2025-4-7記事「New Boeing CH-47F Chinook Block II Helicopter Boosts Speed Firepower and Reach for US Forces」。
もうじき、チヌークの最新型、「Block II a」が米陸軍に導入される。今は、アラバマ州レッドストーンの試験場にて、ユーザー想定部隊によるテストの最終段階。もう昨年からず~っと続けているのである。
現用の「CH-47F Block I」から、どこが進化したのか?
すべてである。ローターは最新式になった。ドライブトレインもアップグレードされた。
燃料タンクの容量は、568 リッター (=150 gallons) 増えた。
ローター・ヘッドのデザインは、整備性を優先して洗練された。
これは、ライフサイクル・コストも、引き下げてくれる。
機体には、最初からMGマウントが4箇所、しつらえられている。買った部隊で苦労して後付け工事する必要はない。訓練も合理化される。
※ボーイング社のHPによってスペックを補うと次の通り。燃料は4088リッター=1080ガロン入る。エンジンは4777馬力×2基。巡航速度291km/時。ミッション・ラディアス(作戦往復半径)306km。実用積載量12565㎏。ちなみに「宮古島~沖縄本島」の宮古海峡の幅はおよそ270km。緊急非常時には、座席を無視して人々を立たせたまま機内に詰め込むことができる。そうすると1機でいちどに数百人も搬出できるのである。特に滑走路の無い小島の離島は、こいつだけが頼りだろう。その荷室に、人の代わりに予備燃料タンクを積めば、ラディアスはさらに延びる。しかもチヌークは、着水しても浮いていられるから、洋上で給油を待つという究極オプションまでアリなのだ。
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Jason Corcoran 記者による2025-4-8記事「How Trump’s Backfiring Trade War Could Crash Putin’s Economy」。
トランプ・タリフがグレートディプレッションを再演させる気配から、国際油価が急落した。これでプー之介は窮地に立たされる。ロシアの政府歳入は、石油とガスの輸出が命綱だからだ(約3割を依拠)。
ロシアの証券市場も反応し、4年ぶりの安値をつけた。
ブレント原油は今、バレルあたり63ドルである。ロシアの輸出原油指標である「ウラル」は50ドル前後。
これは、クレムリンが今年の損益分岐ラインだと考えている値よりも、20ドルほども低い。この価額で輸出したら、出血輸出になってしまう。ロシア国内の採掘企業にとっては、もちろん採算割れである。
ロシアは、ルーブルの為替レートを、さらに下げるしかなくなるであろう。
※昨日見たSNSの投稿。トランプの娘婿、ジャレド・クシュナーがAmazonで書籍をサーチし、偶然みつけた「経済アドバイザー」候補が、ピーター・ナヴァロだったという。クシュナーは自身が対支批判の理論武装をしたいと念願していた。アマゾンでそれっぽい図書を調べていたら、ナヴァロが『Death by China』という著作を公刊していることを知った。そのタイトルがクールだと、クシュナーは思ったのだという。ナヴァロには経済学の学術的業績は、じつは無いという。ナヴァロが自著の中でちょくちょく引用する「Ron Vara」という専門家は、なんと「Navarro」のアナグラムであった。
※あるSNS投稿。1770年代に2%の印紙税を一方的に課せられたことで米植民地住民は蹶起して英国からの独立戦争になった。しかし今日米国住民は、自国政府から昔の数十倍もの輸入税を課せられようとしているのであると。
※4月3日のSNSの投稿。米国の22人の黒人男子のうち1人は、死ぬ前に人殺しになる。白人男子の場合、425人に1人である。統計から推論されるのだと。
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Boyko Nikolov 記者による2025-4-8記事「Russia admits sand and cement now fill its tank armor gaps」。
露軍の新造の戦車に貼り付ける爆発反応装甲ERA。この正規品の量産が需要に間に合わず、しかたなく、弁当箱の中に砂やコンクリートを詰めているそうだ。これは露軍が公式に認めた。
格好よく「NERA」=ノン・エクスプロージブ・リアクティヴ・アーマー などと称しているが、ようするに爆薬素材が契約工場から送られてこないので、カラッポのボックスだけとりつけておき、戦車を受領した部隊でそこに砂なりコンクリートなりをテキトーに充填してもらうようになっているとのこと。
※また雑報によると露軍は、球状の缶体に火薬を詰め、導火線に点火して投げる、原始的な急造手投げ爆弾も準備しているという。
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ストラテジーペイジの2025-4-8記事。
ドイツ海軍の新造コルヴェット艦のエンジン内部に、金属の削り屑が何者かによって挿入されていたが、運転前の点検で発見されて除去された。当局は、これはロシアの工作機関員の仕業だと見ている。
※詳細が不明だ。『ブラウンシュヴァイク』型のコルベットだと、MTUのディーゼル主機だ。速力も26ノットくらいだから、ガスタービンにする必要はないだろう。これがもしガスタービンならば、空気吸入口に金属粉を外装してやることで異常燃焼を起こしてやることができるかもしれないのだが、ディーゼルにどうやって悪戯する? 燃料に混ぜたってフィルターで止められるだろうし。わけわかんねえよ。
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Dmytro Shumlianskyi 記者による2025-4-8記事「Estonia plans to allow sinking ships that threaten submarine cables」。
エストニア政府は、海底ケーブルや重要インフラの破壊工作をしていると疑えるロシア系の商船が、エストニア軍艦の命令を聞かない場合は、撃沈できることにするつもりである。エストニアの国会が、立法によって国軍にその権能を与える見通し。
問題は、場所が公海上のときが厄介だということ。既存の国際法があるので。
※NBCニュースによると、トランプ政権は、東欧に展開している米軍を1万人、引き揚げさせ始めた。ポーランドのウクライナ国境近くに2022から張り付いていたペトリオット部隊も遂に撤収した模様。一方、米上院はエルブリッヂ・コルビー氏の国防次官(政策担当)就任を承認した。コルビー氏こそが実質のセクデフだ。彼は欧州からは米兵をひきはがし、すべて対支にだけに転用すべきであるとの理論を夙に公刊し、それが米指導層をほぼ、納得させている。
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Seth Robson 記者による2025-4-8記事「Marines’ ship-killer missile system to get extended stay in the Philippines」。
4月21日から5月4日まで、バリカタン演習があるが、それが終わっても、75人の米海兵隊員は居残る。次に6月に行われる予定の米比合同演習のときまで。
この海兵隊部隊は「NMESIS」を装備している。無人トラックをラーンチャーとして、沖合の中共艦船をミサイル攻撃できるシステムである。
※中共軍の島嶼侵略を抑止するためには、そのターゲットの島に、あらかじめ少数の米軍部隊が所在していなくてはいけないというのが、最新の米軍ドクトリン。これはWWII中の「ガダルカナル」の攻防経緯が、ものすごく深く研究された結果の結論なのである。詳しくは、明日発売の拙著『世界の終末に読む軍事学』で学んでくれ。
※JDAMの命中精度を説明するグラフがある。これによると、爆弾をリリースしてから爆発するまでの秒時が37秒までならCEPは13m以下で、ほぼ必殺。しかし37秒を越えると、みるみるCEPが大きくなり、100秒だとCEPは29mになって、もはや必殺だとは思えなくなる。

世界の終末に読む軍事学