2025-8-27の書評記事。
新刊『Tactical and Strategic Insights from the Russo-Ukrainian War』を書評する。評者は Lawrence Cline である。
この本の著者は2名で、Thomas-Durell Young と Gryz(名前にはポーランド文字が入るので略す)である。287ページ。英エグセター大学出版部 pub.
誰も、人海戦術が復活し、それを露軍が実行してくるとは思わなかった。誤算。公表されていた露軍の科学的軍事論文に、そんな話はまったくなかったのだ。
※とはいえ、野戦築城の重要性を軽視したのは、誰のせいにもできないだろ? 国境に要塞帯を建設していなかったのも、同様だ。
ひっかかったのは、近年の露軍論文は、間接侵略とハイブリッド作戦ばかりを強調していたから。人海戦術と要塞は、その対極に位置する概念だ。
つまり西側専門家は Valery Gerasimov の2016ドクトリンにばかり着目していた。
外野にとって、この戦争で役に立ったありがたいツールが2つ。
ひとつは、NASAの Fire Information for Resource Management System (FIRMS)。
もうひとつは Oryx 。フォーブズはオリックスを絶賛している。紛争分析でいちばん信頼できると。
この本は研究者は必買だ。たとえば開戦から半年間の戦場通信についてだけ焦点を当てた章がある。
末端では、Harris の無線機と Motorola のトランシーバーが大活躍した。
モトローラは、既存商品に簡易な暗号化を提供する後付けデバイスも売った。
別な章では、砲兵の復権が宣言されている。ATGMは敵軍の前進を遅らせたが、敵部隊を粉砕した主役は、砲兵であったと。
多数の大砲をまとめて運用するのが露軍流だった。宇軍は、1~2門の単位に分散し、頻繁に陣地変換させた。
宇軍の野砲は過度に使われ続けたので、さすがにその三分の一以上が「自壊」状態に……。特科の修理体制が大事だと確認された。
Google Meet の機能を使って住民が露軍部隊の現在位置を友軍砲兵に速報するシステムも、できあがった。
本書はUAVについてはぺージを割いていない。それは他書がさんざん解説しているから、あえて重複して書く必要がないのである。
他機関が語らない重要な問題を、本書がカバーしてくれている。
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『エルサレム・ポスト』の2025-8-28記事「Turkey detains defense firm Assan Group executives in military espionage probe」。
トルコの「Assan Istanbul Group」のオーナーならびに社長の2名が当局に逮捕された。嫌疑は、米国にかくまわれている反政府宗教家ギュレンの一味として反エルドアン活動や軍事スパイを働いたというもの。グループ傘下の10社が、政府の管財人の管理下に置かれた。
会社は1989年創立。防衛、建設、物流、エネルギーの諸分野に及ぶ。近年は弾薬と無人機の部品も製造しているという。
※トルコの兵器メーカーはかなり有能なのだが、もし経営幹部が反エルドアンだとエルドアンから認定されてしまえば、たちまちこのように弾圧されてしまう。そして米政府は反エルドアンの政治活動家の代表格を米本土内で匿っている。つまり、エルドアン体制が続く限りは、西側企業がトルコ企業と組むことには、不可測的なリスクが伴ってしまう。
※NYT記事をみると、ボルトンにかけられている嫌疑は、彼の現役高官とうじ、通信保全の万全な政府高官専用の回線を使わずに、機密情報を一般回線を通じて仲間に伝えた行為らしい。それならば通信記録の証拠が残っているから、公判維持は確実である。トランプとしては、これで江戸の仇を長崎で討てるぞと胸算しているのだろう。
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ディフェンスエクスプレスの2025-8-28記事「Unsinkable Gulfstream Motorboats Successfully Tested and Ready for Ukraine’s Defense Needs」。
ポリエチレンでモーターボートをこしらえれば「不沈」になるではないかと考えて実行したメーカーがあり、それを宇軍が使い始めている。
ガルフストリーム社製の「GS5200TSB」と「GS6400TSB」シリーズ。写真を見ると、船外機は「スズキ」のようだ。
同社は民間用には「Proper Boats」ブランドで販売している。