「ロシア産LNGへの依存度を下げる準備」を名目とし、4年間もしくはウクライナの原状復帰迄を目途に石炭消費量を増やすと決めても、極左欧州政権からは批難が来ないはずだ。

 Andrew Latham 記者による2025-2-12記事「The Looming Tariff Shock: How Trump’s Tariffs Could Hammer the Canadian Defense Industry」。
  米軍用装備である戦闘機、軍艦、弾薬類のためのさまざまな部品が、カナダの下請けメーカーから納品されている。すなわち米国がむやみにカナダからの輸入品に関税をかけるならば、それは米軍の兵器のサプライチェーン全体に課税するも同然であることが、トランプ氏にはわからないようである。

 1956に米加はDPSA=国防生産シェアリング合意 を締結している。これ以後、米加の軍需産業はシームレスなエコシステムになっているのである。

 潤滑油がまわって快調に作動している機械にとつぜんレンチを投げ入れる暴挙――それが関税に他ならない。それはカナダのみでなく米国の企業群にも大打撃となるのだ。

 たとえばF-35の枢要部品を、カナダの「Magellan Aerospace」社がロックマート社に納品している。
 多くの米軍機の整備や修理を、ノヴァスコシアにある「IMP Aerospace」社が分担している。

 関税は、企業の将来見通し、殊に他企業との関係を予測不能にしてしまい、そこには最高の経営効率は育ちようもなくなる。

 関税は、米国の軍需企業が製造する兵器弾薬のコストを高騰させ、海外市場での競争力を殺ぎ、生産のスピードを低下させるだろう。

 カナダ国内には大した軍需マーケットは存在しない。カナダの軍需メーカーは輸出だけで喰っている。そして2022年の統計で、カナダが輸出した軍需品の輸出先の6割が米国向け。
 トランプ関税が発動されれば、この輸出企業の多くの製品は米国内ではもはや価格競争力がないので、その部品の生産を止め、取引先として欧州とアジアで新規の注文主を開拓することになる。工員が離職し、ラインを片付けたあとになって米国から、また以前の部品を製造して売ってくれと頼まれても、応ずるのはほぼ不可能だ。つまりは米国の国防サプライチェーンが、一挙に弱体化する。

 ジェネラルダイナミクス社のランドシステムズ部門は、「LAV 6.0」装甲車をオンタリオ州で製造している。米空軍と海軍の軍用機シミュレーターのメーカーCAEは、立ち行かなくなるだろう。従業員はレイオフされ、技師の多くは米国に移住して再就職先を探すだろう。

 造船所の「Seaspan Shipyards」社は、米軍御用も承っているが、これからは、納期が大幅に遷延することになるだろう。米海軍の陣容を急速に拡大しようというもっかの計画は、非現実的になるだろう。

 ※イーロン・マスクは、米国の国防費は半分でいいと示唆している。これは実はトランプの本心である可能性がある。かつてジョゼフ・マッカーシーはペンタゴンに攻撃の矛先を向けたとたんに袋叩きされて表舞台から追放されたものだった。トランプ=マスクのコンビがロックマートを怒らせるかどうかが、注目点だと思う。この記事の記者は、そこが分かっている。

 ※先週のある試算によれば、カナダ製とメキシコ製の自動車1台あたり、25%関税のおかげで5790ドル、値上がりするのではないかとのこと。「ベンチマーク」の調べでは、米国が輸入する完成車の22%以上、および、自動車部品の40%は、両国産である。

 次。
 Ashley Roque 記者による2025-2-14記事「Army deploys first Athena-R spy plane to South Korea」。
   米陸軍は、新開発の有人電子偵察機を韓国に試験展開した。
 「Athena-R」は、陸軍・戦域レベル・高高度・遠征軍用・次世代ISR-レーダー」の略である。

 電子器材は「MAG Air」と「L3Harris」製。それを、ボンバルディアの「Global 6500」というビジネスジェットに搭載している。

 ※ピンチはチャンスでもある。日本の輸送機械メーカーは、今こそ「プラット&ウィットニー・カナダ社」を買収できるのではないか。スーパーツカノの「PT-6A-68」エンジンは、1600馬力のターボプロップだぞ。このエンジンがあったなら、日本版の「MQ-9 リーパー」はとっくにできていたのだ。「PW127」というターボプロップなら、2600馬力もあり、往年のスカイレーダー以上だ。