麻生太郎vs手嶋龍一のインタビュー記事が載っているので買ってきました。読んでみたら、核武装論議については言及がありませんでした。やっぱりね。
この手嶋氏、文藝春秋の12月号の座談会では、9-11の翌年の2002にブッシュ氏にインタビューしたときに、大統領が、北鮮については「対話の窓口を閉じたわけではない」と留保をつけた。これは対中東とは意気込みがぜんぜん違うと感じた――と証言しておられる。
同じ座談会によれば、中西先生は、既成核保有国が北鮮制裁に本気でないので驚かれたようだ。
アメリカがシナと朝鮮の問題を中東よりずっと後回しにして安心している理由は至ってシンプルと思います。シナも朝鮮も石油を自国内で産出しない。だから、「はっけよい」の正規戦争になれば、「待ってました」とばかりに、アメリカ軍は、海上封鎖とパイプライン爆撃、貯油場爆撃で、シナも朝鮮も干からびさせることができる。通常戦争では万に一つも負けないという自信があるのでしょう。
石油に関しては、時間はアメリカの味方です。「はっけよい」の対決が何年も後に順延されてもアメリカとしては一向構わない。むしろ好都合。
というのは、シナ経済が今後、大量の石油に依存するようになれば(なるにきまってるんですが)、戦時のシナの脆弱性は今の何倍も昂進するだけでしょ。どうやったって、中東油田を支配するアメリカには面と向かっては逆らえなくなるんです。戦争どころじゃない。戦闘機パイロットの訓練すら、満足にできなくなるんですよ。
おそらくシナは、V-2のプロジェクトマネジャーだったドルンベルガーと同じ結論に到達しますよ。すなわち「石油に依存する飛行機よりも、ロケット兵器を量産だ!」
また予言しときましょう。これからシナは核ミサイルをやたらに増やして来ますよ。
NPTってのは、既成の核武装国が核軍縮することが前提だった。その前提をシナは破り続けてる上に、北朝鮮まで核武装させた。シナがNPTを破壊してしまったんです。NPTというものが、もう存在しないのですよ。
10日発売の月刊誌を見る限り、この大局が分かっているのは中西先生だけのようですね。
朝鮮戦争でソ連がいちばん苦労したのが、トラックを動かす石油の工面。わざわざルーマニアから運んできたんです。
今はどうか。北鮮には一滴もない。トラックが動きません。ということは弾薬を運べない。
戦車が動かないどころじゃない。歩兵すらも前には出られないのです。
文藝春秋座談会で上村幸治氏が、もしアメが北の核施設を空爆したら北はソウル一点にしぼった砲撃で反撃をする、と見積もっておられるのは、合理的で、得心できます。歩兵主体でも、もう「暴発」なんてできない。(ほとんどの評論家が口にする「暴発」説がいかに日本と世界の歴史というものを知らぬかについては、10ページくらい使わないとおそらく誰も納得できまいと推量されるので、次のPHPの新刊で縷説することとしました。)
江畑謙介氏が12月号の文藝春秋座談会で、もしも核施設に限定した空爆をアメリカが実施すれば、「北朝鮮の報復攻撃でソウルは瞬時に火の海になります。民間人数百万人単位の犠牲者と、日本からのものも含めた莫大な金が灰になります。さらに、寧辺の原子炉を破壊すれば、チェルノブイリ事故の再来で、朝鮮半島だけではなく、日本までも大変な放射能汚染の被害を受けます」(pp.114-5)と恐怖を煽っているように見える理由はよく分からない。ひょっとして、北鮮はソウルを攻撃できる原爆兵器をすでに配備し、アメリカはそれを先制破壊できない――との意味? 同じ江畑氏が中公12月号では、――日本は通常弾頭ミサイルでは北朝鮮を抑止できない。なぜならイギリスに1050発うちこまれたV2号はたかだか5000人殺しただけだ(pp.50-51)と、通常弾頭の非力さを強調しておられるのですけど……。
京城が38度線から近くて有事には危ないってことは、韓国人は誰でも最初から承知なわけです。北鮮は同胞だから危険など絶対に無いと信じている人たちは、同胞の砲弾にあたって死んでも不平はありますまい。リスクがあると承知している人たちは、有事にどう逃げ隠れするかは考えてますよ。
宣伝臭芬々の「火の海」説を科学的に検証してくれる軍事専門家の登場を期待したいですね。
文藝春秋座談会で上村幸治氏が、シナは日本が核を持つのは理論的帰結として当然であるから、日本国内での核議論イコール即保有と考える――と解説しておられるのは、もっと注目されるべきでしょう。
「核武装について議論するな」と叫んでいる日本人は、要するにシナのエージェントを買って出ているのですよ。