Erica Marchand 記者による2025-4-10記事「Using liquid air for grid-scale energy storage」。
晴れた昼間しか発電できないソーラー発電装置には、蓄電機能が必要だ。それも数時間ではなく、数日間。そういう安価なデバイスが組み合わされることにより、夜間の給電、ピーク需要時の融通が、自在になる。
長時間、確実にエネルギーを蓄積しておける、これまでのメソッドは、「揚水」だった。ひるま余った電力でポンプを回して高所の池に水を汲み上げておき、電力の需給が逼迫したときに、その高所の水を落として水力発電する。
だが米国本土では、この揚水蓄電に使えそうな立地は、ことごとく開発されてしまっている。
リチウム電池は、末端消費者レベルでの短時間の蓄電には使えるが、せいぜい4時間だ。しかも、値段が張る。
このほどMITとノルウェー科学技術大学が合同で「リキッド空気」を使う蓄エネルギー技法を考えた。LAESと称する。
この装置は設置の場所を選ばない。クリーンである。しかも、数日間の蓄エネルギーが可能。
断熱タンクの中に、大気圧で、非常な低温の空気を溜める。その空気の中には、水が雲のような液体の微粒子の状態で浮遊している。
※よくわからんが、過冷却の雲のような状態に、まず、しておくのか? 埃を除去する「一手間」も必要らしいので、たぶんそうだろう。チリがあればそれを核にしてたちまち氷結してしまう。
さて、ユーザーが、追加の電力が欲しくなったとする。ユーザーは、その「リキッド空気」をポンプで加圧し、且つ、加熱する。すると「リキッド空気」は、すべて気体になる(水粒子は水蒸気になる)。
そのさい、体積が膨張するので、その膨張した空気流によってタービンを回し、発電。
加圧ポンプのために必要な投入電力は、微小で可いのだという。それで、発電量のほうが、はるかに大きくなるという。
また、工場から出る廃熱や廃冷熱を、この「リキッド空気」←→「完全ガス空気」のプロセスのために利用してもよい。いままで無駄に放出してしまうだけだった廃エネルギーにより、蓄エネルギー&発電ができるわけ。
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Povilas M. 記者による2025-4-11記事「Ukrainians Know How to Fight Drones With Fibre-Optic Cables」。
ウクライナ軍は前線に5km間隔で可搬式のミニ・レーダーを配置し、敵ドローンをいちはやく探知して、そこに味方のドローンをさしむけて、撃墜させる。
光ファイバーで操縦される敵のクォッドコプターは、鈍重なので、空中でのアジャイリティがほぼ無い。だから、発見できれば、鴨として撃墜できる。
※つまりこちらのインターセプター任務のドローンは、有線式にはできないわけか。だが将来は、「衝突」ではなく、こちらが真上から「テグス」を垂らしてやって、敵機のローターに絡める方法によって、自爆ではない方法で敵機を撃墜できるのではないだろうか?
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Natasha Turak 記者による2025-4-10記事「Taking oil prices could more than double Saudi Arabia’s deficet to $75 villion and threaten spending plans: Goldman Sachs economist」。
ゴールドマンサクスによるとサウジアラビアの財政赤字が顕著。IMFにいわせると、サウジは原油を、バレル当たり90ドル以上で売らないと、財政収支は均衡しない。然るにゴールドマンの予想では、2025年のブレント原油の取引価格はバレルあたり62ドルであろう、とのこと。
サウジの政府支出は著増している。というのも「ヴィジョン2030」とかいう巨大事業をおっ始めているため。近未来には原油やガスの輸入に頼らなくていいように、自前の産業を育てようと焦っているのだ。
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Dmytro Shumlianskyi 記者による2025-4-13記事「Ukrainian Forces Use “Mother Drone” to Strike Russia’s Kursk Region」。
クルスクではウクライナ軍が、親子式ドローンによるリモート攻撃の腕を上げつつある。
1機の固定翼ドローンから、2機のクォッドコプター型のFPVドローンを放出する。親機である固定翼ドローンは偵察・観測し、かつまた、無線中継局の機能も果たす。
作戦半径は60km。
1機の特攻クォッドコプター(子機)には400グラムの弾頭が縛り付けられている。対AFV用ではなく、対レーダー用に考えられている。レーダー破壊には、その程度の爆薬でじゅうぶんなのだ。
ウクライナ軍が、最初に親子式の無人機運用を試したのは、2024-12であった。
今日、宇軍はそれを「マザー・ドローン」と総称しており、最大作戦距離は70kmだという。
※60kmぐらいが、市販品の中継用の無線デバイスの通信距離限界だと思われる。単に飛ばすだけなら電池式の固定翼機でもレンジはその数倍に行くだろう。
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Dmytro Shumlianskyi 記者による2025-4-13記事「French-German Institute Developing Optically Guided Sniper Bullet」。
仏独資本のISLというメーカーが、12.7mm×99mmの実包サイズで、光学ホーミングできる弾薬を発明した。
他律誘導のための電子部品は、径12.7mm、長さ54mmに抑える必要があった。
この製品をメーカーは「I-SMART」と呼んでいる。
光学センサー、電池、コース修正モジュール、通信ユニットなどから成る。
誘導は、弾道の終末でなされる。飛翔の前半では、無誘導。
現段階では、軌道修正のための計算を、誘導地上局においてしてやらねばならぬ。
しかし、ゆくゆくは、この弾丸の中のチップで、計算をぜんぶ完結させるようにする。
誘導メカニズムは、今、風洞実験の段階。まだ実射場でのテストには持ち出していない。
メーカーの計画では、射距離2000mにおいて、左右誤差50mの修正ができるようにしたい。
タマは、2000mまで3秒で達する。
この誘導弾を使えば、その距離で、時速60km/時で横行する車両に対しても、12.7mm弾を当てられる。
また、この誘導弾を導入することで、スナイパー育成の苦労が大幅に簡略化される。誰が射ったって、当たるのだから。
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The Maritime Executive の2025-4-11記事「Brazil’s Ag Sector Plans for Export Boom as China Pivots Away from U.S.」。
米支の貿易戦争のおかげで成金となりそうな、最初の勝利者が浮上した。中国向けに大豆をナンボでもふんだんに輸出することが可能な、ブラジルである。
トランプ・タリフがなければ、4月~5月には、合衆国産の300万トンの大豆が「Sinograin」社によって中国まで運ばれるはずであった。
しかし中共が報復としてかける125%の関税と、米政府による中共傭いの貨物船に対するイヤガラセ等により、この確保分はもう、どこかに投げ売りするしかなくなった。
ブラジル側では、ことしは1億1000万トンの大豆を輸出できるかもしれないと見ている。もちろん歴史的な大記録である。
今年、さいしょの四半期だけでも、すでにブラジルは、2700万トンの大豆を輸出した。これは昨年同期よりも4%多い。
現状、ブラジルから輸出する大豆の77%は、中共によって買われている。
なお、ブラジルから中共に送られる大豆船の9割は、パナマ運河を利用している。
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Erik Prince に対する2025-4-12インタビュー記事「I’m not so worried about China militarily」。
ブラックウォーターの創設者が、母校のヒルズデール大学で講演した。その機会に、学長のラリー・アーンがインタビューしている。
エリック・プリンスは、中共軍がおそろしいとは考えないが、米海軍の実態がお粗末すぎるので、米海軍は台湾戦争に首をつっこまない方が悧巧だろうという。
米海軍がおちぶれたと天下が知ったのは、4万トンの揚陸艦『ボノム・リシャール』の全損火事。サンディエゴで修船ドックに入っていたとき火災が発生。なんと最初の乗員消防隊が放水を開始したのが、出火から1時間半後だった。
おわっているにもほどがあった。
4万トンといえば、第二次大戦中の最大の空母よりもまだ大きな巨艦。その現役艦が、丸焼けになっているのだ。
米海軍は正規空母で台湾戦争に干渉しようとするだろう。ところが敵は数千発の対艦ミサイルを並べて待ち構えている。正規空母は120億ドルする。乗っているのは5000人。たいへんな結果が目に見えていないか?
1804のトラファルガー以降、英海軍は1世紀、世界の海を支配できた。しかしWWIのユトランド沖海戦では手酷くやられている。英帝国はそこから凋落した。地位も領地もうしなう一方だった。あたらしい競争者が現れた時、ガバナンスがぶったるんでいる旧体制は、もちこたえられない。これが今の米海軍にとっても、教訓なのだ。
台湾防衛の最善の策は、台湾国内に「郷土防衛部隊」を組織しておくことだ。
確実なことは、座標が前もってわかっている、すべてのアセットは、開戦劈頭に敵のミサイルの餌食になって、おしまいだ。
「郷土防衛組織」は、住民、侵略者に対する反抗の意思を、リアルな実力に変えてくれる。これは、侵略者にとっての「不可測」性を増やす。勝敗を読めなくしてやれる。ここが大事だ。
1775年において、英植民地軍に対して武器を執って立ち向かおうとしたのは、たった3%のアメリカ植民地人だった。とうじの英国は世界最強帝国だ。しかし、被支配者の反抗の意思がリアルな実力になったとき、その英帝国も敗退させられることになった。抵抗者の意思の作用は、支配者にとっては不可測なレバレッジを秘めている。
台湾の新編の郷土防衛軍も、俺に言わせれば、住民の3%で十分だ。だいたい、72万人規模になるだろう。
この72万人、地域土着のゲリラ戦法をよく仕込んでおいたら、それは、正規軍以上の侵略抑止力になる。
物量はモノを言う。1945にジューコフがベルリンに突入したとき、車両は60万台あった。ぜんぶ、米国の中西部の工場でこしらえて、ソ連に贈与してやったものだ。
この能力が、いまのアメリカには無い。
また今の米国の政治家に、武器弾薬のコストがわかっている者がいない。だから米国が戦争に関わるたびに、くだらない高額なシステムに湯水のように税金が注入され、それが結果として米国を安全にする何の役にも立ってくれない。ただ政治家どもの地元雇用を一時的に増やしただけである。
ヒルズデールではオーストリーの経済を学んだ。そのあと海軍に入り、シールズでかなりいい調子だった。しかし実父が死に、すぐに妻が癌にかかった。俺は家族の面倒を見る必要に迫られ、海軍を辞めた。
家族に心配のある者は、SEALSであるべきではない。それは両立しないのだ。
しかし、民間軍事訓練会社なら、それは両立する。だから俺はブラックウォーターを創始した。
ブラックウォーターの規模が大きくなり、仕事が多角化するにつれて、俺はトヨタの経営者のように、「コスト」について学ぶことになった。とうとう、「ひとつの戦争にかかるコスト」が、頭の中で暗算できるようになった。米国の政治家は、この数字が見えてない。俺には見えるのだ。
政治家はよくこういう。民間軍事会社は、政府がやるべき仕事をしているじゃないかと。
俺は1969生まれだ。ウッドストックとアポロ11号だよ。それから50年経ったが、政府は宇宙の仕事をしているか? 今では宇宙ステーションはロシア製だ。そこに人間を運ぶロケットは、民間会社のものだろう。
イーロン・マスクを、俺は支持しているよ。政府ができなかったコストで、彼は宇宙ロケットを完成させたじゃないか。彼がペンタゴンに大鉈をふるってくれることを、俺は期待している。
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Brendan Cole 記者による2025-4-12記事「Russia May Deploy Nuclear Weapons in Space: NATO Chief」。
NATO事務総長のマーク・ルッテいわく。ロシアは宇宙に核爆弾を置く気だ。
宇宙での1発の核爆発によって、米欧の数百機の衛星を破壊してしまう目的で。
もちろん1967の外宇宙条約違反である。宇宙に大量破壊兵器を置いてはいかんのである。
米宇宙軍の大将いわく。中共は2030年までに宇宙技術で米国に並び、2045年には宇宙を支配したいと考えている。
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Taras Safronov 記者による2025-4-13記事「Russia Sends Ukrainian Treason Convict to Orbit」。
4-8にバイコヌールからソユーズに乗ってISSまで送り届けられた、3人。
ひとりは米国籍のジョニー・キム。もうひとりはロシア籍のセルゲイ・リジコフ。もうひとりが、ウクライナで反逆罪に問われてロシアまで脱出した男、アレクセイ・ズブリツキィ。
Alexey Zubritsky は、生まれは Zaporizhzhia 州である。彼はウクライナでプロ軍人(空軍中尉)になった。そしてクリミアの基地に配属された。
2014にプー之介がクリミア切り取りを強行。宇軍はズブリツキィに、5月12日までに内陸の基地へ移動せよと命じた。
しかしズブリツキィは従わず、行方をくらます。
2025-3-11、ウクライナの軍法会議は本人欠席のまま、反逆罪で有罪とした。彼は現在32歳である。
こやつは2024にはケルンにある欧州宇宙局の施設で訓練を受けている。