アメリカに詳しいと言える人は片岡鉄哉さんと藤岡仮面ライダー1号くらいなもん?

 昔、マガジンハウスという出版社があって(今でもあるか)、何をコンテンツにして商売していたかというと、徹頭徹尾「アメリカ」を売っていた。アイヴィーファッションはこうですよ、西海岸ではこれが流行ってますよ、とね。たとえば、上がジャケットで下がジーンズなんて、今じゃ誰も違和感をもちませんけど、1970年代から1980年代のある時点までの日本では、耳でそれを聞いただけでは、「絶対にありえない」格好だったのです。しかし、画像で伝えられる情報ですから、すぐに違和感がなくなりました。
 その後、「オレはCIAのジョーと電話で話せる」とか「私はユダヤの陰謀を知っているのだ」と仰る言論人が出てきた。英語のいろいろな雑誌をたくさん読める日本人が、その興味のあるところを要約して日本語にする。ついでに脚色も加えていた。英文の活字ソースにわずかでも裏づけのある「噂」であれば、そんな「通の情報」も日本国内ではそれなりに貴重だったのです。いやもちろん竹村健一さんは別格ですとも。あの人はソースを厳選していました。マクルーハンなどの真に意義あるハードカバーを日本に紹介してくれたと思います。
 ところが絵でも活字でも伝わらないアメリカ事情というものもあるんです。その最も深刻な欠落情報が「女々しい国民はアメリカの同盟者には選ばれない」という米国人のデフォルト感性。
 カンのいい日本人なら、ハリウッド映画の演出をみているだけで、これが分かります。しかしカンの鈍い日本人は、何十年もワシントンD.C.で暮らしていても、ここが分かりません。
 たとえばの話、「横田めぐみさんという中学生が北朝鮮に拉致されたままです。かわいそうです」と訴えても、アメリカ人は同情してくれません。なぜなら、日本国は自分では何もできない幼児ではない。一人前の大人のはずだからです。『だったらよ、お前たちの自衛隊が行ってすぐ奪還しろよ、ヴォケ!』と心の中で思われるのがオチなんです。ですが、そんなことも全然分からない日本人が在米邦人でも9割くらい居るのが現実です。
 逆にたとえばの話、「北朝鮮が拉致した日本人を返そうとしないので、日本は昨日、北鮮と単独で戦争をおっ始めました。しかし大苦戦しています」と訴えれば、アメリカ国民は「それだったら加勢してやるか」と思います。この場合、敵が毒ガスを使おうが生物兵器を使おうが、関係ないです。
 少なくともここが分かっていない日本人には、対米宣伝のイニシアチブはとれません。兵頭は少なくともそこが分かっておりますので、NSAのマイクと電話で話せる人や、ロスチャイルド家の世界支配計画に詳しい人たちなどよりは、対米宣伝の方針についてお任せをいただいて大丈夫です。
 国際宣伝戦の最先進国である英国では、早くも第一次大戦中から、宣伝活動における「MUST」と「MUST NOT」の数々をマニュアル化しています。そういう英書を翻訳した戦前の古本が国会図書館などにはたくさんありますから、片端から読んでみてください。
 その大事な準則の一つとして、「敵の非難に対して言い訳だけをするような放送はするな」というのがあります。
 つまり、プロパガンダは大衆向けにするものですが、大衆は、強い人間をまず頼る気になります。そのため最初から弱そうな発言者はもうそれだけで大衆から嫌われ、信頼感までが低下してしまうのです。
 ゆえに、宣伝は、態度として攻勢的でないといけません。宣伝が防禦的に見えてはならないというのが英国人の結論です。
 攻勢的と申しますのは、幾人かの日本人のように軽躁な調子で人を罵ったりDQNのように大声を出せということではなくて、敵の主張のホコロビを理知的に衝く方にウェイトをかけろ、ということです。そしてその前に、本然の態勢として、常に堂々と立っておれ、ということなんです。
 たとえばシナの反日宣伝に対して、第三者である外国人が「日本は誤解されている」という見出しで弁護を展開してくれるとしたら、これは何の問題もない。
 しかし、日本がシナの反日宣伝を受けたときに、第三者である外国人に対して「日本は誤解されています」との見出しで対抗宣伝を打ったとしたら、それは「負け確定」になってしまうんですよ。
 米人流に言えば、そういうのは良い大人が女々しく同情を引こうとする言い草であって、あまりに“SISSY”に映るんです。
 ですから、本会の名称やホームページの名称も、とても大事なんです。「受け身」のイメージを纏ったら、活動を始める前から、もうおしまいなのです。
 反論のベースとなる客観的証拠の能力がそもそも弱いのではないか──と米国人から勘ぐられかねぬような防御的な辞句を、会の名称やホームページにちりばめることは、愚かしく、不利です。これは戦後サヨクが言語空間を支配する日本国内向けの活動ではなく、あくまで対外活動であることを、確認していただきたいと思います。
 1929年にシナ人が英文で捏造した「田中上奏文」は、なんと東京裁判の検事側の論拠になってしまいました。東京裁判の影響は今日なお日本人の権力を脅かしています。つまり、米国人がシナ発のブラックプロパガンダを信じてしまう(それに日本人が英語で反駁しない)ことの有害性は、国内のアカメディアよりも放置ができない。ぼんやりしているうちに、原爆が落とされ、領土が奪われ、元首相が吊るし首になり、その後の日本国民の長期的な安全保障も破壊されてしまいかねないのですからね。
 国内向けのホワイトプロパガンダであれば、すでに『正論』(左右のオピニオン誌の中では最もたくさん売れています)と『諸君!』の2媒体が、1970年代から、もうこれ以上は不可能というぐらいに徹底的に活動を展開をしています。またげんざい『文藝春秋』は総合誌の売り上げトップで実売が数十万。『正論』は実売が数万部ありますのに比し、アカ雑誌は数千部レベルではないのでしょうか? 全国の図書館には何故かたいていアカ雑誌がフルラインナップで並べてありますけれども、読む人はいません。
 フラッシュの公開や大衆向けの脱洗脳に関しては「2ちゃんねる」がほとんどそのために提供されたサイトのようになっています。「2ちゃんねる」以上の大衆向け脱洗脳機能を、われわれのような小さな会のHPで果たせるわけはありません。右翼系BBSがすでに数多く立ち上がっていますが、ほとんどが「2ちゃんねる」でインパクトを与えられない欲求不満居士のオナニーの場で、狭いインナーサークルの常連仲間が覗くだけではないのですか?
 北鮮報道がTVワイドショーで自由にされるようになったこと、先の総選挙では旧田中派の放逐がかなり進んだという現状を見ても、国内状況はそんなに悲観したものではないのです。
 ところが、この国内状況に比較しまして、海外でのホワイトプロパガンダ活動は事実上、組織的なものは「ゼロ」です。個人が外国新聞のガセ報道に苦情のメールを出している、そんなものしかないのです。この「セキュリティホール」に北京は近年目をつけていて、大々的な英文・欧文による反日ブラックプロパガンダ活動を、日本の外で展開しているのです。これに米国のマスコミと識字階級がひっかかりつつあるのです。もし今のまま、次の大統領が民主党に交替してしまいますと(片岡先生によれば、それはあり得ます)、日本の対支・対鮮の安全保障水準は、あのクリントン時代より酷いことになるはずです。第二の東京裁判があり得るのです。これを憂いて立ち上がりましたのが兵頭と茂木であります。
 米国の中にも、シナと抗争する日本の立場を擁護したいと思っている人士は一定程度いるわけです。共和党の安全保障の専門家、極東の専門家は、シナが米国の本質的な敵であることをよく理解しています。ところが、彼らは日本語文献を読めませんから、言論の上で日本の過去を効果的に弁護したくとも、「証拠」が引用しにくいのです。この日本とその米国内の弁護人にとりましてまったく不利でありすぎる現況を、当会が変えてやろうというわけです。当会のような小さな団体でも、それならばできるのであります。それが、決して無限に得られるわけではない労働時間と資金を使って、最も有意義に日本の安全保障に貢献できる道だと兵頭は思います。
 当会の真のサービス対象である識字階級の米国人が、このjpドメインのサイトが一体どんな政治的立場でどんな専門情報を提供しているのか、検索エンジンで見当をつけ易いことは、比較にならず重要でしょう。
 繰り返します。外国人相手には、正々堂々と立っていなければダメです。曖昧でないHPのアイデンティフィケーションが不可欠です。