ロシアからの報道で背景がクリアに

 韓国の初歩的偵察衛星(地球観測衛星)が、ロシアの宇宙ロケットで打ち上げられたようです。
 これで、先般の北鮮によるミサイル乱打の意味の解釈に、また新たな材料が付け加わりました。彼らの「ファッビョーン!」はいつものこととして、なぜあの時に……の事由は、この韓国偵察衛星の打ち上げスケジュールで、説明できることになったように思います。
 ロシアの軍事ニュースを英語で毎日更新しているウェブサイトがあります。延々とそれをチェックしていれば、たぶん6月かそれ以前に「韓国衛星の打ち上げが近々に迫っている」と承知できたでしょう。
 ……が、あいにく、こちとら現在、「巣鴨プリズンA級容疑者獄中手記全読破」に取り掛かり中のため、とてもそんな宇宙ヲタのような暇はなかったわけであります。まあ、暇があってもロシアのニュースは毎日みるもんじゃないですけど。
 韓国が衛星をロシアに打ち上げさせたのは、衛星写真の情報に関して米国から支配を受けたくないという意思の表われです。
 北鮮の弾道弾の数量を把握するだけなら、韓国政府が欧米の民間企業に高解像度の衛星写真を発注すればたぶん済んでしまう。けれども、それだと、最も機微な部分で、他国政府から「騙される」可能性が払拭できません。(衛星写真を商う私企業は、所属国家の情報機関から監督をされていますので。)
 たとえば、本当に38度線沿いに有力なロケット砲兵部隊が展開しているのか? 兵隊は寝てるんじゃないのか。ソウルが火の海になるなんて、あり得るのか?
 痒いところに手が届かないのです。
 そこで、既製の民間衛星写真よりもいくら悪い解像力であってもよいから、とにかく自前の軍事衛星を持って自前で運用していくことが、アメリカからいいかげんな加工情報(北鮮は核を持っている、の類)を掴まされて踊らされないための担保となるわけです。
 この韓国衛星がうまくいくと、今後、アメリカは、北鮮軍の攻撃力を誇張して世界に伝えることはできなくなるでしょう。日本政府(というか空自必死杉じゃね)は、これまで政治的思惑からアメリカの意図につきあって、北鮮軍の脅威を一緒になって誇張してきました。が、まもなく北鮮の実態は韓国政府によって丸裸にされてしまう可能性が出てきた。
 敵味方両陣営合作の、愉快な幻想が破壊されてしまう!
 それが予測できたので金正日は先手を打って、いままでずっと秘密にしていた長短2種類の弾道弾のスペックを、「準備秘匿なしの実射+テレメートリー」で公開したのでしょう。韓国情報機関によってさらしものにされる前に、自分から性能を白状してスッキリした。
 あらゆる北鮮の弾道弾の数量は、衛星写真で各国政府に知られていました。そしていまや、あらゆる性能も把握された。
 「ぜんぜん大したことないやん!」
 米朝日の共同幻想に加わらないメンバーが一人でも宇宙に参入すれば、もはや、北鮮は軍事的に、ゼロです。腹いせに、この衛星を打ち上げるロシアの近海を狙って演習弾を落としてやったのは、納得ができるでしょう。