ペトリの1個高射大隊を空輸するのにC-17が73機、必要だそうだ。

 Ben Casselman 記者による2025-4-11記事「The ‘China Shock’ Offers a Lesson. It Isn’t the One Trump Has Learned」。
    1999年から2005年にかけ、中共からの対米輸出は、3倍に増えた。結果、米国内の工業は、経営が成り立たなくなった。大量失業が生じた。このとき米国社会は深い傷を蒙り、それは今も続いている。

 工場の仕事は、2001に中共がWTOに加盟を認められる前から、全米で、減少傾向にあった。
 殊に、衣料品や家具製造。それらは労働集約的なので。

 「チャイナ・ショック」という造語は2016年である。しかし、それまでの12年、工業界では「自動化」も進んでいるのだ。それも工場労働者を不要にしたのである。

 変化のスピードが速いことが、生身の人間には、ダメージになる。ノースカロライナ州の某家具工場は、2000年時点で従業員32000人。それが、10年にして、4割減った。この速度と規模は、コミュニティをぶっ壊す。これが、全米で起きたのだ。

 単純労働工場のかわりに、すぐに高級労働会社がその地域に立つわけじゃない。軽作業労働者が、大学に行かずに高級事務スキルを覚えられるわけじゃない。遠い町で求人があるからと、すぐに一家で引っ越せるもんじゃない。

 解雇されてしまった労働者たちは、同じ町のなかで、前職よりもさらに安い労賃の低級労働にありつくか、失業してヤク中になって早死にするか、どちらかだったのだ。現実には。

 労働市場の変化への対応は、ひとりのキャリアの中では、起きない。次の世代に人が変わるときに、はじめてその対応が観察される。

 ※大昔に私はこれを「脳の一回性」という表現で説明した。動物の脳はノイマン型コンピュータとは違い、「上書き」によるプログラム更新は不可能なのである。その現実を前提に、政治も進めるしかないのだ。

 地域の工場がぜんぶ、短期間のうちに消滅してしまうと、両親世代は、働きながら、子どもに新しいスキルを身に付けさせてやることが、できなくなる。地域社会は、たんじゅんに、壊滅してしまうのである。

 トランプ・ショックも、同じことになるだろう。複数の著名企業が、すでに数千人のレイオフを発表している。速すぎる。この変化スピードは、労働者個人/一世帯が、吸収できない。

 米国内のごくわずかな鉄鋼メーカーは、得をするだろう。それ以外は……。

 小売業は、仕入れのコストが増える。それを、インフレで財布の紐がしわくなった消費者を相手に、売らねばならない。

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 John Tamny 記者による2025-4-11書評「Book Review: Peter Baker & Susan Glasser’s Excellent ‘Kremlin Rising’」。
    なぜロシア人はいったん得たはずの自由を捨ててプーチンになど跪拝しているのかが説明されている。
 ロシア人民は、自由は居心地が悪いと感じている。そして、過去のスターリン時代に憧れている。

 プーチンの母親はレニングラードが包囲されていたときの飢餓が原因で健康を損ねた。
 プーチンが誕生した1952時点でレニングラード市はまだ瓦礫の山状態だった。ドイツによる破壊は、いかにも徹底したものだった。それが原風景なのだ。

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 Artur Kalandarov 記者による2025-4-11記事「Putin’s 1985 Moment」。
   1985にゴルバチョフはアフガニスタンからのソ連軍部隊の総撤収を決めた。
 ポリトビューローの会議で彼はこう言ったという。――われわれの将兵がそこにいるが、なんのためにいるのか。大義が無いのだ。即刻、引き揚げよう。

 ゴルバチョフは、戦死者や、カネの無駄を気にしていた。プーチンは然らず。だからウクライナに関する1985はまだやってきていない。

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 2025-3-13記事「Interview Conducted by Claus Hecking」。
   グリーンランドの専門家で、バーモント州立大の教授、パウル・Bierman (63)に、シュピーゲル誌がインタビューした。

 トランプは鉱山経営がわかってない。有益資源が濃縮したかたちで浅い地表に集中して存在するなら、その採掘は採算に合う。しかしそうでない場合、役にたたない土をひたすら深いところから掘り出す作業になる。グリーンランドにある資源は、後者。おまけに、インフラの整った最寄りの町から、採掘現場は数百kmも離隔しているのに、どうやって経営を採算に乗せられるのだ。

 また凍土というやつは、その上に建てた建造物を、ぐにゃぐにゃにしてしまう。 Thule Air Base の滑走路も、だから、ぐにゃぐにゃだ。

 氷河が崩れて海に落下すると、津波がフィヨルドを遡る。高さ200mの。そんな事故もときどき起きる。

 港湾は、ある年は使えても、次の年には、船舶が入らなくなる。というのは、温暖化によって地盤の上の氷が融け去ると、地盤が隆起するのだ。
 グリーンランドの場合、100年で1.8m隆起する。

 それにくらべたらウクライナで何かを掘る方が、ずっと楽だろう。

 米軍はかつてグリーンランドに数十ヵ所、基地をつくった。しかし今は、 Thule しか維持できていない。他はぜんぶ、放棄したのだ。

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 John C. K. Daly 記者による2025-4-9記事。
   スウェーデンの防諜機関が3月に報告。
 ロシア諜報機関は、ヤク中のスウェーデン人を一本釣りして、工作員に仕立てている。

 イランも、スウェーデン国内に犯罪ネットワークを構築している。

 ロシアは、そのスウェーデンの防諜機関の中にまでも、スパイを送り込もうと画策している。

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 Alius Noreika 記者による2025-4-10記事「Historic Robot Half Marathon in Beijing Delayed by Wind」。
  日曜日に、ヒト型ロボットによるハーフマラソン競技――ただし人間が並走する――が北京で開催の予定だったが、強風のため、4-19に順延されたと。

 ※SNSによると中国某所に「本日からアメリカ国籍の客にはサービス料(服務費)104%を加算する。詳しいことは美国大使館へ聞いてくれ」という看板を掲げた飲食店が登場。

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 2025-4-10記事「Russia and Uzbekistan to cooperate on Trans-Afghan railway」。
  ロシア政府とウズベキスタン政府は、「トランス・アフガン鉄道」で協力する協定に署名した。
 これからフィージビリティ・スタディをしようか……という段階。

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 Rebecca Holland 記者による2025-4-11記事「Go jump in a lake? 173rd Airborne Brigade paratroopers glad to oblige」。
  木曜日、イタリアにあるガルダ湖に、米第173空挺旅団400名以上が降下した。
 200名は低空のヘリから落下傘なしで湖面へ飛び降り(ヘロキャストという)。
 226名は複数の固定翼機からパラ降下した。

 部隊は先週、別なところでプール訓練を済ませている。水面に降下したとき、傘体や紐が首から上に絡まることがある。これを水中で外す練習。