さいがいはわすれたころにクルディスタン。

 Bill Sweetman 記者による2025-9-5記事「Rising Dragon, Slumbering Sam」。
   空軍協会のシンクタンクであるミッチェル研究所が金曜日に公開した報告。「殲-20」は年産120機のペースで増えていると。
 それに対してF-35は、年産72機まで増やそうじゃないかと米空軍が呼びかけているが、難しそうだと。

 スウィートマン先生の見るところ、中共の軍用機設計者たちには多数の少壮が育っており、それらがしかも多様性をゆるされている。
 ちまり、ごく少数の系列だけに上から勝手に集約されてしまうという体制にはなっていない。

 米国にはステルス系統はたったの2つしかない。F-117からF-35に至る戦闘機系列と、B-2から始まる爆撃機の系列。退役空軍将校のあつまりであるミッチェル研究所は、F-35プロジェクトの再現モノカルチャーとしてF-47を一致して推している。これにはガックリ来た。中共は違う。多種多様なステルス・アプローチがあるし、無人機も同様だ。

 ※スウィートマン先生が、「F-47」を馬鹿馬鹿しいと考えていることが分かって、心強い。より多くの予算をより長く引っぱれるなら、コスパがいくら悪くとも、それこそが、退役将校たちにとっては、最善の政治なのである。したがって米空軍は「F-47」一択だ。

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 Tobias Fella, and Lukas Mengelkamp 記者による2025-9-9記事「The Strategic Void in Germany’s Defense Debate」。
  ドイツ軍は、近代化プロジェクトのひとつとして、「中規模軍」を創設する。

 これは、戦車中心の重機甲師団と、軽快な自動車化歩兵部隊のギャップを埋めるもので、装輪の軽装甲AFVで移動し、鉄道輸送に頼ることなく、ポーランドとリトアニアの間にある露軍の侵攻予想ルートにすばやく集中させることができる。

 だがこの議論はじつは末節である。そのメタ・レベルでの公論が、空白にされたままだ。

 戦略家のルーカス・ミレフスキは、対露戦争の難題をわかりやすく書いている。西侵してきたロシア軍をNATOが撃破するのはたやすい。しかしロシア国境を越えてその退却軍を追撃することはできない。なぜならロシアは核で脅すから。つまりロシア領土は、ロシアが戦争に幾度大敗しても、常に聖域として残り、それがあるかぎり、ロシア軍はまた再建されて、じきに性懲りもなくまた西侵を繰り返すのだ。

 ※ゆえにこそ、西洋は、今のウクライナ戦争を、「新・三十年戦争」に格上げすることを、真剣に検討するべきなのである。冷静に考えると、それしかないはずである。

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 Defense Express の2025-9-10記事「Kremlin Planned Drone Attacks on Poland Since July Using russian UAVs with Polish SIM Cards」。

  9月10日の夜の露軍による無人機空襲。ポーランド領空にも「ゲルベラ」が意図的に侵入してきた。

 じつは前兆が2ヵ月前からあった。ウクライナ領内で撃墜された露軍の固定翼無人機の残骸を調べたところ、4Gモデムが搭載されていて、そこにはポーランドの携帯電話機に挿入して使うSIMカードが挿されていたのだ。

 この報告はポーランドでは7月2日に公知のものになっている。
 別な墜落機からは、リトアニアのSIMカードを挿した通信機が見つかっている。

 これは何を物語るか?
 ロシアは、バルト三国やポーランドに対して「シャヘド」型の長距離片道特攻機による本格攻撃を仕掛ける準備をしており、それらの空域でNATO軍の防空体制がどう機能しているかを、多数の囮無人機にリアルタイム報告させて「隙のMAP」を作成しているのである。その報告は携帯電話のネットワークを利用した「LTE」方式で受け取る。そのためには現地にマッチしたSIMカードがちゃんと機能してくれないと困る。それも含めて、前もってテストを繰り返しているのである。

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 John Mac Ghlionn 記者による2025-9-8記事「Starmer’s Surveillance State」。
   かつてトニー・ブレアが導入しようとして失敗した、デジタルIDカードを全英国市民に持たせるという構想。移民犯罪の取り締まり要求を追い風として、Keir Starmer 首相が実現しそうである。

 記者いわく。このカードは、あなたが何を購入したか、いつどこへ旅行したか、すべてを記録し、政府がそれをいつでも承知できるようにするシステムだ。このカードは、運転免許証のデジタル版のようなもの・・・ではない。全く次元が違うものなのだ。

 最初は、犯罪対策に使うと政府は宣伝するが、それでは終わらない。

 中国の「social credit system」が先行見本だ。あれも最初は、金融機関の記録(借金踏み倒し)や裁判所の判決記録(前科歴)だけが登載されるもので、社会から悪者を締め出す役に立つのだと宣伝されたものだが、いつのまにか、あなたが横断歩道で信号を無視したか否か、SNSにどんな書き込みをしているかまでを、政府が常時監視可能なシステムに拡張されている。

 カナダの「デジタルIDパイロット」も、新コロを追い風にして、医療サービスを合理化するものとして普及したものだ。しかし今では、このIDのデジタル認証なしでは、大概の公的サービスから住民は締め出されるようになっている。

 オーストラリアの「MyGov」システムも、さいしょ、税金と給付のために導入され、それが今では、万能IDとして不可欠になっている。

 英国政府は、中央銀行デジタル通貨「CBDC」を導入するのが、大目標だ。これにより、英国住民のすべての取引は完全に可視化される。デジタル通貨とデジタルIDを組み合わせれば、政府は、あなたが何にカネを使ったかを追跡できるだけでなく、これからどのように使うべきかも決めてしまえるようになる。反政府的なウェブサイトにアクセスしたり、変なコンテンツに寄付をすると、爾後のあなたの経済活動の選択肢には政府によってフラグが立てられ、口座が凍結されたり、切符の購入が禁止されたりするようになるのだ。

 カナダのトラック運転手たちが抗議デモしたとき、カナダ政府は彼らの銀行口座を裁判なしに凍結した。カナダ人はようやく、現金こそが匿名性と独立性を無差別に個人に提供してくれる自由の道具なのだという経済史を学んだのである。

 英国のシステムが危険なのは、個人の生体認証データをぜんぶそこに集めようとしていること。
 英国では機密データ入りのラップトップが盗難されたり、政府のサーバーがハッキングされる小事件がしょっちゅう起きている。

 生体認証データを一回だれかに盗まれたら、あなたは悪い奴と死ぬまで永続的につきあわなくてはならない。犯罪者が1回それを悪用したことによって、爾後、あなたは銀行口座から締め出されたり、いろいろなサービスへのアクセスが拒否される。なぜなら、あなたの顔データや指紋データと、知らない誰かの犯罪とが、政府のデータ・サーバー内では、勝手に結びつけられてしまっているからだ。