Kaif Shaikh 記者による2025-1-28記事「Cold War’s best kept secret: Spy satellite that stayed hidden for 30 years」。
冷戦時代に米国のNRO(国家偵察局)は、「Parcae project」を極秘裡に成功させた。これは人工衛星によって他国の地上から発せられるあらゆる電磁波をモニターし情報収集する衛星である。じつは、この衛星、投入から30年過ぎた今でも、活動しているのである。
初期のELINT衛星は「Poppy計画」と名付けられた。ただし目的のソ連のレーダー波のデータを分析するのに数週間もかかった。
1971年の海軍演習で、こんなのではダメだと理解された。
そこから「Parcae」が始動した。最大の関心事は、ソ連の軍艦が外洋のどこにいても、その電波エミッション(特にレーダー波)から動静を把握できるようにすることだった。
この周回衛星の存在は、軍事通の部外者も、2023-7-1にNROが一枚のスカスカの文書を公表するまで、知らなかったほどに、秘密がよく保たれた。
この衛星を発注したのはDCにあるNRL(海軍研究所)である。
NROは1961年からある。
電波収集衛星の第一号は1960に打ち上げられた「GRAB」である。この秘密は1998まで公表されなかった。
「GRAB」に続いたのが「Poppy」計画だった。1962から始動し、1977まで継続した。3機のモニター衛星を「編隊」フォーメーションのまま、同じ軌道で回す。すると、海上から独特なレーダーを出している敵艦の座標を、三角測量法によって、ただちに絞り込めるようになった。
海上戦争の使い物になるようにするためには、衛星において収集信号を記録してから地上に伝えるのではなく、リアルタイムに収集信号を地上局へリレーできるようにすることが肝要だった。
モニター情報の即時利用の可能性が実験で感得されると、さらなる構想が結実した。それが「Parcae」に他ならない。
最初の打ち上げは1976である。
逐次に改良が重ねられた。その間、「White Cloud」だとか「Classic Wizard」の名で呼ばれたこともある。
「Parcae」系列衛星の公式な引退は2008-5である。
アンテナを精密に海面に向けておくためには、衛星機体を安定させなければならない。この目的で「Parcae」衛星は、先端に「錘り」が付いた長いロッドを突き出すようになった。
初期のミニコンピュータである「SEL-810」と「SEL-86」が搭載されて、途切れることなくデータを処理して渡した。傍受される無数の電磁波の中から、特定のターゲットに関係あるものだけを抽出したのだ。
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Dylan Malyasov 記者による2025-1-28記事「Unique all-terrain vehicles supporting Marine Corps training」。
海兵隊の山岳戦訓練センターがこのほど、積雪地での機動用としてTucker社の「Terra Model 1600 Sno-Cat」を演習に持ち出した。
このメーカーはオレゴン州にある。4輪駆動の大型トラックの各車輪を、おむすび形の無限軌道4本ととりかえたようなスタイル。
山火事で防災出動するときにも使えるんじゃないかという。
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Reuben Johnson 記者による2025-1-29記事「The Ukraine War Could Create an Economic Crisis for Putin」。
ロシア経済の専門家である Anders Aslund が1月14日に分析を公表している。
ゼロ成長なのにインフレだけ昂進するスタグフレーションの到来は確実である。
12月に公定歩合は23%に引き上げられようとしたのだが、オリガルヒ達が大反発した結果、それは21%のままで維持されることになった。
オリガルヒの中でも頭目格は、元KGB中佐で今は巨大軍需コングロマリット「ロステク」の総帥たるセルゲイ・チェメゾフ。今では露軍の兵器弾薬の8割は、ロステク傘下工場が納品しているのである。
チェメゾフは、もし金利が23%になったら、ロステクの兵器は海外へは全く売れなくなる。それはロシア軍需工業全体の破滅を意味すると指摘している。
独立系の調査機関 ROMIR は、2023-9と2024-9の食料品および家庭用洗剤の物価を比べて、ロシアの真のインフレ率は22.1%だと弾き出した。
ロシア金融の専門家、Craig Kennedy が指摘する。2022年半ばからロシア政府は、ロシア国内の銀行に対して、軍需工場に対して低金利で融資をするように強制していると。
このようにしてロシアの軍需産業は4150億ドルを借り出している。それでインフレにならぬわけがない。
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Thomas Newdick 記者による2025-1-29記事「Dozens Of Israeli Patriot Missiles Sent To Ukraine」。
イスラエル軍が持っている、期限切れが近づいた90発のペトリオット・ミサイルが、米国を介してウクライナ軍へ援助される見通しだという。
「PAC-2 GEM-T」である。
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カラ海で、核動力の砕氷船『50 Let Pobedy』 (勝利の50年、というわけのわからぬ船名)の船首寄りの右舷にバラ積み貨物船が衝突した。右舷は小破。
この砕氷船は1993に進水したのだが、ロシア国内の混乱のため2007まで就役できなかった。旧「Arktika」級の最後の2艦のうちの1艦。すでに新「Arktika」級というのが建造されつつある。
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「mil.in.ua」の2025-1-28記事「Magyar Birds Unit Receives Fiber Optic Drone Detectors」。
ウクライナ軍は、視程2km~4kmのモバイル・レーダーを活用し始めた。これによって露軍の有線特攻ドローンをいちはやく探知し、そこに味方のインターセプタードローン(やはりFPV式)を呼び寄せて、体当たりで撃墜してしまう模様が、SNSに投稿されている。
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Sofiia Syngaivska 記者による2025-1-29記事「The Leopard 2A4 Tank of the 33rd Brigade Annihilates russian Convoy (Video)」。
とうとうウクライナ軍版のミヒャエル・ヴィットマンが登場した。レオ2から多目的弾を連射してロシア軍の兵員輸送車を次から次へと屠って行く俯瞰動画がSNSに投稿されている。車両は遺棄されたものではなく、路上を行進中で、1打ごとに死人が出ていることは確実だ。
露軍トラックは発煙装置で雲隠れを図っているのだが、レオ2の照準器を誤魔化せていない様子だ。
※現時点で小学生がとびつきそうな結論。「レオ2とブラドリーを組み合わせて機甲旅団を作れば、最強じゃね?」
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「mil.in.ua」の2025-1-29記事「Steel Eagle ER drone developed in Finland for Ukraine」。
フィンランドの武器メーカー「Insta Group Oy」が、ウクライナ戦争の最新知見を採り入れて、ついに完成した。対露軍歩兵専用のスペシャル自爆ドローン「スチール・イーグルER」。さっそくこれをウクライナ軍へ援助する。
このドローンは、ドーム状の専用「榴霰弾」を吊るしていて、それは、敵兵の頭上20mで爆発させる。
この榴霰弾は、炸裂すると、3000個の鉄片を下向きコーン状に飛散させる。その破片は、直径50mの円内に降り注いで、地上の敵歩兵を薙ぎ倒す。
計算されているところでは、円内の1平米ごとに、1.5個の鉄片が突き刺さる。
操縦は、手持ちのリモコン+FPVゴーグルを使う。目視で、真下に露兵がわだかまっているのを確認してから、起爆コマンドを送るのだ。
爆薬の重量は3.6㎏だという。