Howard Altman 記者による2025-7-30記事「Critical Weapons Development Lessons From Ukraine Are Not Being Learned By The West」。
Deborah Fairlamb 氏への『ウォー・ゾーン』の1時間インタビュー。これは読み応えがある。
インタビュイーは2022いらい敢えてキーウ市内にずっと住んでいて、みずから「Green Flag Ventures」という投資会社をつくり、ウクライナ国内の、対ドローン、航法、通信技術のスタートアップに投資をしている。最先端の軍事技術に、とうぜんに詳しい。驚くべき話あり。
米国内の軍事技術系のスタートアップへのアドバイス。まずデュアルユース商品を持て。そうしないと「5年の死の谷」を越えられないから。ペンタゴンから契約金を振り込んでもらえるまでに、新案の売り込みから足かけ5年かかる。そのあいだをどう生き残る?
警察、インフラ・セキュリティ、港湾監視、国境管理などの、軍隊用とは限らない商品で、食つなぐしかない。だから、まずデュアルユースのキラーコンテンツを持て。それで収益を確保せよ。
インタビュイーは「Swarmer」という会社に投資した。こいつは有望。プラグインのように安易に後付けするだけで、あらゆる小型ドローンを「群制御」できる。ちなみに、中国人の夜空のドローン・ショーは、群制御ではない。1機ごとにプリプログラムが入っていて、GPSで自己位置を維持しているだけ。相互の間隔を自律で計ってはいない。「Swarmer」は然らず。
今、宇軍が使っているFPVドローンのクォッドコプターは、500ドル~1000ドルのコスト。少し大きな固定翼ドローンは、1万ドル~3万ドル。あなたがたは、1機が10万ドル以上もする無人機は、断然、拒否しなくてはならない。そんなものはまったくのカネの無駄だから。ウクライナ戦争の現実を見れば、私の言っていることが呑み込める筈。
現状、ウクライナ軍は、必要な技術革新を、3ヵ月ごとに実現できている。これは先進西側世界では、まず無理。制度が進化の前段階だから、無理。戦争の現実によって淘汰されてない制度なので。
ウクライナでは、中隊長と大隊長に、新武器の調達権限がある。すでにエコシステムに投入されている、承認されたベンダーのリストがあって、そこからならば、中隊長や大隊長は、直接に購入できる。国防省はそのあいだに介在しない。だから、このうえなく迅速。
たとえば、ECM回避のためのソフトウェアの開発スピードの進化。ウクライナ国内において、2022だったら、それには7ヵ月を要していた。2023年には、それは半年弱に縮まった。2024年には、4ヵ月弱に縮まった。2025年前半において、それは1ヵ月半でできるようにスピードアップしている。西側企業はとうていこの速度にはついて来られない。
中国やロシアの強味。政府高官が、洗濯機工場に行き、「明日からは洗濯機を製造するな。FPVドローンを来週の火曜日までに200万機納品せよ」と命令することができてしまう。欧米にこの真似はできない。しかし、これと同じことをやらなかったら、必敗の運命は避けられない。たとえば平時に米本土でひそかに数百万機の自律テロ・ドローンが組み立てられていたら?
西側の兵器メーカーは汚い奴らだ。ウクライナにやってきて、ウクライナ軍からノウハウを盗み、いつの間にか帰国し、半年もしないで、ウクライナ製とクリソツのコンセプトのパクリ製品を開発しましたと、しゃあしゃあと発表する。複数の事例を、この目で見て来た。
また、西側の兵器メーカーが「ウクライナの戦場でテストして成功しました」と言うのは嘘だから信用するな。これも実例を複数、見て来た。西側の兵器メーカーは、まったく、ウクライナ軍のスキルに、遠く及ばないのである。あんなのを実戦で使えば、たちまちボロを出すだけ。宣伝ばっかりだ。
地上の無人車両UGVは、兵隊個人がFPVドローンでたちまちにやられるようになったために、その必要が急増している。18ヵ月くらい前から。
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Sania Kozatskyi 記者による2025-7-30記事「Western Researcher Reveals Timeline of Development of Ukrainian Magura Surface Drones」。
研究者の H I Sutton が、あきらかにしてくれた。ウクライナの無人水上艇(USV)「マグラ」系列の、開発タイムラインを。
最初の「マグラV1」は2022-5から開発スタート。4人のエンジニアが、ウクライナ保安庁から、ロシア黒海艦隊を破壊できる装備の開発を請け負った。
ベースは、漁船とした。6メートルの船体に、強力な船外機。
2番目のバージョンである「Magura V2」はジェットスキーをベースにして開発。海岸から、スターリンク経由でリモコンできた。
2022年10月29日、アップグレードされた最新型「Magura V3」が、セヴァストポリ軍港を攻撃。これはUAV特攻と連動していた。
V3の内臓炸薬は150kg。
「マグラ V4」は秘度が高い。よって詳細不明。
2023投入の「Magura V5」は、シリーズ最大の長さ5.5m。このモデルが少なくとも17の水上目標を破壊した。
その次に「マグラ W6」型が開発された。三胴艇なので「W」にしたのだろう。2発のR-73空対空ミサイルをとりつけたのがこれ。
「Magura V7」は、最新型で、2025年デビュー。5月に米国製のサイドワインダーミサイルを発射して露軍の「スホイ30」戦闘機を撃墜したのは、これ。
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Rebecca Grant 記者による記事「6 Reasons to Say ‘No Thanks’ to Building U.S. Navy Warships in South Korea」。
米海軍のイージス艦の建造の一部は、今後は海外発注でもしないことには、中共海軍の増強に太刀打ちできなくなるだろうといわれている。しかし記者は新造の外注には反対する。メンテくらいなら外注でもいいのだが……。
最大の理由は、「生残性」。
米海軍の艦艇は、生残性の基準が世界一、厳しい。これは、譲れないのだ。たとえば1艦ごとに、水中衝撃波を浴びせる実爆試験が、就役前の検査として、義務付けられている。その他にも、細部にいたるまで、生残性に関しては、とてもうるさい。だから資材は安くなく、工期は長くなるのである。
2006に自爆ボートで奇襲された駆逐艦『USS Cole』は、ビルジを排水するダメコン・システムとしての発電機が動き続けていたおかげで、沈没を免れている。これは米海軍の基準だからこそ可能だった。他国製の軍艦なら、1発で電力がすべて喪失して、おしまいだったはずだ。
もうひとつは、韓国の造船所は、中共発のドローンによってスパイされ放題である。韓国には中共の工作を阻止する実力は無い。
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『スターズ&ストライプス』の2025-7-30記事。
単身赴任の米兵が駐韓を命ぜられた場合、従来は1年間で帰国できたのだが、10月1日以降に新規の赴任辞令を受けた者たちは、2年間となる。
ちなみに家族同伴の米兵の駐韓赴任の期間は、現行制度では、3年(以前は、それよりもやや短かった)。
※兵隊のなり手の確保に苦労している米軍のトレンドだと思われる。駐留軍の陣容を増大させるのではなく、現状の陣容を維持するためだけでも、赴任期間を延長してもらわなくてはならぬ。
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Thomas Fazi 記者による2025-7-30記事「Has Zelensky lost the West? He is becoming a liability」。
ゼレンスキーは西側の重荷になり始めている。
ウクライナの腐敗防止機関であるNABUは、EUの肝煎りで創られている。またもうひとつの類似機関のSAPOは、オバマ政権時代のバイデン副大統領が強いて創設させたものだ。
これらの機関を今、ゼレンスキーが弾圧にかかっている。だから大衆も危機感を強く感じて、澎湃としてゼレンスキー非難の大街頭デモが起きた。
セイモア・ハーシュによれば、米政府は2023に、ゼレンスキーの首を、ヴァレリー・ザルジニ将軍にとっかえようとしたことがあったのだという。バイデン政権すら、無条件でゼレンスキーを担いでいたわけではなかった。ウクライナではすべてが腐敗していたのである。だから易々と侵略をうけることにもなったのだ。そもそも。
一消息筋によれば、NABUとSAPOは、ゼレンスキーの個人的友人の実業家、ミンディッチに聞き取りを始めていた。要するに、ゼレンスキー本人に、腐敗捜査の手が及ぼうとしていた。それに対するゼレンスキーの反撃が、微罪容疑での家宅捜索というイヤガラセなのだ。
EUは今回のゼレンスキーの暴挙に対し、これでウクライナのEU加盟は難しくなった、と警告を与えた。
※すべての長期権力は堕落し、強権化する。それは、自国内の政敵(および、将来のライバル候補者)を今すぐに始末してしまいたいという本能を抑制できなくなるからだ。ニクソンはウォーターゲイトの盗聴工作などしなくてもよかったと後知恵では言えようが、本人はそう思わなかった。なぜなら、工作できる実力を自分は持っているし、とりまきも、ヤる気まんまんだったから。しかし、どんな政治家も、8年も国内に君臨したら、大衆から飽きられてしまう(ホーチミンだけ例外だった。ゼレンスキーはホーチミンから何も学んでいない)。その「飽き飽き勢力」をバックに、どこかからか、ライバルが浮上する。その現実を、現役リーダーの本能(ならびに、とりまき連中の打算)が、認容することが難しいのだ。プー之介(とFSB)が発狂したのも、この同じ機序にすぎない。結論。定期的な政権交代は、国家の健全な永続のために、絶対に必要だね。