ローマ帝国の崩壊と米国の崩壊の相違は、後者においては軍事的な墜落よりも早く、その政治文化が諸国からのきなみに嫌悪される段階に達した。

 Defense Express の2025-8-24記事「WSJ: Ukraine Still Has Some ATACMS, But the U.S. Secretly Forbids Strikes on russia」。
  『ウォールストリートジャーナル』紙によれば、トランプ政権はまたしても、宇軍に渡したATACMSの発射を禁じている。この禁止措置は2ヵ月以上前からだという。

 米国国防総省は、今年の春の終わり以降、ウクライナがロシア領内300kmを砲撃するなと、非公開で通牒している。

 エルブリッジ・コルビー政策担当国防次官が、この秘密の仕組みを制度化した。
 ヘグセスはこのプロトコルを使い、ATACMSを含むすべての米国製システムの、対露使用をしないように命令可能だ。

 それだけではない。米国はウクライナに、衛星によって得た標的情報を与えているが、この米国情報に基づいた長距離攻撃も、禁じている。したがって、英仏供与のStorm Shadow / SCALP-EG巡航ミサイルも、使い道がなくなっている。

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 『Defense Express』の2025-8-24記事「How Much russia Pays for Shahed Now, Down From $300,000 Per Drone in 2022」。
    CNNの報道によると、いま、アラブガで組み立てられている「シャヘド」片道自爆機の単価は、7万ドル前後だという。
 2022年には1機を30万ドルでイランから買っていたのと比べて、コスト・カット努力の跡が認められる。

 他方、シンクタンクのCSISは、2025-5時点で、シャヘドの単価は2万ドルと5万ドルのあいだだろうと試算している。
 さすがに2万ドルはありえまい。しかし5万ドルは、あり得るだろう。

 ちなみにウクライナ製の長距離自爆機「FP-1」は1機が5万5000ドルである。今、日産100機だという。

 これまでにリークされた公文書から、次のこともわかっている。
 最も初期にロシアがイランから「シャヘド-136」を買ったとき、イランは1機につき37万ドルを要求した。
 その後、量産効果により、ロシアが2000機を買いつけたときは、1機あたり29万ドルに下がった。
 さらにその後、ロシアが6000機を買い付けたときは、単価は19万3000ドルに下がった。

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 Peter Frankopan 記者による2025-8-14記事「The geo-economics of Russia’s bad harvest」。
  げんざい、ロシア産の肥料と穀物を中東やアフリカに輸出する分には、西側から経済制裁はかけていない。これは人道を重視したので。
 しかし2025年のロシアの穀物収穫は、過去17年で最悪になることが確実だ。つまり、売れる量は多くない。

 ソ連は食料を自給できなかった。農民に増産のモチベーションがなかったので。
 そこでソ連崩壊後、農民の土地私有を認めたら、とたんに、ロシアは農業大国になった。

 2014にロシアがクリミアを侵略したので、西側はロシアから食品を買わないことにした。
 しかし2016にはロシアは世界最大の小麦輸出国になった。

 ことしのロシア農村には春の霜害が生じ、10万ヘクタールの畑が全滅。続いて記録的な夏の高温が、南部に旱魃をもたらした。
 ロストフ州が穀物生産のメッカだが、当局は非常事態宣言。
 ロシアは2022に穀物を1億5800万トン輸出したものだが、ことしは1億3000万トンになるだろう。

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 Defense Express の2025-8-24記事「European Company Opens Factory in the U.S. to Produce 432,000 155 mm Shells Annually」。
  チェコスロバキア・グループ(CSG)の子会社である「MSMノースアメリカ」社は、既存のアイオワ陸軍弾薬工廠に梃入れして、敷地内に最新鋭の炸填ラインを建設する。年に43万2000発の155ミリ砲弾に爆薬を充填する。月に3万6000発だ。

 チェコ企業はこのプラントのために6億3200万ドルを投ずる。ラインは40ヵ月以内に稼働開始する。2029年9月にはフル稼働予定。

 ラインは高度にオートメ化されたものになる。
 それによって、これまでと同じ費用で、より多数の砲弾を製造できるようになる。

 ただし、信管や、発射薬の増産計画が、進んでいない。だからとうぶんは、西側各国軍は、155ミリ砲弾を無駄遣いできないであろう。

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 『マリタイム・エグゼキュティヴ』の2025-8-22記事「U.S. Deports More Cruise Ship Crewmembers as Visa Review Expands」。
  クルーズ船の乗員として米国の港に入ったフィリピン船員が次々に身柄を拘束されて、略式の手続きのみで強制送還されている。送還を拒めば本式裁判となり、25万ドルの罰金や懲役が待つとおどかされている。

 この動きは、港と内陸を結ぶ、コンテナ輸送トラックの、外国人ドライバーの追放政策と連動している。英語の道路標識を読めないドライバーを、トランプは根絶するつもり。

 ※これはトラックドライバー労組に媚びた政策と想像できるが、米国内の物流コストは容赦なく上がり続けるであろう。

 ※この夏、BSで昭和29年版の『ゴジラ』をゆっくり見直す機会があり、いろいろと「惜しい!」と思わされた。ジュラ期の古生物がもし深海で生存していたのだとすれば、そいつには鰓呼吸が必要だった筈。あの背中のフィンが鰓なのだという設定にすべきだった。水爆実験のせいでまずその鰓に障害があらわれ、よって海中には長くいたたまれなくなる。それなら、この怪物の「怒り」が、オーディエンスにも伝わるだろう。被曝したせいで、この怪物は常に呼気に放射能を含むようになったのだ。そのようにして体内蓄積を防ぐしかないのだ。空自の戦闘機は、ガンマ線のおかげで計器を狂わされてしまう。そのような説得的な描写が欲しかった。ところで今日の「ナノ・バブル」発生器と過酸化水素を組み合わせれば、あの作中のナントカいう兵器は、現実になってしまうのではないだろうか?

 ※今日の話のみでなく、数十年前にも、フィクション作家のあいだに「常識のギャップ」があった。そもそも戦前から、すべての専門エリート集団に「互助」のインフォーマルな制度が自然に発達している。それはしかし、当該エリート層のインサイダーの末席に加わらぬうちは、けっして、わからなかったりするのだ。野坂昭如は、帝国海軍の艦長(大佐)の子弟が路傍で餓死したりすることはありえないという「互助」制度の存在がわからなかった。それは明治初期いらい隠し立てもされずに続いた伝統のある互助文化なのだが、海兵出でも帝大生でもなかったアウトサイダー作家の目からはまるで「透明」(不可視)だったわけだ。梶原一騎は、昭和20年代に大学野球をやっていたような「エリート層」が、そもそも日雇い人夫でいたわけがないという常識を、想像もできなかった。星一徹クラスであれば、エリート同窓のどこかの企業経営者から部長待遇で迎えられたのは当然である。