シャーロッド著『硫黄島』によると、擂鉢山に旗を立てた6人の海兵隊員の中に、パイマ・インディアンであるイラ・H・ヘイズ一等兵が混じっているが、彼には投票権がなかった、と。

 『WP』紙の無料で読める見出しだけ見ると、この有名な写真はDoDのウェブサイトから削除された。
 コード・トーカーを称揚するコンテンツも消されたという。

 ロバート・シャーロッドの本を見るかぎり、米側の硫黄島参戦者の中には17歳の新兵が多数混じっていた。彼らも選挙で投票できなかったはずだ。ちなみに日本軍側は年寄り兵が多かった。たとえば折口信夫の養子は39歳前後の二等兵か一等兵であった筈(復員せず)。硫黄島の戦いは、老若戦争だった。

 参戦の海兵隊員の平均年齢は20~21歳であった。
 ヘイズ一等兵の場合、成人しても選挙権がなかったということか。

 30歳代の従軍記者は擂鉢山の斜面を登る体力がなかった、とシャーロッドは書いている。シャーロッド本人は41歳くらいだった。また、従軍記者たちが肥っていたので、日本兵はそれを将軍だろうと思って、狙撃した。

 今月下旬に予定されている硫黄島式典には99歳の元米海軍水兵も招かれている。この人、ロバート・ハーゲン氏は、17歳のときサンディエゴのB-29工場で働いていたところを海軍のリクルーターに徴兵されたという。海軍訓練センターから、すぐさま硫黄島沖に派遣されたのである。

 次。
 Alex Gilbert, Seaver Wang, and Morgan Bazilian 記者による2025-3-17記事「A “Sputnik Moment” in Deep Sea Mining」。
    ことし2月、クック諸島政府は中共と合意した。中共がそのEEZ内の深海底で、鉱物資源を探査するというのだ。

 IEAの予測では、電池関係のレアアースの需要は、2040年までに、今の4倍~6倍もあるだろうと。

 EEZ内の海底資源をどう開発できるかは、国際法のUNCLOSで定められている。米政府はUNCLOSに入っていない。
 EEZ外の公開の海底資源は、「International Seabed Authority (ISA)」の仕切りである。

 加州沖からハワイにかけて、「Clarion Clipperton Zone」と呼ばれる、海底資源の豊富なエリアがあるのだが、その資源を開発しようという米国企業を、米政府は手助けすることができない。UNCLOSを批准していないからだ。この事業はISAを通してするしかないのに。

 クック諸島の近くの海底には、マンガン、ニッケル、銅、コバルトを含む金属団塊が最も豊富に転がっている。米政府は完全に中共に出遅れた。

 中共はレアメタルの精錬事業でも世界市場を支配している。電池に使えるコバルト化合物の78%、ニッケル化合物の74%は、中共が精錬している。

 次。
 Samuel Hammond 記者による2025-3-17記事「U.S. Companies Are Helping China Win the AI Race」。
   米政府は2022年以降、AIに使える高性能チップの対支輸出を原則禁じてきた。

 しかしNvidiaはシンガポール等を迂回路として、おびただしく「H20」や「H800」を中共に流し込んでいたのである。

 さらに中共は、2024年に429ギガワット、発電量を増強した。AIデータセンターの需要する電力に、不足がないようにはからっているのだ。

 次。
 AFPの2025-3-18記事「Trump admin moves to fire hundreds of government scientists」。
  EPA=米国環境保護庁の予算をトランプは大削減するつもり。必然的に、そこで雇われていた学者たちが、大量にレイオフされる見通し。
 通告対象者は1500人以上になるだろう。気候変動関係の研究者も含まれる。

 また、クビにされなかった人々も、庁内の他の部局に異動させられるであろう。

 庁ぜんたいの現勢は1万7000人。政権は、最終的に、そのうちの65%を整理してしまいたい。

 次。
 Katya Golubkova, Yuka Obayashi and Tim Kelly 記者による2025-3-18記事「Alaskan officials to seek investors in Asia as Trump touts LNG」。
   米国内のある一派は、アラスカに全長1300kmの天然ガス・パイプラインを新設し、日本・韓国・台湾向けにそれを輸出するという、440億ドル規模の事業への投資を、日本・韓国・台湾に迫りたい。

 アラスカ州知事も、3月19日から30日の日程で、台湾、タイ、韓国、日本を回ってそれを説く。

 皮算用では2030年には最初の輸出ができるだろうという。日量にして35億立方フィートだという。

 トランプは2月7日に一方的に、日本と韓国がアラスカLNG事業のパートナーになりたがっている、と語った。
 次の駐日大使は、この案件を日本に呑ませる、と言っているようである。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2025-3-17記事「Macron proposes replacing the F-35s with the Rafale fighters」。
   マクロンは欧州諸国によびかけている。F-35をやめて、ラファール戦闘機を買いましょう、と。

 また、「ペトリオット」ではなく、仏タレスと伊MBDAが共同開発した「SAMP/T」地対空ミサイル・システムを採用するようにも、呼びかけて行く。

 これは14日に仏紙に掲載されたインタビューの中で語っている。

 欧州がこぞってこれらの兵器を買うことで、単価は下がる。しかも部品製造は全欧で行われる。
 ワシントンに突如あらわれる狂った政権や、痴呆症の大統領のとりまきどもから、要らぬ掣肘を受けることはなくなる。

 F-35の単価は8000万ドル。ラファールは7000万ドルだが、運用と維持にかかって行く経費が、後者の方がずっと安いのだという。

 「SAMP/T」は、水平射程75マイルで、ペトリの100マイルより覆域が狭いが、そのぶん、価格も安い。
 ペトリの1個高射大隊は10億ドルくらい。これはミサイル込みの値段。
 「SAMP/T」は、システムの値段が6億ドル弱。

 次。
 「mil.in.ua」の2025-3-18記事「U.S. Shortlists Two Ukrainian Deepstrike Producers for Artemis Program」。
  米国防総省は、アルテミス計画に参加させる企業として、 AeroVironment、 Dragoon、 Swan、 Auterion 社を既に選んでいる。

 このうち、オーテリオン社とスワン社は、それぞれウクライナ国産の長距離片道特攻機の売り込み代理人になっているようだ。

 アルテミス計画は、安価に大量生産できるロイタリングミュニションを求めている。レンジは50km~300kmでなくてはならない。また、陸上から即時に発射できなくてはならない。通信が途絶し、衛星信号が受け取れない環境下でも、機能しなくてはいけない。

 改良や改造が、すみやかに簡単にできること。

 次。
 Defense Express の2025-3-18記事「The French Military Develop a Concept to Launch FPV Drones from an An-28 Analog: What’s Special About It?」。
  フランス軍はことしの1月、有人の輸送ヘリから、FPVドローンを放出する運用術をテストした。

 そしてこのたび、有人の固定翼輸送機「DHC 6 Twin Otter」からも、模擬弾頭搭載のFPVドローンを放出してみたという。側方ドアからの手投げのようである。

 次。
 ストラテジーペイジの2025-3-18記事。
   露軍が「第7独立無人システム偵察攻撃連隊」を創隊した。
 人員1300名。
 ドローン攻撃分隊×41、ドローン偵察分隊×61からなる。
 各隊が、数機の無人機を扱う。

 次。
 Defense Express の2025-3-17記事「russians Mass-Produce Zala UAVs with Anti-Aircraft Drone Evasion Systems: How It Works in Practice」。
   ことしの1月に墜落した「Zala」無人偵察機を調べたら、後上方から接近する体当たりドローンを覚知する光学センサーが「マシン・ビジョン」のチップとつながっていて、全自動でその衝突から逃れるプログラムになっていることがわかった。

 次。
 AFPの2025-3-18記事「Latvia slaps traffic restrictions on Russia, Belarus borders」。
   ラトビア政府は、ロシアならびにベラルーシから、徒歩や無動力の軽車両で人が入国することを禁止する。これは、ロシアが難民兵器を送り込もうとしている策略を拒止するため。自動車による通境は、可能である。


世界の終末に読む軍事学