ポーランドが今、露軍から侵攻された場合、弾薬の備蓄量からして、単独では、2週間しか戦争できないそうだ。

 同国の、国家安全保障委員会の大将が、報道機関のインタビューに答えた。

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 Gary Warner 記者による2025-3-25記事「Navy to spend $300M to prepare Naval Base Kitsap as a homeport for Ford-class aircraft carriers」。
    ワシントン州の軍港キットサップにフォード級の巨大空母『JFK』を受け入れるための改修工事に、海軍は3億ドルを投ずるつもり。
 それには、隣接ブレマートン市に新設される変電所と新電力系統も含まれる。

 『JFK』は今年の夏に就役する予定。建造したのは東海岸のニューポートニューズ。今は東海岸で公試運転中。

 ただし、キットサップの改修は、工期4年が見込まれている。そのあとで、ようやく『JFK』の母港にすることができる。2029年より先の話なのだ。

 電力網の一新は、なぜ必要か?
 『ニミッツ』級空母の母港には、4160ボルトの給電が必要だったのに対して、『フォード級』だと1万3800ボルトが必要なのだという。※ワットアワーではなく電圧で表現している記事の意味がどうも呑み込めぬ。

 『フォード』級は、『ニミッツ』級よりも電力を喰うのだが、そのかわり、固有の乗員は減っている。最後の『フォード級』空母である『GHWブッシュ』(2009就役)よりも344人、省力化されている。だいたい2800名である。

 これは、出撃時に連れていくパイロットと整備員2500名とは別。

 『ニミッツ』級は、艦のサービス・ライフを50年として設計されている。その現役の中間時点で、大修理を施す。長期間ドックに入れて、上甲板から機関室までバラし、2基の原子炉内の核燃料を交換するのだ。この作業は、ニューポートニューズにあるハンチントンインガルス造船所でしかできない。
 1番艦『ニミッツ』はもうじき、退役して解体工程に入れられる。

 海軍は、今11隻ある『ニミッツ』級を、古いものから逐次、『フォード』級で更新するつもり。
 いまのところ、『フォード』級は6隻、計画されている。しかし工事はスケジュールより遅れている。

 もっか建造中である3番艦『エンタープライズ』は2029年に就役させようとしているが、どうなるかわからない。

 4番艦の『ドリス・ミラー』(真珠湾空襲のときに炊事係ながら対空機関銃を撃ちまくった黒人水兵の名にちなむ)は2032年に就役させたい。5番艦『クリントン』は2036に就役させたい。6番艦『GWブッシュ』は何年の就役を見込むか、発表されていない。

 ※むかしの帝国海軍ならば、敵の最新鋭巨大空母(エセックス級)が登場する前に対米開戦せねば――という発想になっちまったわけだが、今日、中小の水上艦をベルトコンベヤ式にマスプロしているのは中共の側なので、彼らはぜんぜん焦っていないだろう。それに、大急ぎで開戦に間に合わせた『瑞鶴』も、就役して1~2年は大活躍なんかできなかった。空母システムは2年くらいかけないと、チームとして仕上がらないからだ。中共は、『JFK』が2027の台湾戦争に間に合うとは思っていないだろう。ところで『カールビンソン』が先日、グァムに入港した直後に、島に接近中の同空母の航跡を宇宙から撮影したと称する人工衛星の写真が、なぜか、公表されている。そしてウェブサイトで調べれば、現在はシャム湾の奥、バンコックのすぐ南の沖に所在することも分かってしまう。あたかも、中共海軍からの先制攻撃を誘っているように見える。ヘグセスの「シグナル」事件は、じつはイランからの奇襲攻撃を誘う罠のつもりだったのでは? トランプは、金喰い虫の米空母が無用の長物であることを、なんとしても証明したいのでは? そして私は予言する。フォード級の建造が中止と決まらない場合には、7番艦の艦名は、トランプとされるだろう。

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 Alison Bath 記者による2025-3-26記事「Navy’s shipbuilding strategy requires total overhaul to meet aims, audit finds」。
    米会計検査院GAOは、火曜日に報告した。
 米海軍は、今296隻ある戦闘用艦艇(補給艦なども含む)をこれから30年で381隻に増強したいと言っているが、無理じゃね? と。

 非現実的な設計計画のLSМも、このままでは、ズムウォルト級や、新鋭フリゲート艦の轍をなぞり、コスト数倍、納期は延び延び、けっきょく数隻の調達で打ち切りという運命が見えているぞ、と。

 ※GAOは米海軍に対して、軍艦の建造に適用できる民間商船の建造ノウハウが数百もあることを細かく教示し、その提案のうち数十は、過去にじっさいに反映されたそうである。すげぇ。

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 Jorge Rivero 記者による2025-3-25記事「Innovating Under Fire: Lessons from Ukraine’s Frontline Drone Workshops」。
   記者はことしの1月、5日間にわたってウクライナ軍の海兵部隊を取材し、根掘り葉掘り、最新知見を集めることができた。

 現状、露兵の死傷原因の7割は、宇軍のUAVによっている。
 また、露軍兵器の破壊要員の9割が、宇軍の無人機攻撃によっている、そんな戦線もある。

 宇軍のすべての前線「大隊」内に、12人くらいからなる「無人機ワークショップ」がある。そこで諸問題が機動的に解決され、最新戦術も生み出される。
 急に必要になった部品は、3Dプリンターでこしらえる。

 電池のメンテナンスも、このワークショップの担任だ。電池供給が、いまや、死活的に重要。
 不良電池をつけてUAVを飛ばすと、途中で墜落したり、目標破壊に失敗する。これによって攻撃が頓挫するだけでなく、得られなくてはいけなかった情報も得られなくなってしまう。影響が甚大。だから、悪い電池を1個でも混在させてはいけない。

 敵のEWに即座に対処する決定権限も、ワークショップが担うしかない。この対応を軍隊の官僚機構に任せていたら、数週間も、敵の優勢を許してしまい、こっちの領土が削られてしまう。とりかえしがつかない。

 ワークショップがあることで、過重労働で疲労しているドローン操縦チームが、さまざまな余計な雑務から免除される。ドローン戦術に持続して集中できるようになるのである。

 ドローンへの爆薬類の取り付けは、電気雷管や火薬類を取り扱えるプロが所在しているワークショップが専任する。これを末端のドローン部隊にさせることはまったく推奨できない。危険すぎるからだ。

 ワークショップは、敵も優先的に破壊しようと鵜の目鷹の目で探している。もし所在が絞り込まれると、ミサイルが飛んでくる。だから、ワークショップは車両で移動できるようにする。最前線で味方にサービスしつつ、敵の砲兵の的にはならないように、河岸を変え続けるのだ。
 この車両には、デジタル通信端末も、備わっていなくてはいけない。

 リトアニア軍もこの研究をしていて、UAV用のワークショップを一式載せて移動できる車両は、他からの燃料補給等がなくとも2日間は活動できるようにできていなければならないと結論している。

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 AFPの2025-3-25記事「NATO takes Ukraine lessons into Europe’s top air defence drills」。
   NATOはこれから連続十日間の防空演習をする。反映されている最新のシチュエーションは、「シャヘド136の大量使用」である。西側の防空担当者は、この難問に即時に向き合わなくてはいけない。

 「シャヘド136」が特定目標を攻撃するとき、その「軌跡」にはパターンがあるだろうか? 有益な情報は、すべて、ウクライナ軍が持っている。


<正論>硫黄島の戦いが今に伝えること/軍事評論家・兵頭二十八

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