カナダの首相が、国防相に、計画の再考を促している。これは同国国防省が認めた。
カナダは2023-1に、88機を買いましょうと契約している。総額132億米ドル。うち、16機分はすでに前払いされていて、それが来年、納品されるはず。
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APの2025-3-14記事「U.S. and Israel look to Africa for permanent relocation of Palestinians from Gaza」。
米国とイスラエルは、北東アフリカの三ヵ国に、打診中である。ガザから永久に出ていくパレスチナ人移住者を、受け入れてくれるかと。
これはAP通信社の特だね。
相談をもちかけている相手先政府は、スーダン、ソマリア、および、ソマリアから分離したソマリランド。
現状、ガザから移さねばならぬ住民の数は200万にもなるはずである。
スーダンは2020にイスラエルとの国交を正常化している。
同時に米政府は同国をテロ支援国リストから外した。
スーダン政府はゲリラ集団から攻撃されており、米国の支援は欲しいところだが、パレスチナ人の受け入れ話は拒絶する態度だという。
ソマリランドは30年前にソマリアから分離した。人口300万人以上。場所は「アフリカの角」にある。
ただし同国の「独立」は国際社会から承認されていない。
米政府は、同国の指導者に、「国家承認してやるからパレスチナ人を受け入れな」ともちかけている模様。
ソマリアはパレスチナ支持を強く叫んでいる国家のひとつなので、トランプがどうしてソマリアにこの話をもちかけるのか、外野は謎だと思っている。何か秘密の取引提案があるのではないかとの穿ちも……。
※ソマリアの政府要人とその家族に、米国永住権(=いつでも亡命券)をくれてやるよ、ともちかければ、二つ返事でとびついてくるだろう。いつ、反政府勢力に吊るされるかわからない、腐敗した特権階級なのだ。オリガルヒにその待遇を与えているトランプならば、そのくらい何でもないディールだ。この手は、中共の支配階級の子弟優待というカタチでも、応用されるかもしれない。米国内に純金が持ち込まれるのであれば、損な話じゃないからだ。その事前疎開資産たるや、天文学的な総額になる筈。
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John Spencer & Geoffrey Corn 記者による2025-3-15記事「The Battle for Legitimacy in Urban Warfare」。
ガザ地区でなされたような市街戦でこそ、「戦争法規」が意識されねばならない。それは、勝つために大事なことなのだ。
それは、味方部隊に、道徳的な権威を付与する。
外野の誰が見ても、こっちに正義があるらしいと納得させる。
合法的に戦ってこそ、建国の大義も前進するのである。
戦争法規は、大きく三層に分かれている。
「Law of Armed Conflict (LOAC)」は、しばしば「Law of War」と略称される。
これは近代世界の大原則であり、戦時国際法/国際慣習法 の、近代以前からの長い討議を経てきている。
「比例の原則」が、ここに含まれる。戦争の目的は、戦争の手段をかならずしも正当化せぬ、ということ。
※1812の米国とカナダの戦争のおかげで「比例の原則」の重要な実例が記録されることになった。
「Rules of Engagement (ROE)」。これはLOACより小うるさい指導だ。あれをしちゃいけない、これをしちゃいけない、と来る。そのかわり、情況が変われば、ROEもすぐに変わる。対してLOACのほうは、事情の如何にかかわらず、将来も変わることなし。ということはつまり、LOACに反するROEなど、あり得ない――ってこった。
「Civilian Harm Mitigation Measures」。これはことさらに住民の被害に注目してそれを抑制しようとする規制だ。
遠くの司令部において、高空からの爆弾投下を考えるだけでよければ、下界の住民の側杖被害を加減する時間の余裕は、いくらでもあろう。しかしガザ攻撃のような市街地陸戦の場合、味方の部隊指揮官に、そんな時間の余裕は、ほぼ無い。
ゆえに『NYT』は書生論的戦争法規説を持ち出してIDFを非難するのは止めよ。
※トランプとネタニヤフの本音は、米国製の1トン爆弾をバカスカ落とし、早いとこガザ住民を廓清しちまおうや、ということだろう。ハマスのテロに住民は関係ない? 大ありだ。プー之介の隣国侵略にロシア市民は関係ない? 大ありだ。
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2025-3-12記事「Norway, a Winner in the Russia-Ukraine War」。
3年前、欧州に天然ガスを供給しているのはロシアだった。
今日、それはゼロになろうとしており、代わって、北海ガス田を領有するノルウェーが、欧州需要の天然ガスの3割を販売する立場に急浮上している。ノルウェー政府は笑いが止まらない。
原油はどうか。2022においてロシアはEU需要の25%を供給していたが、2024年にはそれが2%に落ちた。買っているのは主に中欧の諸国だ。
天然ガスは、2010年代のある時点では、EUはその需要の45%をロシア産で満たしていた。
現在、オーストリー、ハンガリー、イタリア、スロヴァキアのみが、ガス管によってロシア産の天然ガスを輸入している。
ロシア産のLNGは、ベルギー、スペイン、フランスが、LNGタンカーを寄港させて輸入していた。2024の統計だとこの3国は、ロシアが輸出するLNGの54%も買っていた。それに次いだのが中共で22%、それに次いだのが日本で18%だった。
2024の第3・四半期において、ノルウェーは、EUに対する原油輸出国のナンバー2であった。そのシェアは14%だった。また、同時期にノルウェーは、EUに対するLNG輸出国のナンバー5であった。そのシェアは7.1%である。
ガス状と液化状の天然ガスを合計すると、ノルウェーはEU市場の30.3%を握るに至った。
今やノルウェーは、世界第12位の原油生産国でもあるのである。
かたわらノルウェーは「グリーン」にもうるさい。2023に新車登録されたうちの90%は、電動車であった。
ノルウェーは水力発電基盤にめぐまれており、電力の88%はダムによって賄われている。これに、電力総需要の10%を叩き出す風力が加わる。
国内で消費するエネルギー全体に占める化石燃料の比率は、2023の統計では、44%であった。これは世界最低水準と言って可い。
その全消費エネルギー(ノルウェー国内)のうち、原油は四分の一を占める。また、天然ガスは16%を占める。ノルウェーはその天然ガスを、肥料製造と、家庭用暖房のために、主に、使っている。
つまり、国内で使う化石燃料が少ないから、大量に余った分を、輸出できるわけ。
2023年に北海のEEZで採掘されたノルウェー産原油は、英国、オランダ、ポーランドへ売られている。
ノルウェーが輸出するLNGの買い手は、オランダ、ベルギー、英国の順である。ただし天然ガス輸出に占めるLNGの比率は、十二分の一だ。
2年前において、ノルウェーは、世界第四位の天然ガス輸出国であった。すなわち、ロシア、カタール、米国に次いで巨大な売り手にのしあがったのだ。
原油の油田は世界中で、汲み出しが簡単ではなくなっている。つまり生産がコスト高になっているので、あまり生産されなくなる傾向にある。涸渇しつつあると表現しても可い。
それに対して天然ガスは、埋蔵資源量にはるかに余裕がある。これから10年間、全世界での、その生産が鈍る材料もない。よって堅調に開発資金も投資されよう。
2024年においてノルウェーは、全EUで生産した天然ガスのうちの55%を生産した。
2022年、ノルウェーが化石燃料の輸出で得たカネは、ノルウェーの国家予算の半額に近かった。
北海油田の開発は1960年代からスタートした。1972にノルウェーは、半官半民の「Statoil」社を設立。これは2007年に「Equinor」社に生まれ変わった。フォーブズによれば世界第80位の企業。儲けは年に100億ドルを越える。そして、その株式の三分の二はノルウェー政府がもっているので、ノルウェー政府の歳入の過半が、それで間に合っちまうほどである。
ただしノルウェー政府はこの巨億の資金を無駄には使わない。「国民年金ファンド」に収め、そこで投資運用させている。
ロシアの世界侵略のおかげで、このファンドは、6%の投資利回りが可能になっている。ロシアからエネルギーを買えなくなった欧州は、ノルウェーから買うしかないのだ。
※グリーンランドの支配を欲する国が多い理由が分かる気がする。あのデカい島の廻りの大陸棚/EEZを試掘しまくれば、すぐにも「第二のノルウェー」になれるかもわからんからだ。陸から遠い北極海にリグを据えるよりも、陸に近いところの海上リグの方が、安心感もあるし、じっさい、オペレーション費用は抑制できるだろう。
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Ralph Schoellhammer 記者による2025-3-15記事「Collapsing Russian oil industry may force Putin’s hand」。
ガスプロムが、サンクトペテルスブルグに所有している不動産を売りたがっている。
これは、ロシアが、天然ガスを輸出できなくなって、困ってきたことを示している。
いま、Gazprom が運用しているガス輸出パイプラインは、トルコ領土を経由する「TurkStream」と、黒海の海底パイプラインである「Blue Stream」の2系統だけに、減ってしまった。
パイプライン経由で欧州に輸出しているガスは75%も減った。代わりの売り先をスタン国家と中共に求めているが、そんな建設がおいそれと進むわけもない。またもし、東方パイプライン構想が完全に実現したとても、ピーク年で1800億立米のガスを欧州向けに売っていた実績の半分にもなりはしないのだ。
ガスプロムのライバル会社である Novatek は、今も、LNGをタンカーで欧州に売っている。
しかし欧州市場でのLNG商売は、米国産とカタール産に駆逐される流れになっている。3年後には駆逐されてしまうだろう。
※ウクライナは、「ネプチューン」巡航ミサイルの1000km飛ぶ改良型(地対地型)を完成したと3-15に公式に認めた。すでに発射されていると。
※ロシアの「Mulino」市に、2011年にラインメタル社が建設してやった軍事訓練センターがあるのだが、そこに宇軍の片道特攻ドローンが3-14に着弾した。
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Noah Smith 記者による2025-3-14記事「China is trying to kneecap Indian manufacturing」。
いま、中共企業が全世界にものすごく投資している。それを詳しく教えてくれるブログを「Kyle Chan」が書いている。
海外工場に現地名で製造させたものを米国へ輸出すればいいのだ。そして中共企業は、株主として、その海外メーカーから、投資の配当をあつめればいいのである。
チャンいわく。額としてモロッコがすごい。そこに集中豪雨式に投資している。そこを経由すればEU市場にも米国市場にもアクセスし放題だから。あとすごいのは、ベトナムとインドネシア。
2010年代は、先進国内の会社を買って、そこを橋頭堡にしようとした。
2022以降、中共独自の製品を海外で製造させようとするようになる。その最も成功したケースがBYDだ。
中共政府は、中共の自動車メーカーに対し、インドには投資するな、と「行政指導」している。そういう命令ができる国なのだ。
また中共は、中共製のソーラー関連機材をインドに輸出できないようにしている。
またドイツの Herrenknecht 社は、中共国内に工場をもっているのだが、そこで製造した「Tunnel boring machines」(地下鉄用のもぐら穴をぐりぐりと掘り進む巨大土工マシン)をインドへ輸出しようとしたら、中共政府がそれを税関で阻止した。
中共はフィリピンに対しても投資をしないように国内企業に指導していることは、統計を見ればあきらかである。
※雑報いわく。マーク・ケリー上院議員はイラクで39回戦闘飛行した。スペースシャトルにも4回乗っている。しかし彼がウクライナ防衛のためにキーウを訪問したことにイーロン・マスクは噛みつき、「叛逆者」呼ばわりだ、と。

世界の終末に読む軍事学