西日本・ところどころ

 今回の実り多き旅をサポートしてくださいました各位にあらためて御礼を申し上げましょう。「百聞は一見に如かず」――の連続パンチでした。
 ツアー初日の5日にはじつは大日本同和会という団体から東京で講演を依頼されていたんですが、これが急遽、会の都合でキャンセルされた。まあ、講演料(30万円くらいか?)を逃したわけです。残念! ワシのボーナスが……。
 さいきん西日本方面で急に「表」のマスコミがとりあげるようになったのが「解同」ですね。解放同盟の天敵は共産党なのですけれども、東京圏では解同ではなくて同和会の方が有力に見えます。つまり行政から「対策団体」として扱われている。この2つの団体は「棲み分け」の関係。全国を西と東でほぼ二分している。
 で、この棲み分けができている理由ですが、「地理固有の文化」と関係があるのは明らかでしょう。東日本では、「住所を何度も変えれば出自は関係なくなる」と人々は思っています。関西ではそうではない。わざわざ固まっています。特に近畿のアナーキーな風土の中ではそれが安全・安価・有利と思っているわけでしょう。それゆえ「いわれある差別」ですよ。
 旧軍の刑務所施設に興味のある人でも、最も手に負えない兵隊を収監した陸軍懲治監獄がどうして関東ではなく関西(姫路師団内)に儲けられたか、東日本に生まれ育った人には、まあ見当もつかないでしょう。また、幕末のテロのメッカはどうして京都だったのかもね。反政府行為の居心地の良い環境があると考えてよいのではないですか。
 だから放っときゃ関東の差別はなくなる趨勢です。ところがそれは困るというヤクザが大日本同和会の中にも多いのでしょう。自分が行政窓口に差し出す名刺に、大きな対策団体のできるだけ高い役職の肩書きを添記できることを以て有利なことと考える。そんな考えであるうちは、東京でも「いわれある差別」は一部に残りますよ。
 同和利権には、公共事業の受注もあるんですが、それと並んででかいのが、「脱税」と「節税」です。大きな対策団体(往々、その筆頭者は被差別部落とは関係のない普通の税理士や社労士)の役職(理事等)のついた名詞を税務署員に示すことで、これまでは脱税ができた。ほんらい同和と関係ないヤクザが同和を名乗りたくなる大きな誘惑がここにあったんです。この不当きわまる担税回避特権に関しては、朝鮮総聯もまったく同じ。戦後うまれたパチンコ屋がちゃんと税金を払っていたら、あんな巨大産業にはなっていません。しばしば朝鮮と同和がフュージョンするのにも理由がありました。
 わたしが「マックKEMPOHが日本を滅ぼす」と言うのも、こういうところなんです。大蔵省の役人は、自分たちが日本で一番頭の良いリーダーであると自惚れていながら、同和に公平な課税を強制してこなかった。「法の下の平等」および「法の支配」を、国家の指導的エリートみずからが破壊してました。それで少しも恥ずるところがなかった。これが「自由を戦って守ることは致しません」と堂々と謳い上げた押し付け条約=フィリピン式奴隷契約=偽憲法の当然の帰結ですよ。エリートに、国家リーダーの精神的資格(自由の敵とは戦争する、市民を襲う野獣は殺す、という気概)がないのです。
 それで、とうとうアメリカが怒った。財務省がアメリカから叱られた。
 ここ数週間のうちに、解同系、大日本系、そして総聯の関係先に、たてつづけに税金関係(税理士法違反・等)を理由とする「手入れ」がありましたでしょう。挙げられているのはいずれも小さなタマですけど、象徴的な意味は大きいのです。動いたのは警察ですけども、動かしたのは日本の財務省です。その日本の財務省に命令を出したのはホワイトハウスです。
 意義としてはこれは大ニュースだ。けれども既成新聞の扱いは小さい。ネットの上でも、評論家はほとんどコメントしてない。たぶん誰も、その大きな背景と、今後の世の中の進むところについて、わかっちゃいないためでしょう。
 つまりですね、イラクとイランと北鮮の件で、アメリカの指導層はいまやすっかり学習してるわけなんですよ。――反自由・反民主主義的な集団にアブク銭を持たせたら、それは回りまわって「サリン・ガス」や「炭疽菌」や「テポドン・ミサイル」や「1kt原爆」に化けることになるんだってことをね。
 誰のせいで、アメリカ本土が大量破壊兵器テロの脅威にさらされることになっちまうのか……? その原因の元を糾していったら、なんと、ヘタレな日本の大蔵官僚にあると分かった。犯人を、やっとつきとめたのです。だから、日本の霞ヶ関よ、これからはヤクザに脱税させたら承知せんぞ、という一喝なんですよ。
 圧力団体の脱税ってのは今はどうだか知らないが、かつての典型的なやり口はこうです。正業のよくわからない、しかしコワモテの小ボスがいます。彼の近くに、今年、とても儲かってしまった小企業主がいる。件の小ボスは、その小企業主にもちかけます。あるいは小企業主の方から先に相談してくる。そういう付き合い関係。
 そこで小ボスは言います。「この業績じゃ、来年の税金は1000万円はとられるわな。どうや、ワシに税務対策を任してくれたらな、あんたンとこの来年の税金をチャラにしてみせるが、どや? そのかわり、こづかいとして前金でワシに500万もってきてや」。
 この「税務対策」で例の肩書き付きの対策団体幹部の名詞が税務署や自治体のしかるべき窓口に対して使われることは言うまでもありません。
 で、この500万円はどこへ行くのか? 総聯の場合でしたなら、ほとんどがそのまま北へ送られ、1980’sの核開発の原資になっていた――というわけなのです。
 政府の次のステップは共謀罪の国会可決でしょう。これも要求はホワイトハウスから出ているのです。だからもう同和利権なんて壊滅ですよ。対策団体の役員幹部の肩書きなんか名詞に明記していたら、暴対法のヤクザ名詞出し行為と同じで、それだけで検挙されるようになるかもしれません。同和と朝鮮のさらにその次は、創価学会でしょう。
 さて6日には長崎市を初訪問しましたが、聞きしにまさる「坂の町」でした。横浜も坂が多いといわれますが、そんなもんじゃない。自転車屋なんて成り立たないというレベル。3ナンバーの大きな車も売れないでしょう。自宅の車庫にたどり着く前に、カーブか、離合に失敗して側板が削られてしまうでしょう。谷筋の両斜面がビッシリと全面宅地になっているのです。すべての住宅が崖に建っているようなもの。だから道路拡幅の余地もありません。そのため、夜景はユニークで綺麗ですわ。
 この地形を実見する前は、耐核都市の要件は地皺の多いことだと単純に判断していましたが、そうではない! 市街区が「リニアー」(線的)に延長して発達していることが、もっと重要です。つまり水爆の破壊力は四方八方にまんべんなく波及しますよね。その効果を「全弾」吸収しないですから。リニアーに開発されている都市は。
 かたや広島や東京のように沖積平野上に面的にスクロール発達した都市は、敵の水爆のイールドを全弾吸収するしかありません。一発で全滅的なダメージを受ける確率がおのずから高くなります。
 これからの都市計画は「リニアー」がキーワードだと思いました。
 7日は福岡で講演しました。
 福岡人はクルマの運転が荒いというハナシを人から聞かされたんですが、わたしはその実例を発見できなかった。まあ、夜のタクシーは豹変するのかもしれませんが……。横浜や千葉にも暮らしたこのわたしに言わせれば、他の地方のドライバーのマナーはずいぶん紳士的だと思えます。もう何年も前のこと、あるチバラギの早朝の駅前で、歩道の自転車を薙ぎ倒しながら走っていくDQNクルマを見たことがあるんですが、そういうのって、他の都市であり得ますかい?
 函館市心に転居してきた直後、コンビニに置いてあるミニコミ誌(フリーペーパー)の投稿を見て感心したことがあります。他の田舎から転居してきた奥さんたちが「函館市のドライバーは運転が乱暴なので驚いた」って、筆を揃えているんですよ。「おまえらな。いちど神奈川とか愛知とか、雪の降らない遠く離れた複数の地方で暮らしてから全国の運転者気質の批判をしろ。おのれの出身ローカルを世界スタンダードと思ってるんじゃねーよ」と、突っ込みたくなります。
 玄界灘の水産業は無法な韓国漁船のために大変なことになっているようです。地元九州の漁民も、韓国漁船と戦う気概は失いかけている。遠く避けているという話でした。これじゃいけませんわ。
 福岡市内には元寇とうじの防塁が一部保存されているので立ち寄って見学しました。写真だけでは「高さ」が実感できなかった。百聞は一見に如かずの例です。
 ちなみに、わたしはそれらが今でも海岸に残っているのだとばかり思い込んでいました。が、昔の海岸は、いまや埋め立てられて市街地になっているのですよね。
 あの元寇を契機に日本社会の何が変わったかというと、時の為政者(鎌倉幕府)が、全国の貧乏な庶民を見る目が、まったく変わったのです。
 というのも、元寇の主力はじつは北部朝鮮の、稗を喰っている農民ですよ。極貧の、アマチュアの兵隊です。ただし匪賊とは相性が良い。
 まあそんなの、プロの日本の武士団の前には、大したことないだろうと思っていたら、そうじゃなかった。対馬、壱岐、そして九州沿岸を、文字通り荒らしまわってくれました。最後には撃退しましたけども、撃退される前は互角ですよ。コジキがプロの武士に歯向かえるんだと分かった。
 これで、日本の武士は「時代は変わる」と思ったわけなんです。日本の庶民も、統率者・扇動者しだいで、将来は、政権の武家に対抗できるくらいの、とんでもない戦力になると、想像ができましたのでね。
 武士が庶民対策も「政治」として考えなければならぬ時代。そういう近世が、日本では元寇をきっかけにして、始まるのだと思います。
 福岡でさしものわたしもアッと驚かされましたのは、「玄洋社」の記念館が市心にあったってことですよ。これ、観光ガイドブックに載ってないでしょう? 入館無料ですから、見なかったら大損ですよ。孫文、頭山、内田(黒龍会)、杉山、進藤……遺品や遺墨や写真が大量に保管されている。そしてやっぱり広田弘毅は完全に玄洋社の仲間扱いされてますね。
 中野正剛は大衆カリスマ性が東條よりあったので殺されたんだなと、写真をみれば容易に理解できます。この中野が死んだときの血塗れの衣類が、現品として、保存されていました。中野が自殺したと思っている人は、この服をよくみることだ。あれが、日本刀で自決する人間の「死に装束」か? 館長は自決と考えているようだが、ひとつ常識で考え直してもらいたい。
 真相は、憲兵が刀で脅かしているうちに中野の首を切ってしまったんですよ。首の横はちょっと擦れば致命傷ですからね。あとはすべて儀装工作です。
 8日は早朝に博多から新幹線で大阪に向かいました。じつはわたしは山口県から兵庫県にかけての瀬戸内沿岸を、昼に移動したことがありません。今回、初めて「通し」で沿線主要都市を眺めることができました。岡山県のだだっ広さが最も印象的でした。
 もうじき石油パニックが来ます。イスラエルがイランを核攻撃すれば石油パニック。何もなくたって、シナの経済発展と、北海油田の枯渇で、石油は値上がりすることに決まっていました。それが急に上がれば、シナは一夜にしておしまいだ。だから北鮮なんかよりもイラン優先なのは当然です。日本も巻き添えになります。航空会社はそれに備えて財務体質の強化を図ってますよね。もう海外旅行はできなくなるよ。安倍氏が石油税を道路に回さないといっているのも、石油が高くなる時代が2007年にも来るだろうって予期しているからでしょ? アメリカ情報でしょう。つまり、日本国内では、鉄道の時代がまたやってくるんですよ。北海道では新幹線ブームになるでしょう。
 続いて新大阪から和歌山に移動した次第ですが、最短コースだと面白くないので、和泉山脈を横断して橋本を経由して紀ノ川沿いの鈍行で西行しました。
 その途中にあたる、千早城の地形地理について、ようやく納得することができました。
 沿線の民家が、多く、水洗化されていないらしいことには、驚かされました。北海道の田舎だと、まだ水洗化されていない住宅は珍しくないのです。しかし大阪にこんなに近いところで、どうして? 地方自治体も、どうしようもないね。
 和歌山駅前から歩いて和歌山城に至り、再建天守閣(鉄筋コンクリート製)内の展示物を見学しました。「アルプス一万尺 小槍の上で」という「ヤンキードゥードル」の替え歌(童謡)がありますよね。この「小槍」は、単に先の尖った形態を言っていたわけではないことを、うかつにもここに来て悟りました。「大槍」は穂全体にテーパーがないのですが、「小槍」は穂全体にテーパーがあり、切っ先でまた角度がつくのです。将棋の駒のような山容を云うのかもしれません。
 天守閣の基部、地下1F相当に「埋み門」の遺構があり、珍しいもので感心しました。いつもは土でふさいであって、ちょっと穴を掘ると、台所のすぐ外側の地表に抜け出せるのです。しかしこれは、解説されているような用途とは違う目的でつくられていたのかもしれないと思いました。
 福岡と和歌山の講演は、政党の「新風」の主催でした。わたしがなぜ「新風」を支持しているか、その理由はまたおいおいと書きましょう。まともな政治団体で核武装を全面肯定しているところが、他にどこにありますか?
 しかも過去、この政党は3回、参院選にチャレンジしているんですよ。こんな「スペシャル・ライト」な政党は、他にどこにもないじゃないですか。
 「廃憲」テーゼに最も近いところに位置しているのも、この政党ですよ。来年の参院選ではこの政党に全国で計100万票をとらせたい。
 ただ、地方の、下からの自弁の運動の集合として成り立っているユニークな政党だけに、ナイーブな候補者、支援者が多いのです。どうかすると「スシ・ポリス」みたいなことを言い出す。ここは勉強してくれなくてはね。
 スシ・ポリスって分かります? 外国にも寿司屋/日本食堂、あるでしょ? あれは多くは朝鮮人やシナ人が経営していて、メチャクチャな商品を提供している。
 それで「スシ屋」を名乗られちゃ困るぜ――って叫ぶのが、隣で営業している日本食レストランのオーナーや、外国の食通専門メディアに寄稿する現地人グルメだったなら、それは許されるんだよ。
 だけどさ、それを、日本国内の役所が言うたらおかしいのよ。統制経済じゃねーんだからさ!
 その発想でいったら、日本のビールなんてビールじゃないよ。偽ビールだよ。ハンバーガーだって同じでしょ? そこを外国人から「ダメだこんなのは。インチキだ。詐欺だ。欧米人が欧米流につくってないものは、認められない」って、いちいち指摘されたら、どう思うよ? シナそば屋なんて、ぜんぶペキンの指導で廃業させられちゃうよ。立場逆にして考えてみれっつーの。
 いまだにそこが分からないのが「2ちゃん」バカ右翼なんですよ。こいつらぜんぜん頼りにならない。一歩間違わなくてもすでに共産党シンパと同じ単純頭脳じゃないか。
 9日に関空から函館に帰ってきたら拙宅に『voice』1月号が届いており、その中で上坂冬子氏が「硫黄島映画」の感想を書いておられた。
 しかしちょっと待ってくれよ! 「私がいまだに気になっている」秘話とやら、それは「読書余論塾」バックナンバーでも紹介した菊村到著の昭和三十年代の小説『硫黄島』じゃないですか?
 面倒な取材をパスして感想文を書くと、大家でもこうなっちゃう。他山の石にしたいと思います。