国家としてのイランの最高リーダーに、イニシアチブと創意とが充溢していたなら、これまで十何年もの時間が与えられていたのだから、北朝鮮と同じこと――なしくずしの核武装――は、できたはずだった。しかし、できなかった。ハメネイは、北鮮の二代目よりも無能なのだ。核開発工場を、大山塊中の地下数百mの坑道内につくらせるという、パキスタンですらやっていた防空上の着眼を欠き、キーパーソンになる技術者たちをモサドから守る配意も無いように見える。
興味深いのは、周囲の誰も、「これではダメですぜ」と、親分に諫言ができなかったこと。これは、体制として停滞が鞏固化する一方のフェイズに来ていたことを示唆している。疾うの昔からテヘランは「能力主義」が機能しない空間になっていたようだ。ハメネイの息子も爆殺されていない。無能体制が永代継承されて行くことに、イスラエルの国益があるであろう。もし稀に異例に有能なタマが現れたら、爆殺して剪除するのは容易である。(ソレイマニを無人機で屠ったのは第一期トランプ政府だったが、イスラエルがみずからできなかったわけがあろうか?)
IRGC(イラン革命防衛隊)の中堅には、少壮有意の傑物人材も時に輩出することだろう。しかし彼らは主に国外のテロ組織支援でしかその手腕を存分に発揮することができないような、日常の機構の内圧があるのだろう。
「シャヘド136」を完成したのはイラン人である。その技師チームは、おそらくIRGCとは何の関係もない「近代人」たちだろう。
外部世界から注目されていない、このタイプの人材が、これからどのような「新案」を生み出すかに、世界は気を付ける必要がある。なぜなら、その発明品を外野は事前に探知ができないことは、ウクライナで継続的に証明されているのだから。
ひとつ予想しよう。
ダウ船のような偽装漁船の船艙内から、全重数十kgの、ごく低速のマルチコプタードローンが浮揚し、距離にして数kmだけを水平飛翔し、ホルムズ海峡を通航する原油タンカーの上甲板に意図的に墜落して、自爆する。
トランプは最近のメッセージで、中共はイラン製の原油を買い続けていてもいいよ、と呼びかけた。これは、すでに中東石油には依存をしていないとされている米国にとっても、なおまだ、ホルムズ海峡の静謐が、重大関心事であることを物語る。もしそこでタンカー妨害が続けば、まわりまわって、米国内のガソリン小売価格が上がってしまうことは避けられない。そうなると、米国有権者はトランプを憎み始めるからだ。
次。
AFPの2025-6-24記事「China helpless as Middle East war craters regional leverage: analysts」。
中共はこんどの「12日間戦争」にさいしてイランのためにほとんど何もできなかった。
特に防空協力。