
うまくやれば、その機体は味方が再利用できる。
爆薬は、塹壕から30m離れた穴の中で、別な爆薬によって殉爆させて処理する。30m離れていても、衝撃波で胸が潰される感じがする。
対戦車地雷の処理はもっとたいへんだ。しばしば露兵は、地雷の下にもう1個、対人地雷を置き、対戦車地雷が持ち上げられたときに轟爆するようにセットしてある。
このような仕掛けが疑われるときは、長いロープを対戦車地雷にひっかけて、遠くからそれを引っ張る。
戦場ではおかしな作戦が工夫される。あるウクライナ兵は、民家の電池式ドアチャイムを持ってきて、自陣の塹壕近くの立ち木から吊るし、そのボタンを押せば、近くの爆薬に点火されるようにしておいた。
露軍が前進し、こっちは退却した。しばらくすると、露兵はドアベルのボタンを押したらしく、大爆発が起きた。
やばいと思った瞬間。露軍が空からバラ撒く「POM-3」地雷だ。こいつは着地すると震動センサーの「糸」を八方に散開させて、誰かが近づくのを待つ。人の足音が十分に接近すると、飛び上がって轟爆する仕掛けになっている。
これを発見したきっかけは、野原に落ちていた小型のパラシュートだ。
ただ、それを発見するくらいに味方部隊が近づいたとすると、もう誰かがその地雷にやられていてもおかしくはない。
そのときは、地雷の電池が消耗していたので、われわれは助かったのであった。
「POM-3」は、電池が切れる前に自爆して消滅するという建前だが、そうなっていなかった。そこで、十分に離れたところから自動小銃の弾丸を撃ち込んで破壊した。そいつは、轟爆することなく、ただ、バラバラになった。
「POM-3」のコンテナが散乱している野原もあった。われわれはそこで、墜落した高価なドローンの回収を命じられていたのだが、指揮官が無線で、対人地雷が濃密に撒かれていることを報告すると、そのミッションは中止になった。