ニューズウィークの2025-3-19記事「Jackie Robinson’s Army History Deleted by Pentagon」。
DoDのウェブサイトから、ジャッキー・ロビンソンが陸軍に入営していたエピソードのコンテンツが削除されている。
これに最初に気づいたのは、加州の KSBW と ESPN で野球放送を担当している Jeff Passan で、火曜日の夜のことであった。
ロビンソンは1942に徴兵された。
まずフォート・ライリーの黒人だけからなる騎兵部隊に配属され、ついで、フォート・フッドの第761「ブラック・パンサーズ」戦車大隊に転属。
1944-6-6に、陸軍のバスに乗車したところ、運転士が、いちばんうしろの黒人用の席に移動しろと命じたのに従わず。軍法会議にかけられたが、無罪評決を得た。その後、ケンタッキー州のキャンプ・ブレキンリッヂに転属。1944に名誉除隊するまで、そこで、陸軍の体育のコーチをしていた。
ジャッキー・ロビンソンが1945年にブルックリン・ドジャースと二軍契約したときの写真を見ると、彼はまだ陸軍の制服を着用している。
1947-4-15、彼はブルックリン・ドジャースの一軍の一塁手として、初の試合に出場。メジャー史上初の、黒人のプロ選手となった。その折の写真も、DoDのウェブサイトからは削除されている。
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Mona GUICHARD 記者による2025-3-18記事「European satellite group ready to step up for Kyiv’s military: CEO」。
Eutelsatは、欧州の衛星運用会社である。
その通信サービスは「OneWeb」という。衛星はエアバス社製。
イーロン・マスクが宇軍に対するスターリンク・サービスを打ち切っても、ユーテルサットがその穴を完全にカバーできるようになっている。
イーロン・マスクは今月のSNS投稿で、スターリンクは宇軍のバックボーンであり、そのスイッチをオレが切れば、全戦線で宇軍は崩壊するのだ、と主張した。 ※ついでにポーランド政府閣僚に向けて “サイレント、リトル・マン(チビは黙れ)”とも罵った。
ユーテルサット社のボスでデンマーク人の Eva Berneke いわく。同社は低軌道周回衛星による通信サービス網として世界第二の規模で、容量としてはスターリンクには及ばないのだが、すでにウクライナ軍の通信所要はカバーできている、とのこと。
スターリンクの周回衛星は2024年前半時点で6000機ほどである。それに対して「OneWeb」用の周回衛星は600機強というところ。
しかし、ウクライナ軍に必要な通信をカバーするのには、600機でも十分らしい。
じつはユーテルサットの周回軌道は、スターリンク衛星よりも、やや高いのである。だから、1機がカバーできる地表面積が、スターリンクよりも広いのだ。よって、スターリンクよりも少数機で、同様のサービスが可能なのだ。もちろん、送受信の距離が長いぶん、信号強度は弱くなり、同じ時間内に送受できる信号量が減り、通信速度は落ちるわけだが。
なお、スペースXとユーテルサットには、狙う市場の違いがある。スターリンクは、個人のユーザーを念頭したサービス網だ。対して「OneWeb」は、企業と企業の間の通信を提供することに焦点を当てているのだ。
ちなみに、2024-10に「OneWeb」衛星を20機、追加投入した打ち上げには、スペースXの「ファルコン9」が使われた。
スペースX社はいまや世界の打ち上げ市場の9割を支配しているのである。ユーテルサットはひきつづき、打ち上げにそれを利用するであろう。
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Theresa Hitchens 記者による2025-3-18記事「5 Chinese satellites practiced ‘dogfighting’ in space, Space Force says」。
米宇宙軍の参謀次長が、3-7にDCのカンファレンスで講演。そこでいわく。中共は衛星によるドッグファイトを2024に演練している、と。
同時に5つの衛星を機動させたと。
しかもこのごろでは中共は、静止軌道上の米国衛星にも、近間で張り付くようになったという。いつでも破壊する気満々なのだ。
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Christopher Lee 記者による2025-3-18記事「A War of Chokepoints: Mavulis Island in a Future Taiwan War Scenario」。
与那国島から南方に250浬も離れていないルソン海峡に、フィリピンの最北端領土である「マヴディス 島」がある。
日本の地図では「ヤミ島」と表記する。別名「Amianan 島」。
面積は与那国島よりも小さい。
その島と、台湾本島の南端の東方沖に浮かぶ蘭嶼(Orchid Island)とのあいだの海面が「バシー海峡」である。
中共海軍は、台湾をブロケイドするためにはバシー海峡を管制しなくてはならない。
日本の自衛隊は与那国島を拠点として強化したが、比島政府は、ヤミ島の防備をほったらかしにしている。2023-10に海軍の小部隊を分遣したが、そんな形ばかりの強化ではダメだ。
米政府は、比島政府の倍旧の努力を促すべし。
バシー海峡は、深度がじゅうぶんにあるから、中共の潜水艦にとっても、活動はしやすい。
こうした島嶼の拠点で対水上&対水中を常続監視することを MDA=maritime domain awareness と称す。
いま、ちょうどバリカタン演習をするところだから、これを機会に、ヤミ島はMDA拠点化せよ。
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ストラテジーペイジの2025-3-19記事。
スリーパー・エージェントが総動員されている。NATO諸国内でも、ウクライナ領内でも。
ウクライナのSSUは、ヘルソン州内で、何人ものスリーパーを逮捕している。
スリーパーはローカルなものなので、それがモスクワと直結しているという証拠は出ないものだ。
ロシア政府は、世界の関心をウクライナから逸らすために、アフリカその他で次々と騒ぎが起きるようにし向けている。
2016年にはモンテネグロでやくざ者を雇って、同国政府がNATOに加わるのを邪魔しようと試みた。
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Stephen Blank 記者による2025-3-19記事「Russia’s War of Attrition in Ukraine?」。
3-11の記事でアンソニー・コンスタンティニは、ロシアは人的資源で優越しているから消耗戦でウクライナに勝てる、と主張した。それに反論する。
コンスタンティニの理屈は、MAGAやヴァンス副大統領の拡声器だ。ロシア様との戦争を避けることこそがアメリカの利益だという。
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George Friedman 記者による2025-3-19記事「Engineering an End to the Ukraine War」。
ベトナム戦争の終盤、米政府は北ベトナム政府との合議に入った。その時点で米軍は北ベトナム軍に負けていたわけではなかったのだが、ベトコン討滅にはあきらかに失敗していたのだった。
北ベトナムは、なにがなんでも南を統一するつもりだった。かたや、米政府には、何がなんでも南ベトナムを保持したいという気持ちは薄くなっていた。名誉を伴う撤収という外見が成り立てばよかった。
ロシアはウクライナ全体を西側に対する防波堤にしたい。米国は、露軍がNATOと直接対峙する地図にはしたくない。いま、露軍が占領しているウクライナ東部地域は、妥協的なバッファーゾーンにできるかもしれない。
今のウクライナ政府の立場は、かつての南ベトナム政府と似ている。
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The Maritime Executive の2025-3-19記事「Workers at BAE’s Osborne Naval Shipyard Australia Walkout in Wage Dispute」。
BEAシステムズ社は豪州のアデレードに造船所を持っているのだが、ここで3割の賃上げを求める工員たちのストライキが発生。
この造船所は『Hunter』級のフリゲートを建造するところ。
スト参加者は、同じ仕事をしている他の造船会社よりも、給料が2割低い、と意識している。
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Carmeli Argana and Sangmi Cha (Bloomberg) 記者による2025-3-18記事「Korean Giant Hanwha Acquires Austal Stake in Latest Push to Reshape U.S. Shipbuilding」。
韓国の Hanwha Aerospace Co. が、豪州の造船会社 Austal Ltd. の9.9%の株主になった。できれば19.9%まで取得するつもりである。ハンワは、米軍に軍艦を売り込みたい。オースタルは米国内に拠点を有している。
オーステルはその稼ぎの8割を米政府から得ている。
造船拠点はアラバマ州のモービル市にある。サービスセンターはサンディエゴにある。技術センターはヴァジニア州のシャーロッツヴィルにある。
韓国企業と豪州企業が一体化することにより、米政府は、この2社を競わせて安価に軍艦を買うことはできなくなる。
ハンワは昨年、オーステルを買収してしまおうと試みたが、成功しなかった。
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Bartlomiej Wypartowicz 記者による2025-3-19記事「Head of Ukrainian Unmanned Forces for Defence24: “Ukrainian Drones Forced Russia to Change Its Strategy”」。
ウクライナ軍の無人兵器軍の総司令官である Vadim Sukharevsky 大佐にインタビューした。
有線操縦ドローンは、EWにやられなくなったのはメリットだが、空中機動性はガックリと低下する。
自爆ドローンの普及により、敵は、いちどにまとめて運送する弾薬の量を、縮小するしかなくなった。
これ一種類があればよいという、最善の無人機用の弾頭は、無い。また敵の無人機に対する防空も、一種類の兵器システムでは対処不能で、各種とりまぜて努力するしかない。

世界の終末に読む軍事学
(管理人より)
先日、兵頭本を一冊、古本で買いなおしました。20年以上前に発刊された、新品はもう売っていない兵頭本です。
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時間さえかければ、兵頭本はお手頃価格で大抵、手に入ります。
妙な値段に手を出さないようお気を付けください。