2025-12月の注目ニュースまとめ。
一、地中海のスペイン沖で12-23に沈没した重量物運搬船『Ursa Major』号は、ロシアから北鮮へ、原潜用のリアクター「VM-4SG」×2を運んでいた。マリタイムエグゼクティヴの12-28記事によれば、舷外でリムペット爆雷が炸裂したように疑われる。破壊工作の成果である可能性あり。果たして然らば、実行者は誰?
二、中共軍は、国産の24トン・クレーン車(ZAT24000H、9軸18輪)が、ICBM用のTELと寸法が酷似するので、この背負い式のクレーンを全面シートでくるんでしまえば、衛星からはICBMと見分けがつかないことに着目し、デコイとしての試用を開始。また中共軍は、重量物運搬船に「直10」ヘリ×8機を駐機させ得ることを誇示。さらに、コンテナ貨物船にミサイル入りコンテナをずらりと置いてアーセナル・シップにできる可能性を誇示。
※空母9隻体制にするとか、核動力空母を新造するとかも言い始めたが、これらの事業は10年では竣工はしないので、ようするに中共中央はあと10年は対米戦争できないことを自覚している。「前向き」に見える達成目標がとつぜんに与えられ、高いハードルにもっか全力でとりくんでいるように人々に見せることは、そのあいだ、ず~っと何もしないことの、正当化なのである。
三、米海軍がここへ来て、高性能の飛行艇が欲しいと言い出した(タイラー・ロゴウェイ記者による12-23記事)。C-130改造案はとっくに放棄されているから、候補機としては川西の「US-2」の一択。それ以外では、今から間に合うわけはないので。わたしが2014年夏の草思社の本で指摘したこと、《US-2というものがありながら、なんでそれよりも見劣りのするオスプレイなんか買わにゃならんの?》の答え合わせが、もうすぐになされるだろう。
四、英仏は、供与したストームシャドウを初めて、ロストフの Novoshakhtinsk 製油所に向けて撃ち込ませた。これも含めて12月の露領内エネルギー施設に対する宇軍による空襲は、過去最大だった。
五、中共がロシアから輸入する「Gold」が2025年は爆増。24年は2億2300万ドルだったが、25年は11月までで19億ドル。これがロシアを延命させている。
2025-12-11のイリーナ・ビジギナ&ミハイル・フィリッポフ記者による記事「なぜロシアはこれほど回復力があるか」によれば、クレムリンの大統領府が、細かいことは「地方の知事」の自由裁量に任せていることが、ロシア経済をもちこたえさせている秘密だという。
六、露軍は「シャヘド/ゲラン」にAAMを搭載することによって宇軍のF-16を追い払えないかどうか、模索している。墜落機の写真で判明(アントン・ポノマレンコ記者による12-20記事。この記事は、ゲランの今後を占うのに役に立つまとめになっている)。
七、空母『トルーマン』のスーパーホーネットが友軍巡洋艦から誤射された2024-12-12の事件。ハワード・アルトマン記者による記事2025-12-5記事によると、もう1機、バディ給油任務のスパホも、同じ巡洋艦のSM-2で撃墜されるところだったという。フーシの地対艦ミサイルと、区別がつかないのだ。この給油機は、マニュアルにしたがうならば、SAMがすれちがう前にベイルアウトすべきだったが、前席パイロット(後席WSOよりも下位)がかわせると判断して機動。じっさい、助かったという。米海軍ですらこの錯誤がある。中共の空母艦隊は、味方機と敵ミサイルを識別できるのか?
八、ピーター・グッドマン記者による2025-12-4記事は、米本土に先端チップ工場を新設することがいかに面倒くさいか、余すところなく説明している良記事。
九、Pranay Kumar Shome 記者による2025-12-3記事「Gramsci’s Neo-Marxism and Chinese Hybrid Warfare」も必読。ただしこれによっても、なぜトランプがプーチンのいいなりなのかは、まったく説明され得ない。個人的に弱みを握られたのだ仮定した場合にのみ、いまのところ、現象が矛盾なく説明される。
11月下旬のニュース。北鮮の小学校では4年生からロシア語が必修になったという。
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ディフェンスエクスプレスの2025-12-30の記事。155ミリ榴弾砲の砲身と弾丸のマッチングについてわかりやすく解説されている。この分野に口を出そうという人は必読の記事だろう。
もうひとつ。Compass Points の2025-12-20の「Still the King」という記事も、砲兵の最新事情を把握するために必読。
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Steve Balestrieri 記者による11月の記事「The U.S. Navy Can’t Build A Navy Anymore」。
米海軍のフリゲート艦量産計画が完全に破綻した。その内実をわかりやすく解説してくれている記事。
このような状態で「戦艦」なんて新造できるわけがないことが誰でも理解できる。また、ハリソン・カス記者による数日前の記事も、この「戦艦」事業がそもそもまじめな提案ではあり得ないことを教えてくれている。