Michael Lind 記者による2025-1-8記事「Trump is starting an oil war How can the US compete with foreign companies?」
トランプは『ドンキホーテ』を読んだらしい。英国政府が北海原油に課す税金を上げるのは間違っており、洋上風力を消滅させよと提案しているからだ。
米国にはテキサスの石油屋に焦点を当てたドラマの系統がある。
まず1956年の単発映画の『ジャイアント』。
それから80年代のソープオペラの『ダラス』。この主人公ユーイングのモデルは、ラリー・ハグマンという実在人物だ。
最新作は『ランドマン』。主演はビリー・ボブ・ソーントン。
米国の5つの州が、2023年の米国の天然ガス生産の70%に貢献している。テキサス州だけで28%だ。二位のペンシルヴェニアと三位のルイジアナを足した量が、このテキサスの産出量と同じくらいになる。
1930年代から1970年代まで、テキサス鉄道委員会が、世界の油価を決めていたようなものだった。
今日、世界の油田の四分の三は、国営石油企業が押さえている。
収益順に、2つの中共企業、サウジのアラムコ、ロスネフト、ブラジルのペトロブラス、インドのLOCL。
これらに米国の巨大企業も、劣後しているわけである。
米国の水圧フラクチャリング技術も、OPEC支配を覆すには至っていない。
OPECの13ヵ国は、世界の油田の8割以上をひきつづいて支配している。OPECは世界の原油の4割を生産。世界の石油輸出の6割を占める。
米国政界にとって「The American Petroleum Institute」(石油&ガス業界のロビー)は大きい。このロビーは、トランプがカナダ産とメキシコ産の輸入品に25%の関税をかけようとしているのに反対している。
トランプは、EUに米国産の原油とガスを買わせりゃいいと考えているが、米国メジャー石油企業にとって、何かを増産することも、対外関係も、それほど単純なものではないのである。
トランプは、じつはテキサスの最大の石油企業も、外国の国営石油企業より力が弱いという現実が、分かってないのだ。米国がこれからするべきことは、米国の国営の石油会社を創ることだ。
今、米国内では、日量1330万バレルの原油が掘られている。サウジは1100万バレルだ。サウジは油井が古くなっていて、それを更新するカネがない。(あるいは、市場シェア率後退を忍んででも、意図的に油田を温存して、そのうちにサウド家を長期安泰させる別な産業構造ができることを神頼みしている。)
2008年の米国の産油量は、日量500万バレルだった。二十数社からなる私企業の力で、それをここまでしたのは、偉い。しかし、この先はもう伸ばせない。私企業では、中共国営企業の財力に太刀打ちできないのだ。ロシアが他のOPECから制裁されてもなんとか続いているのも、中共国営石油企業が応援し続けているからだ。
記者にいわせれば、米国石油産業界は「クラシック資本主義」のサンプルであり、これからは、それでは勝負にならない。トランプにはそれが見えてない。
反対コメント。
サウジの産出量ピークは 2016 年で、それは1250万バレル/日だった。以後、逓減し続けている。
これが意味することは、フットワークの重い無能な国営では、すぐに限界が来る。
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Defense Express の2025-1-8記事「Ukraine’s Strike on Kristall Oil Depot Can Leave russian Tu-160s Grounded Without Special Fuel」。
1月8日の夜、ウクライナの長距離特攻機が、「Kombinat Kristall」の燃料貯蔵基地を空襲。
この近くにエンゲルス空軍基地がある。サラトフ州。
所在の「Tu-160」は、燃料が特別である。
Tu-95MS は、T-1, TS, RT というジェット燃料でいい。
しかし Tu-160 は、 T-8V という特別な密度の燃料が必要なのだという。
この特殊燃料ゆえに、ツポレフ160の排気ガスは黄色い。
この「high-density」燃料は、 Angarsk と Orsk の工場でしか製造されていない。
しばらくは、Tu-160は、飛べないであろう。
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Luke Nicastro 記者による2025-1-8記事「The End of Canada?」。
トルドーの前の4人の首相の名前を覚えている、非カナダ人は、いてはりますか?
(正解は、Macdonald, Laurier, King, Mulroney さん)。
つまり、トルドーはまぎれもなく傑出していた。
しかしリベラルのメッキは9年で剝げ落ちた。
なにしろ近年の物価高が酷い。アメリカよりも住宅が高騰してしまった。
移民は大量に入れる。かたや、化石燃料はもう掘るなという。先進国中、国民ひとりあたりの政府債務額の先頭ランナーに躍り出た。
カナダは国土が広すぎるのに人が少なすぎるため、常に強大な外国から庇護してもらう必要があった。初めは王政フランス、次に英帝国、そして今は合衆国。
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Harold Meyerson 記者による2025-1-7記事「Striking Down the Nippon Deal」。
ライバル企業のCleveland-CliffがUSSの買収に反対するのは、ノーマルな資本主義にすぎない。何の問題もない。
日鉄が買収しようとしている工場には「高炉」がある。ミリタリー・グレードの鋼材を製造する。
しかしUSSのアーカンソー工場(そこはノン・ユニオンであり、月給は低いと記事は言う)や、Nucor社には、電気炉があるにすぎない。
※高炉だからミリタリー・グレードになるというわけじゃない。電気炉の方が特殊鋼には向いているだろう。
買収反対の旗手の者いわく。ウチの工場の高炉からの製品が、ニューポートニューズ海軍工廠で、潜水艦や空母になるのだ。高炉でなければその大量注文には応じられぬ。
※この発言は、日鉄側から先手を打って宣伝すべきだったポイントを含んでいる。「わが社の技術を移植すれば、米海軍は今より少ない予算で、今より軽く強靭で高性能な軍艦を、大量に早く建造できるんですよ」と社長みずから米国メディアにプレゼンすべきだった。米陸軍が足りなくて困っている砲弾についても、「わが社の投資でその大量供給面の不安は解消され、台湾は完全に防衛できますよ」とブチ上げるべきだったのだ。日鉄レベルの大会社の社長が、小さいことを担当する専務のような口を利いているようではダメだ。大会社の社長は、米国が中共と雌雄を決する競争中であることを深く認識していますよということを、さりげない発言の端ににおわせなくてはいけない。それが全く観察されない。だったらCFIUSも勘ぐりますよ。《こいつはじつは中共の利益を図るつもりなんじゃないか》とね。だって側近の誰も、対米宣伝戦略の間違いをたしなめなかったわけでしょう。中枢経営幹部に、すでに中共の工作が浸透しているのでは、と疑うのに、それだけで十分だろう。
バイデンは、安全で安定した国家は、活気に満ちた中産階級が保つものだと信じている。そのような中産階級は、ユニオンがつくるとも信じている。だから、ユニオンの側に立つ。日鉄はユニオンが嫌いである。だから排除した。
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ストラテジーペイジの2025-1-8記事。
豪州の「Anduril」社が、対ドローンの新兵器「Roadrunner」を開発.
重さ85㎏。2基のジェットエンジンで 700km/時を出す。
それ以外の詳細は非公表。
すでに米国防総省が500機を40万ドルで購入している。SOCOMが使うという。
ロードランナーは、箱に入れて運搬。
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Value Monika Deveikyt 記者による2025-1-8記事「Why is Trump so concerned about Greenland?」。
1867年にアンドリュー・ジョンソン大統領が、アラスカのついでにグリーンランドも買おうとしたことあり。
トルーマンも1945に、1億ドルで買いましょうとデンマークに申し込んだ。この事実はさいきん、デンマーク政府が秘密解除した。
ロシアや中共がグリーンランドに乗り込んで、そこから米国を攻撃する、というのが、米政府の懸念だ。
また中共がグリーンランドの地下資源をぜんぶ押さえてしまうことも心配されている。
今後、北極海の氷が融けると、北極海の海底資源開発の国際競争が始まる。グリーンランドに米国の拠点があれば、その競争に劣後しないで済む。
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The Maritime Executive の2025-1-7記事「Due to COVID Disruption, Invasive Sea Lampreys Rebound in Great Lakes」。
海棲のヤツメウナギが大問題になっている。五大湖で。
外来種(北大西洋原産)であり、根絶しようとずっと務めてきたが、新コロでひとやすみしたため、また数が増えてしまった。
商業漁業(淡水イワナ資源)に壊滅的な損失を与えるのだという。
カワホトトギス貝(zebra mussel)も、悪名高い。
ヤツメウナギには五大湖に天敵がない。たちまち天下をとった。