2024年の1年間、露軍はウクライナの発送電施設に向けて1712発のミサイルと無人自爆機とを配分した。

 John Vandiver 記者による2024-12-30記事「US military presence in Somalia likely to be scrutinized by incoming Trump administration」。
   第一期トランプ政権は、ソマリアからの米軍撤収に着手した。が、果たせなかった。
 第二期では、ソマリアどころか、全アフリカからの米軍撤収が始まる可能性がある。

 アフリカコマンド の司令部はシュツットガルトに置かれている。
 ソマリアには米兵数百人がいて、「アルシャバブ」に対抗する勢力を訓練してやっている。
 今、アフリコムが期待をかけているのは「Danab」という武装集団だ。

 バイデンは2022にソマリア駐留軍を「常駐」から「ローテーション」にきりかえたが、これを当時のアフリコム司令官のタウンセンド大将は、敵を利するとして批判している。

 マーク・エスパーの回想記によれば、トランプはアフリコムの仕事全般を評価していなかった。軍人であれ外交官であれ、アフリカに人を割くのが無駄だという考え。第二期ではその信念を実行するだろう。

 第二期トランプ政権は、軍事資源を「対支」に集中する。他方面からは、引き揚げてしまう。
 この指針を理論づける男が、ペンタゴンの高官に登用されるエルブリッヂ・コルビー。彼によると今の米軍は世界の各所に薄く展開されすぎている。もっと太平洋だけに先鋭的に集中すべきだと。

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 Matthew Shoemaker 記者による2024-12-28記事「America’s case for Greenland. It’s key to US national security in the Arctic」。
    1951年に「グリーンランド防衛合意」が結ばれている。
 その「アーティクル II」では、米国はグリーンランドのどこでも軍事施設を建設できるとした。今の「Pituffik」宇宙基地――旧名「Thule」空軍基地は、この条項に基づいている。

 有事もしくは危機切迫時には、グリーンランドにいる米軍指揮官が実質、命令を出し、領有権をもっているデンマークの役人や軍人は、その補助に回る(作戦の決定権が無い)。

 陸上のみならず海空の接続エリアにおいても米軍は自由に移動でき、それをデンマーク政府から控制されない。

 米軍はグリーンランドの上にインフラ投資ができる。それに関してデンマークへは1セントも補償はしない。

 この1951条約をもっと強化しようというのがトランプの考えだろう。
 強い関心事は、地下資源開発。レアアースの中共寡占に対抗できるかもしれない。

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 Ari Heistein 記者による2024-12-25記事「How the Houthis turned their weaknesses into strengths」。
  フーシが支配しているイエメンの人口は2000万人である。
 1990年代に、フサイン・アルフーシという男が率いる「ハック党」というのがあり、それは選挙では1%未満の支持しかあつめ得なかったが、2006~2010の「サーダ戦争」と呼ばれる内戦で、武装勢力としてのしあがった。
 このときに、今日の軍閥の重鎮格の幹部連が、鍛えられて、成長したわけだ。

 2006より以前からイエメンはアラブの中でも最貧地域だった。ゆえに政府は、ゲリラ討伐のための予算をロクに組めない。人民の飢餓救済にぜんぶ予算を使うしかなかった。おかげでフーシのような反政府ゲリラが長期的に維持され、成長すらできたのである。

 この極貧と、サウジがイエメンに仕掛けた戦争を理由に、世界がイエメンに莫大な援助を注いだ。フーシはその中間で組織的にピンハネして肥え太り、戦力を拡充できた。フーシには、中間搾取のためのフロント企業を設立する知恵もあった。

 もし特定の住民が、フーシ流の小学校での偏向思想授業、フーシ流の少年軍事教練招集に協力しないと言った場合、フーシは、海外からの援助物資がその一家には渡らないよう、操作をすることができた。極貧のイエメンでは、海外援助物資を受け取ることができなければ、誰であれ、餓死の他はない。

 フーシの拠点がイスラエルと離れていることも、フーシの長期伸長には、有利であった。
 イランはフーシに長距離攻撃火力を与えた。これが他の地域だったならば、西側の重大関心事になったところだろうが、アラビア半島の東の端という、ほとんどどうでもいいような地域であったため、西側はほったらかした。

 2023年にフーシは、パレスチナを応援するという名目で、紅海の入口のバブエルマンデブ海峡で、通航する商船に対する無差別攻撃を開始した。

 フーシの拠点から最寄りの米軍基地は、1000km以上も離れているため、米国も、すぐにフーシ撲滅の軍事行動に乗り出せなかった。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-12-30記事「Stinger MANPADS defeated by Russian glide bombs」。
   2024-3からロシア空軍機は、「D-300」という滑空爆弾を、標的の80km手前から放り出すようになった。
 すなわち、国境線より40km引っ込んだところから、滑空爆弾をリリースしている。リリース高度は1万mだ。

 この爆弾は重さ 500 kg で、全長は3mくらいである。
 着速は、だいたい1000km/時になる。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-12-30記事「SPAAGs vs. Anti-Aircraft FPV Drones: The 93rd Mechanized Brigade’s Innovative Approach to Drone Warfare」。
   あるウクライナ兵の証言。「ZU-23-2」――双連の23ミリ高射機関砲――は、高度900m以下ではよく当たり、稀には高度1600mの無人機を落とせることもある。

 しかし露軍の偵察ドローンがそれ以上の高度でやってくると、対処は難しい。そこで、こっちもドローンを飛ばして、空中で体当たりさせるしかないということになってきた。

 従来、「オルラン-10」などは高度1000m~1500mで飛ばされていたのだが、今や露軍はそれを2500mか、もっと高い高度で運用している。

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 Defense Express の2024-12-30記事「Gamepad Controller Was a Great Idea: German Tests of Tytan, the Interceptor of Shahed Drones Deployed in Ukraine」。
   ドイツで完成した新顔の、対シャヘド用に使える、体当たり型固定翼ドローン。
 「TYTAN」という。

 MTOWは5kgしかないが、ペイロード1kgで、電動双発である。最高速度は250km/時、レンジは15km以上。
 このスピードは300km/時まで伸ばせるという。レンジも20kmにできるという。

 機体構造には3Dプリンターが用いられ、特に胴体は、塑像をつくるように「添加剤」だけで構成されているという。とうぜん、安い。

 機体は専用のコンテナ内に備え付けのミニ・カタパルトを使って、ほとんど垂直に近い角度で射出される。

 コントローラーが手に持つ端末は、「Steam Deck」という市販のポータブル・ゲーム機器のものを流用している。オフザシェルフだから、安い。

 ※2024年の道南近郊温泉ベスト1として、私は「黒松内温泉 ぶなの森」を推薦しておく。ここで満足できない人には何を勧めても無駄だろう。ベスト2は、福島町にある「吉岡温泉 ゆとらぎ館」だ。新築であるのにもかかわらず、他の温泉が人で一杯の時節でも、そのような混雑と無縁であるという立地を、特に買いたい。


(管理人Uより)

 兵頭二十八先生が載っている……。

産経新聞
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