特別UP版《摘録とコメント》──海は汚れない──

▼米国原子力委員会・編『原子兵器の効果』武谷三男・他訳、1951-3科学振興社・刊
 1948に編集企画。ロスアラモスがデータ協力した。
 ウラン238、235、トリウム232などが不安定なのに天然に産するのは、その半減期が非常に長いから。
 遅い中性子は、高エネルギーの高速中性子よりも原子核に捕えられる確率が大きい。
 ウラン238は高速中性子によって核分裂する。235は高速中性子によっても、また遅い中性子によっても核分裂する。プルトニウム239は、ウラン235と同じように、高速中性子でも遅い中性子でも核分裂する。
 原子番号が増すと、中性子の数も増えないと原子核は安定しない。中性子の数が増えると引力が増して、ある程度の斥力を中和する。だから、不安定で、より分裂しやすい。
 原子核の結合力は、分子の化学結合力より大である。だから、放出されるエネルギーも桁違いとなる。
 この本では、広島原爆と長崎原爆はキッカリ20キロトンの出力であったと仮定し、それを標準(ノミナル)原爆として話をすすめる。
 ウラン235の1kg(2.2ポンド)が完全に核分裂すると、20キロトンのTNT爆発と等しいエネルギーが出る。だからノミナル原爆を想定すれば話としては都合が良い。
 このノミナル爆発のエネルギーは、2×「10の13乗」カロリーである。
 弱い地震のエネルギーは、ノミナル原爆の100,000,000個分のエネルギーに等しい。
 ※まだ臨界量という訳語はないようで、「限界の大きさ」と書いている。
 ウラン238は、中性子を吸収する非核分裂をかなりの程度おこなう。これが核分裂と競争すると、連鎖反応は不可能になる。
 核分裂で飛び出す中性子は高速だが、低い原子番号の原子核に衝突すると著しく遅くなる。※原発の減速剤に重水が使われている理由。
 プルトニウムは「パイル」または「ニュークリアリアクター」でつくる。同位元素235と238を含む純粋のウランの棒を石墨[ママ]の枠組みの中に挿入する。※黒鉛と表記されるべきか。ただし黒鉛は炭素であって鉛と関係ないからこの訳語自体も科学的でないきらいがあるが。
 原子雲の上昇速度は、高度1万フィートでは毎時200マイル、高度3万フィートでは毎時12マイル。
 出力が大きいほど、この雲は高く上昇する。アラモゴルドでは4万フィートまでであった。
 大きな森林火災や、ヨーロッパの都市に対する大空襲のあと、軽い驟雨が降っている。
 ビキニのエーブル実験でも2~3時間後に軽い驟雨があり、弱い放射能を含んでいた。この「雨」の放射能は人を病気にさせるほど強いものではない。
 海軍が海面の波を油でしずめることをオイルスリックという。海上核爆発でもこのスリック海面がまず広がる。
 海上核爆発では、<落下する水しぶきのぶ厚く高い円筒壁の輪>=ベース・サージが、高速でまわりに広がる。この現象は、1947年のテキサスでの大量の通常爆薬の水中爆発のときには観測されていない。核爆発のときだけに観察されるものである。そしてベイス・サージの水滴は強い放射能を含んでいるから、これを被った船舶や陸上の建物は、強い放射能で汚染されてしまう。
 都市に対する核攻撃でおそろしいのは、このベースサージをわざと発生させるように、都市に近接した河川や海の水中で弾頭を炸裂させることだろう。都市は高濃度に汚染されてしまう。ただし破壊される範囲は狭くなる。
 ノミナル爆発でのベースサージの壁の厚さは300フィート。
 ノミナル原爆で最大の毀害面積を生じさせるためには、高度2000フィートで爆発させる。ただしその場合、その直下の地表でも、核シェルター用によく設計された鉄筋コンクリート建物ならば、破壊されず、内部の人間は守られる。
 ノミナル原爆の火球は1,000,000℃に達するが、この起爆高度が低すぎて火球が大地に接すれば、土壌を蒸発させるために、厖大なエネルギーを消費してしまう。そのため、水平方向への衝撃波や熱放射は半減してしまう。
 粘性の湿った土は、軽いローム質の土壌よりも50倍もよく地中爆発の衝撃波を伝播する。
 煉瓦構造の壁は爆風にまったく抗堪できない。ガラス窓はまちがいなくすべて破壊される。建物に風が通り抜ける通路があると抗堪力が増す。
 ※戦前の日本では台風の暴風雨圏に入ると木造3階建ての大きな学校校舎は倒壊をさけるために窓を全開にしていた。もちろん休校。
 爆風波は1秒も持続する。通常の爆弾なら千分の一秒である。
 鉄骨ラーメン構造の工場は、屋根が剥がされ、鉄骨が曲がる。
 最も重大な結果は、各所で水道管が破壊され漏水するので、消火栓の水圧がゼロになってしまうこと。
 163ページ。丘陵で保護され無傷で済んだ長崎市内の住宅地の写真。※この写真が戦後、流布していないことこそ、情報操作である。
 広島よりも長崎の方が生じた荒廃の面積がより小さかった。
 広島ではグラウンドゼロから8000フィートにおいても屋根瓦が飛んだ。
 広島のグラウンドゼロから700フィート水平に離れた地点にあった地上3階建ての鉄筋コンクリートビルの写真。外壁は窓以外はなんともない。屋根だけが内側に凹んだ。ただし屋内には火災が生じ、可燃物が燃え、これによって漆喰が剥げ落ちた。
 関東大震災以後、法令が整い、1945時点で日本の建物は「100尺規定」があった。すなわちビルを100フィートより高く造る事はできず(旧丸ビルの高さ)、また重力の0.1倍の横荷重に耐えるように定められていた。これは核爆発の横風に十分に耐えられた。
 177ページの写真。破壊された工場の内部。当時は工作機械毎の電気モーターではなく、工場のどこかの単一動力源からベルトをリレーして工作機械を駆動していたことがわかる。このベルトのリレーの位置関係が爆風でずれるから、機械はまったく使えなくなる。
 またベルトは頑丈なので、建物が爆風でぐらつくと、機械をひっぱりあげる作用をし、土台からずれさせてしまった。
 鋼鉄鈑金製の煙突は壊れた。鉄筋コンクリート煙突は残った。
 グラウンドゼロから260フィートの鉄筋コンクリート橋梁はビクともしていなかった。
 土壌は、半径2000フィート以内では、最大1フィート、沈下した。この沈下が場所によってまちまちなので、埋設水道管が破損した箇所があった。
 爆心から6600フィートにあったガスタンクは破壊されガスに火がついたが、爆発はしなかった。
 アメリカ製の自動車は、爆心から3000フィートにおいて、おおきなダメージを受け、燃えた。
 18インチの覆土をしただけの、木枠組みの浅い防空壕は、爆心から900フィートから無傷のものが見られ、半マイル以上になると、被害をうけたものはなかった。
 長崎では爆心から8500フィートまで家屋の構造上の重大被害あり。広島では7500フィートまで。※リアル出力の差による。長崎の方が強力な爆発だった。
 ノミナル原爆が地下40~50フィートにめりこみ、そこで起爆した場合は、空中爆発にもとづく被害半径の「1/2~2/3」の半径にわたって被害をひきおこすだろうと予測される。
 このとき、もし深いところに岩盤が存在すると、衝撃波が反射するため、被害面積は広がる。
 もし地中50フィートでノミナル原爆が炸裂した場合には、直径800フィート、深さ100フィートのクレーターができる。吹き上げられた土は風下1マイル、風上0.2マイルに落ちる。
 ノミナル原爆を水中で起爆させると、半マイル以内の軍艦に対してひどい浸水被害を与えることができる。その最も適当な起爆水深は、水面下「1/4」マイルである。
 海水の浅いところでノミナル原爆を炸裂させた場合、爆心から2700フィート内にある潜水艦は、沈没するだろう。
 原爆のガンマ線が大気の酸素と作用してオゾンができる。このオゾンは赤外線を吸収する。また水蒸気は紫外線を吸収する。
 衝撃波によって衝撃をうける面積の比は、近似的に、爆弾のエネルギー放出量の「2/3」乗に比例する。
 広島と長崎の爆発は上空2000フィートで行なわれた。直下の地表部では瞬間温度がおそらく3000~4000℃になったろう(pp.233-4)。※高性能爆薬が近くで爆発したときの温度と桁違いに異なるわけではない。フォークランド海空戦でアルゼンチンのミサイル攻撃で大火傷を負った英艦乗組員の画像を参照すると納得できる。
 白い衣類の熱線火傷に対する皮膚の防護効果は顕著だった。爆心直下ではダメだが。
 白地以外の衣類は、熱線火傷を防いでくれなかった。模様の部分もヤバイ。
 原爆の赤外線の大部分は、爆発してから0.3~3秒後に放射される。だから、爆発に気づいて1秒以内に防禦することができれば、無防備で立ち尽くしていた場合の1/3の赤外線を浴びるだけで済む。
 火災によってひどい被害をうけた地域は広島では4.4平方マイル。これは長崎の4倍である(p.250)。※出力の差からは説明できず、地形の差がこれを説明する。
 広島では爆発後30分でファイアストーム現象が生じた。周囲から風がふきこむ現象で、2~3時間持続した。この風は、火事の延焼を外縁方向には阻止するはたらきもしたが、ストーム内部は家屋は丸焼けとなった。
 閃光熱と火災。これによる火傷による死者が、広島でも長崎でも、全死者の半分以上を占めたはずである。また全負傷者の原因の3/4を占めた。※民間防衛は第一に大量火傷患者の救済対策を立てねばならない。
 水中または地中爆発では初期放射能はすべて吸収されるので、二次放射能だけが問題となる。
 ふつうのコンクリートはアルミニウムと同じ比重。したがってコンクリートとアルミの放射能防護力は同じである。だからもし、厚いコンクリート壁と薄いアルミ壁があったらば、厚い方の壁に依るべし。
 ガンマ線を防ぐためにある重さの鉛が必要だとしたら、同じ効果をコンクリートで得るためには、その必要とされた鉛の重さと同じ重さだけのコンクリートを打つ必要がある。
 ガンマ線の強さは、その発生源からの距離の2乗に逆比例していると考えればよい(pp.272-3)。※すなわち可視光線の法則と同じ。
 ノミナル原爆の場合、距離2100フィート以内では、衝撃(物理)的&熱的な破壊作用が圧倒的なので、放射能対策よりもそちらを先に考ることだ。また9000フィート以遠では、輻射線の被害はほとんど生じない。ただし数発の核爆発が繰り返し起きれば、その距離でも被曝量は無視できなくなるが。
 ノミナル原爆の爆心から2100フィートにおいて、ガンマ線を400レントゲンの致死的被曝量以下に抑制するためには、厚さ20インチのコンクリート、もしくは3インチの鉛の壁が必要である。
 固めた土のブロック効果はコンクリートの0.6倍だと計算すればよい。だから30インチの厚さで覆土すれば、その防空壕は、20インチのコンクリートの天井を持ったと同じことである。
 これが核シェルターの最低設計基準となる。
 ノミナル原爆から出る中性子は、半マイル以内の暴露人体に対しては致命的である。中性子は1秒で2000フィート到達するので、半マイル以内で爆発を目撃してから防禦することは不可能。
 中性子からの防禦のためには、セメントの中に、褐鉄鉱、磁鉄鉱などの酸化鉄を多量に加えたり、鋼の砕片を混ぜると効果的である。
 速い中性子は、遅い中性子の5倍ヤバイ。グラウンドゼロから2400フィート離れた場所では、厚さ18インチのコンクリートが、速い中性子を十分の一に減らす(p.289)。
 遅い中性子は、空気中で散乱をくりかえしながら地表に到達するので、一枚壁でのブロックは不可能である。つまり、頭上や横合いや背後からも飛んでくる。よって、天蓋つきの全周シールドの中に入っていなければ防げない。
 尤も、速い中性子やガンマ線や赤外線火傷や飛散物を防いでくれるから、完全暴露よりは一枚壁に依った方が、随分有意義だ。
 ノミナル原爆の空中爆発の場合、空中で発生した、もしくはばら撒かれた放射性物質は、人員殺傷原因としては無視できる。
 中性子をうけた物が放射性を帯びることがある。この現象は木材と繊維では無視できる。ガラスはやや注意がいる。
 ノミナル原爆では、ウランにせよプルトニウムにせよ、じっさいに分裂するのは1kgで、他は飛散する。が、火球がそれを高空までもちあげてくれるので、飛散したプルトニウムによっては、地表に有意味の被害は生じない。
 100kgのプルトニウム239は6000キュリーのアルファ線を出す。同量のウラン235は0.2キュリーにすぎない。
 アルファ線は、たった2インチの空気で吸収されてしまう。また、普通の衣類は貫通できない。それゆえ、プルトニウムやウランが地表に露出して在ったとしても、人間に害はなかった。
 アルファ線がヒトにとって致命的になり得るのは、それらの放射線源が肺に吸収され、血管内に入った場合である。また、胃腸の中に、プルトニウムの混じった飲食物が入り、血管に吸収された場合もヤバイ。それらはラジウムと同じく骨に集まる。そして造血作用を阻害する。
 核爆発の技術が未熟で、高空で100kgのプルトニウムが飛び散ったとしても危険はまず無い(p.301)。※ダーティ・ボムの限界。それは食品汚染をしない限り意味はない。
 プルトニウムで地球全体を危険にするには何百万のノミナル原爆を炸裂させなければならない(p.313)。
 ノミナル原爆の火球は半径500フィートになる。
 長崎ではグラウンドゼロから半径2000フィート以内に核分裂生成物のだいたいが残ったが、爆発の数分後でも、その地域に放射能による危険はなかった(p.315)。
 中性子が海水に当たるとナトリウム24という放射性同位体ができる。この半減期は14.8時間である。つまり海水も長期間汚染はされない。
 水中爆発ではほとんどの中性子は水素に吸収され、放射能をもたない重水をつくって終わる。
 また熱エネルギーが水に奪われるので雲も高く上らず、したがってフォールアウトは半径数千ヤードにすぐ落下する。
 ノミナル原爆が空中爆発した場合、6時間経てば、その地表を歩いて避難しても危険はない(p.317)。
 直径5ミクロンより小さい粒子はブラウン運動に翻弄されるので空中から地表になかなか降ってこない。
 直径1ミリのフォールアウトは風速10マイル/時だと4マイル風下に運ばれる。
 水中核爆発のベースサージの放射能は、爆発後1分と4分の間で400分の1に減る。つまり要警戒なのは爆発してから4分までである。この間には霧を浴びないようにする。
 ノミナル原爆が地中50フィートで爆発すれば、クレーターの直径は800フィート、深さは100フィートになるだろう(p.335)。
 その地域は強い放射能で汚染されるので、何時間たっても、自動車で通過することも薦められない。
 ベータ線を出す放射性物質は、皮膚に密着させたときが危険である。もし皮膚についたら、家庭用クレンザーで洗いおとすべし。それがない緊急の場合は、紙、藁、木の葉、砂などで力いっぱいこすって皮膚から取り除け。ただし皮膚を傷つけてしまっては何にもならない。
 放射性に汚染されたモノを焼却しても放射能はなくならない。だから焼かずに土に埋めること。
 水は蒸留すれば放射性の塩分や残滓物は残されるので飲用できる。ただし加熱沸騰させても放射能は消えはしない。そこを勘違いしないこと。
 建物や船の放射能を洗浄しようとする場合、作業は、より被曝の少なかった内部から始めるべきである。
 露出したコンクリートが汚染された場合は、塗れた砂の吹きつけ(サンドブラスト)が除去に有効。
 漆喰の壁が汚染されたら、ぜんぶ取り除くしか方法はない。
 缶詰の中味は核戦争後も安全である。食べてよし。
 土壌表面は、1フィート厚の客土をすればよい。深いところの土と入れ替える。
 貯水池が核攻撃された場合は、その水は、数日間は使わない方が良い。
 長崎では爆心から14000フィート離れたところで、広島では12000フィートはなれたところで、熱線火傷患者が出た。※出力の相違による。
 日本人は白人よりもケロイドがおきやすい。焼夷弾空襲でもケロイドになっている(p.396)。
 イペリットも皮膚の変色をきたす。
 4年間の追跡調査の結果、ヒトの眼は原爆の放射線からほとんど障害をうけないらしい(p.398)。
 人体内に吸収されるベータ線の危険度を1だとすれば、ガンマ線も1、アルファ線は10~20、遅い中性子は5、速い中性子は10である。ただし空気や衣服や皮膚を貫通する力が、ガンマ線と中性子は桁違いに強いのだ。
 アルファ線は皮膚すら貫通できない。だからのみこまぬ限り安全なのだ。
 5ミクロン以下の塵だと肺から血管に簡単に入ってくる。その塵がアルファ線を出している場合は、危険である。
 手に大量のベータ線があたると、数日して手がはれあがる。それは数週間で水泡潰瘍となる。
 放射能に被曝して4カ月いきのびれば、助かったと言える。
 下痢がなかなか治らなかったら腸管が障害を受けている可能性がある。
 放射線を死ぬほど浴びると咽喉のリンパ組織に腫脹ができる。これは疼痛性で厄介である。呼吸にも嚥下にも苦しむ。そして細菌感染もしやすい。
 脱毛開始は13~14日目から。2週間で止まる。
 永久的な禿は生じない。
 腎臓は放射能に対して例外的に抵抗力があるらしい(p.423)。
 放射能を浴びてから3か月の間は子供をつくらないこと。二十日ネズミの実験によれば、一定期間後ならば催奇性はみられなくなる(pp.427-8)。
 都市内の防火空地は、最低でも巾100フィートないと無意味である。
 すべての消防署は、厚さ2フィートの鉄筋コンクリート造りとすべきである(p.454)。
 458ページ。長崎のグラウンドゼロのごく近くの丘の側面の避難用横穴の写真。この中にいた人は無傷で助かったと。※この写真が戦後、流布していないのも、情報操作である。
 半地下の群集避難所も有効である。※スタジアムは半地下とするがよい。
 2つの市の現地調査によれば、シェルターに扉が設けてなくても助かった例が多い。扉の有無よりも、入り口を外部に対していちど直角にまげておく配慮が、はるかに重要だった。
 ガンマ線より熱線の方がはるかに遠くまで届くので、とっさに伏せる行動は無意味ではない。伏せたら10秒間は立ち上がらないこと。
 爆発後、1分間は、窓に近寄るな。すごい風がくるから。
 爆発地点の上空を飛行機に低空でパスさせてガンマ線を計測すれば、汚染強度はおおよそ把握できる。
 ズボンのすそは長靴の外側で縛り付けろ。すきまからチリが中に入らぬように(皮膚に密着させることが危険なので)。
 避難時の手袋は軍手で十分である。頭は毛髪を完全に帽子か布でくるむように。そこにチリをつけないように。
 爆発の初期に放射能を被曝してしまったら、その後の比較的に弱い被曝線量のことなど気にせずに、地上を歩いてでも早く安全地帯に脱出して治療をうけろ。爆発の初期に被曝を避けられた人は、しばらくシェルター内に籠って、線量が自然に十分に減ってから地表を移動した方がよい。
 地球の全耕地をプルトニウムで汚染し、栽培された穀物を1年間摂取すれば危険なレベルのプルトニウムが体内に残る、という環境を作為するためには、ノミナル原爆を75万5000発、同時に爆発させる必要がある──という計算根拠(pp.507-9)。
※「没シナリオ」に使ったデータを一部割愛しています。