もともと英語の本の「英訳会」での取り扱いは面倒です

 シェークスピアの子孫が生きていたとしても、『リア王』の版権料をくれ、と世界の出版社に要求することはできません。英国の著作権法で、著作権の有効期限が切れているからです。
 この有効期限の計算方法ですが、版が最後に更新されたときから数えて、定められた年数が経過するまでにその版の更新がまったく無かったときに、消えてしまう(版権フリーになる)のが、一般的であるようです。
 ただし上記は、しっかり調査したわけではなく、ウロ覚えです。あとで正確なことが分かったらまた書き込むことにします。(というか、詳しい人が投稿してくれ!)
 げんざい、日本の国会図書館では、戦前の刊行物をデジタル画像化してインターネット公開に供する作業を進めていますが、この公開化ペースがとてもゆっくりしているように見えますのも、理由があるんです。
 1冊ごとの「ひょっとして版権がまだ生きているのではないか」の確認作業にとても手間取っているからです。
 もしその古本を戦後にオフセット印刷で復刻した地方の弱小出版社が存在したら、その本は版権フリーの戦前本とは看做せなくなってしまうんです。著者の遺産相続人から一札が取れればそれがスペードのエースですが、これも絶対ではない。そもそも遺族が探し出せないケース、版権の相続人が判明しないケースも多いわけです。
 これが外国人の著書となったら、面倒くささは倍以上です。向こうのエージェントを頼りに版権相続人を探すことになるでしょうが、エージェントも無料奉仕ではないですから、なかなか「その著作ならタダでどうにでも使ってくれ」とは、ならないのではないでしょうか? 本会には余計な出費を負担する体力はありません。
 その交渉そのものが、かなりのマン・アワー、それも版権交渉や英文の契約文書に練達したプロのマン・アワーを必要とするのです。そしてご承知のように「英訳会」にはそれを担当できるような人力は現在、一、二人しかいないわけです。この人たちには今は他にやるべきことがいっぱいあります。弁護士の「のまタコ」さんはボランティアで会の定款づくりをしてくださっていますが、30分の仕事で最低でも5000円稼げるご本業の傍らで、現在でもすでにたいへんな時間提供をしてくださっているのです。これ以上の雑業は積み上げられません。
 当英訳会は、その規模の限界から、1冊の本のプロセスに取り組んでいる間は、他の本には手が出せないでしょう。複数の本を同時に処理するだけの人的・資金的余裕がとても無いのです。そこで、とりあげる本には優先順位をつけなければなりません。
 そして、もともと英語の本は、アメリカの図書館にはあるわけです。ですので皆さんが「タウンゼントの本のnnページにこういうことが書いてあるぞ」と英語で短く掲示板に書き込めば、それが立派なホワイトプロパガンダになるのですよ。それを是非やってください。
 本会には本会しか発揮できない機能があり、それは和文英訳なのです。
 近いうちに、会とは別枠で「原文引用が比較的に充実している英文サマリー」を集積していく特設HPもこしらえるつもりです。そのHPでは、和書だけではなく、洋書の英文サマリーにも注力をしたい。サマリーの投稿は暫くはファンサイトの掲示板にお願いします。
 米国人が、特設HPに集積されている複数の英文サマリーを見ると、たとえばタウンゼント本のどこに何が書いてあるのか、ほぼ分かる。そんな「非常に親切すぎる索引環境」を構築できれば理想的です。
 有志のご協力を呼びかけます。