その装備費用は環境省の予算を割愛することで充当されるべきだ。なぜなら現今の事態の責任はすべて環境省にあるからである。
「水平射ち」を、原則として、あり得なくすることが、考え方の出発点となる。
「逸れ弾」による毀害確率を、限りなくゼロに近づけることは、物理的に、可能なのである。
従来、猟用の散弾銃やライフル銃を用いて、ハンターが熊/羆を駆除しようとする際に、多重の法令規則がさまざまに射手の行為を制約し、自治体による即時的住民保護を遅滞させ、実効的な救済を甚だしく困難にしてきた。
法令規則の主旨は、万一にも銃弾による「逸れ弾」被害をあらたに生じさせないことにある。
この主旨を体する「駆除ツール」は、三つある。
一つ。
垂直に下方に向けて重い弾丸を射出できる、火薬を一切使わない、発射機構。
たとえば圧搾空気によって1発のスラッグ弾を上空5mから、真下の地表に所在する羆の背中に命中させて貫入させる機構は、システム総重量1kg未満で設計可能である。そのシステムを業務用マルチコプターに吊架することも雑作なく可能。
もしこのスラッグ弾が熊の背中を外したとしても、それが地面で跳飛するなどして水平方向へ10m以上も高速飛翔する確率は限りなくゼロに近く、予想外の周辺人畜被害を生ずる惧れは、合理的予見範囲内に、最初から抑制されている。
スラッグ弾そのものを特殊な設計に変更すれば、将来、この跳弾毀害確率は、ますますかぎりなくゼロに近づけられる。
二つ。
中型トラックもしくは大型ワンボックス車の頭上に高く立ち上げることのできる「高所作業台」。
市街地等に居座った熊/羆に対して、地形・地物の制約から、上記マルチコプターによる駆除が難しいというシチュエーションにおいて、「水平射ち」のリスクをなくする方法がなくてはならない。高所作業台上から、大口径で低速の銃弾、矢、もしくは麻酔弾を発射できる火器類を用いて、俯瞰射撃することが、合理的である。
三つ。
蛇型ロボット+麻酔剤。
家屋内に居座っている熊/羆を早急に無害化するためには、自走で屋内に進入した上で、当該害獣に対して至近距離から麻酔剤を噴霧することのできる小型ロボット、なかんずく蛇型のロボットを用いるのが穏当である。
ロボットとリモコン操縦者との間のデータ・リンクは、光ファイバー・ケーブルによる。これならばたとい地下空間内であろうとモニター信号が途切れることはなく、じゅうぶんに安全な運用を期し得る。
そもそも熊/羆の遺伝子の中には、蛇を嫌忌する本能がビルトインされているので、蛇型ロボットの姿を見ただけでも、屋内の同じ場所にはいられなくなると考えられるが、もしその蛇型ロボットを攻撃しようとして近寄って来たなら、そのタイミングで麻酔剤のミストを吹き付けられるのである。

[新訳]フロンティヌス戦術書 古代西洋の兵学を集成したローマ人の覇道