このミサイル時代に、統合司令部を最前線に近寄せても、有事にいきなり機能を麻痺させられてしまうだけだ。
むしろ自衛隊の「核戦争時・疎開指揮所」をアラスカに1箇所、豪州南東部に1箇所、今から事務所スペースだけでいいから準備しておいて、そこにパコムからリエゾンを招き入れるようにしておくのが良い。
もちろんハワイとグァム島にも防衛省の出張事務所は置いた方がいい。分散することが大事だ。
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Gregory Brown 記者による2025-3-20記事「Elbridge Colby’s vision: blocking China」
国防総省の政策担当次官に、エルブリッヂ・コルビーが承認される見通し。
コルビーは2018の国家防衛戦略を書いた。
2021の彼の著『The Strategy of Denial』は防衛政策プランナーの必読アイテム。その中でコルビーは、アメリカが、全地球的な優位性(すなわちブッシュ時代の目標)や緊縮(すなわちオバマ~バイデン時代の目標)を求めるのはどちらも大間違いで、米国は、とにかく中共がアジアを支配しようとするのを邪魔しまくれ、と説いている。
コルビーは現実が分かっている。米国の力は有限であり、中共の力はあなどれなくなった。だったら、限られた資源を、最も死活的な部分をひとつ選んで集中投入するしかない。すなわち米軍の力は、「対支」に集中しなくてはならない。それによって、これから最も経済圏として爆延びするアジア圏を、味方にし続けることができ、米国は安全になり、豊かにもなる。米国は、コミットするコアを、アジアだと定めなくてはいけない。
上院軍事委員会の公聴会でコルビーは強調した。中共は、過去150年で最有力の反米勢力だと。
米国は、他にどんな脅威があろうと、「対支」の軍事リソース配分を減らすようなことをしてはならない。
コルビーは、アジアにはNATOのようなものは創れない、と分かっている。あくまで二国間の軍事同盟を多重に運営するしかない。
コルビーは、「反支」の二国間同盟から、米国は最大の利益を得られる、と著作中で主張している。
キーワードは「リップマン・ギャップ」。これはサミュエル・ハンチントンによる『フォーリン・アフェアズ』1988-2-1号での造語。ウォルター・リップマンが1943に最初に指摘した〔例として1789~1823を挙げていたようだがハンチントン論文の出だし部分しか無料では読めないために、テキトーに想像するしかない〕。米国が全世界のすべての問題にコミットしようとしても、米国にはそんな力は無いのである。解決し得る実力相応の、介入目標を選ばなくてはいけないのだ。軍事的にできもしないことに口を突っ込もうとすれば、米国の外交は手詰まりと不能の連続に陥ってしまう、と。
コルビーの認識。中共の造船能力は、米国の230倍である、と。米国工業を立て直す必要がある。
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Phil Stewart, Idrees Ali and Nandita Bose 記者による2025-3-22記事「Elon Musk holds unprecedented Pentagon talks, wants leakers prosecuted」。
これまでのところ、タンク(ペンタゴン内の厳重警備された会議室)において、トランプと、統合参謀本部の面々との会合は、一度もなされていないそうだ。
国家情報局長の Tulsi Gabbard は、トランプから仰せつかっている。政府部内の話を外に漏らす職員を許すな、と。
第一期トランプ政権時代には、このような内部からのリークが多すぎた。それと同じことはさせないと、親分は強く決意している。
※サイバートラックの、接着剤で貼り付けてあるだけの金属パネルがあちこち剥離してしまう原因は、冬になると接着剤が弱くなるからだという。わたくし曰く。これは春先に一斉に起きる現象なのだと思う。わたしゃ去年の4月上旬に上京したとき、函館で人から貰って何年も履いていた革靴の底が、左右両方ともに、ほぼ同時に接着が剥がれてしまって、大ピンチだった。週末の深夜の路上ですからね。その教訓を得て以来、私は出張でも旅行でも、必ず、臨時スペアに使える黒色のスニーカーを1足携帯することにしています。
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Dan Lamothe 記者による2025-3-21記事「Pentagon spokesman sidelined after uproar over Jackie Robinson article」。
ペンタゴンの広報主任で白人である、 John Ullyot が、広報の部署から外された。木曜日発表。
DoDコンテンツからジャッキー・ロビンソンを抹消したり、日系部隊の話を抹消したり、時の政権ボスに媚びようとするとりまき小物クラスの典型だった。
こやつは省の内外から叩かれると、やり過ぎたのはAIのせいだと弁明した。
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2025-3-20記事「The World Happiness Report is a sham」。
3月20日は「国際しあわせデー」だそうである。毎年この日になるとくだらない記事が現れる。フィンランドはひきつづいて世界一幸福だそうである。米国の幸福度は過去最低に下がったそうである。馬鹿野郎という話だ。
このくだらないキャンペーンは2012から始まっているが、とにかくスカンジナビアを持ち上げて米国を貶めたいらしい。
今年の米国のしあわせ度は、コスタリカ以下だそうだ。ああそうですかというしかない。
記者は親戚がスウェーデンとデンマークに居るので、スカンジナビアにはちょくちょく長期滞在する。コペンハーゲンの市内を歩いて見ろ。誰も笑ってる奴なんかいない。人々は、陰気そのものだ。
「カントリル・ラダー」と呼ばれる、自己診断尺度が、国際ハピネス・デーの順位決定に、使われている。
これで把握できるのは、誰かの「自己満足」度だけである。それが「しあわせ」とイコールであるわけがあろうか?
《世界自己満足度ランキング発表》と称するのが、この調査では、正確なのだ。フィンランド人は世界一、自己満足している連中である。米国人は、さにあらず。実感に合っているでしょう?
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ストラテジーペイジの2025-3-21記事。
ドイツのGDPは4兆ドル以上。オランダは1兆ドルくらい。
2024年にドイツはウクライナに80億ドルの軍事支援をしている。
オランダの支援額は不明だが、その経済規模に比してドイツ以上の支援をしていると主張可能だろう。
WWII末期にオランダ人は飢餓に瀕した。占領者のドイツが全部、奪ってしまったからだ。この記憶が残っているために、オランダはウクライナ人に同情的なのである。
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Wyatt Olson 記者による2025-3-21記事「Army seeks to overcome watercraft ‘gap’ with leased vessels, local repair work」。
太平洋戦域に展開する米陸軍は、多数の輸送船艇を自前で抱えて運用してきた。しかしその陣容の整備が満足にできなくなっているので、民間からの借り上げリースで、当面は、凌ぐ。
こうした船艇は2018年には134隻もあったのだが、2024-5時点では70隻に落ち込んでいる。半減である。