チラ裏節考

 先日あがった技術試験衛星は、携帯電話の電波をアンテナで捕捉できるそうだが、これは「エリント/シギント衛星」の雛形でしょうね。
 平山昇氏によると、関西では寺に初詣する人はいないとのこと(『BAN』2007-1月号)。
 これは靖国神社が祈願の場であった歴史を思い起こさせる話です。久々の靖国論は『正論』最新号でお読みください。
 『諸君!』最新号には幾つかの面白い記事がありました。
 フランシス・フクヤマ氏いわく「アメリカ政府は『イラクの脅威』を過大評価して、大失敗しました。中国が十年後、二十年後にどのような国になるのか、誰も知らないのです」(p.96)。※1ページの典拠を示すときにはp. と書きます。pp. と書くのはそれが2ページ以上にわたっている場合です。「.」は省略記号です。これなども論文を書くときの基本と思いますが、知らない大人が多そうなのでちなみに書いておきます。
 年予算が2000億円とかいう世界最貧国の北鮮すら核武装したわけですよ。
 北鮮が核実験するまでは、米軍によるイラク占領が正しいか正しくないか、外国人にはチト判断ができませんでした。
 しかし、「10.9」以後は、イラク占領の正しさは証明されたと言える。金親子と違い、オイルマネーで何を買うのにも不自由しないサダム・フセインが、毒ガスの次は原爆を持とうとするだろう――と疑った米国政府の判断は、日本人の権力にとって、やはり好結果をもたらしたのです。北鮮にできたってことは、どの国にでもできるってことですから。
 いま、イラク政府はぶっ壊され、イラク全土がひきつづいて混乱状態におかれています。巨億のオイルマネーとイラクの政体はアメリカに都合よく分断されたまま。おかげで、イラクが核武装することはありえない。日本には好都合なことじゃないですか。
 アメリカは、これからイラクでどんな目に遭ったって、「10.9」以後はもう絶対に、中東からは足を抜けられませんよ。「第二のサダム」が石油と結合する危機は、ペルシャ湾岸には常在しているわけです。それは地理の産む文化ですからね。ハンチントンが正しいのです。
 超あやしい記事も出ていましたね。「グループ市ヶ谷」著、「『核武装なき日本』に明日はない」とかいうやつ。
 これが『諸君!』に出ると分かっていて、産経は核武装リポートの記事を出したんじゃないですか。そして産経の元種の話だって、このグループが関与してるんじゃないか。しかるに北海道には産経新聞は売ってねーんですよ。だから全文をまだ読んでない。いつ読めるかも分からない。まあ、そのうち、忘れちゃうでしょう。そのくらいの価値しかなさそうです。アマチュアがプロになりすまして政府の無教養な誰彼を騙した答申だと、サワリを聞いただけで見当がつくのです。
 『諸君!』のグループ市ヶ谷さんとやらは、どうも日本は核ミサイル40発保有すべきだと考えているようなんですけども、「日本の核の対象はあくまでも敵対的近隣諸国に限定される。なお米国との同盟関係を壊さないために、筑波大学の中川八洋教授の主張する通り、米国本土まで到達するICBMの開発は避けるべきである」(p.104)なんて書いてある。
 あのね、岩手県の盛岡市からシナの奥地まで9952kmあるんですよ。定規の当て方によって、増減しますがね。兎も角、一番遠いシナの「奥地」はインドとの国境付近で、そこまで1万キロ近くもあるわけです。新疆のカシュガルまでだったら盛岡基点として5447kmしかないんだけども。
 それで、盛岡市からシカゴまでは9673kmですよ。NYまでは10355km、一番遠そうなマイアミでも11543kmですよ。ロサンゼルスだと8440kmだ。
 シナ奥地に報復手段を届かせようと思ったら、つまりシカゴくらいまでは必然的にその射程内に入っちゃいますよ。でも、それは日本の責任かい? シナ奥地よりもシカゴの方が日本から近いのは、日本の責任なのかよ?
 すくなくとも9952km届く報復手段を持たなかったら、敵は「聖域」を確保できるでしょ? 聖域を敵に許したら、米軍だってシナに勝てないんだよ。日本がシナに聖域を与えてどうやってシナの核を抑止するんだ?
 「現職自衛隊幹部」を名乗っているようだが、だったら辞表の書き方を調べておけ。
 お前ら尉官か佐官かしらないが、現役だったら特別国家公務員の分限をわきまえろっての。軍事的合理性の上に政治的思惑を展張してるんじゃないよ。日本がシナの核を抑止するために長射程ミサイルを持ったらアメリカが怒るかどうか、それはお前の考えることじゃなくて政治家の考えることなの。敵に勝つために給料もらってるプロ軍人が、雇い主の政治に口を出してどうするんだ。番犬は泥棒を噛み殺すことだけ考えてろ。ったく「桜会」でも気取ろうってーのかい。
 少年時代から核戦争のことだけ考えてきました—っていう「現職自衛隊幹部」の結論の表白……なら、奇貨おくべしで、「懲戒免職だけは勘弁してやってくれ」と弁護に乗り出す気にもなるんだけども、それを想像させるような思索の深みは薬にしたくとも見当たらない。ただの「戦後憲法中毒患者」の一変種ですよ。つまらない。
 「なおMDの撃墜効率を著しく高める方法がある。それはMD用ミサイルの弾頭を核弾頭にすることである」として1960年代のスパルタンとスプリントの2種のABMの例を挙げ、「日本が核武装した後には、MD用ミサイルの核弾頭化も検討すべきであろう」(p.104)とも提言をなさっておられる。
 オレの本読んで勉強したと思うけど、これは逆なんだよね。シナが日本のMDに対抗する方策は、対空砲で自国上空に原爆をまず1発うちあげ、いちはやく高空炸裂させることなんですよ。さらにミッドコースやターミナルコースでも、1、2発無駄に炸裂させてやる。途中の空間をEMPだらけ、赤外線だらけにするわけです。
 その核爆発を煙幕スクリーンorスタングリネイドにして、真弾頭を打ち込めばいいだけです。
 敵のデコイに対してもこっちはいちいち、小型核弾頭で応戦する? 効率的なわけないでしょ。しかも下僚がそんなこと判断するのか? 逆にこっちのレーダーや通信が使い物にならなくなるだけだとなぜ思わない。
 この一節を読んだだけで直感したけども、グループ市ヶ谷には、核戦争について10代の青年時代から脳内シミュレーションを重ねた、そういう核戦争フリークは混じっていないね。「俄か」ってやつの匂いがするよ。
 有名なキッシンジャーですら、アメリカ合衆国の対ソ戦能力という「己れ」を知らなかった。あんなのはリアリストではなく、ソ連の宣伝を信じてアメリカが有事に弱いと思い込み、シナのエージェントに成り下がった、宣伝上手な無道徳漢ですよ。キューバ事件当時のカーチス・ルメイは実に正しかったとつくづくわかりますよ。それはフォン・ノイマンの合理主義的結論とも一致していました。
 グループ市ヶ谷は、日本は小国だと信じ込んでいる点で、キッシンジャーと同じです。「己れ」を知らない。佐藤内閣時代に日本は核武装しても損だという御用リポートを出した学者グループがありましたけども、あれはキッシンジャーの頭の中の「答解」をそっくり推測したものに他なりません。キッシンジャーの不道徳な工作に、恥しらずにも乗ったものなのです。そのキッシンジャーはシナから工作されていたのですから、なにをかいわむや。
 現在の日本の原発から取り出されたプルトニウムは「核爆弾にはまったく価値がないプルトニウム241を多く含む屑プルトニウムである」(p.105)。「国内に使えるプルトニウムは、せいぜい核爆弾二~三発分しかないだろう」「本格的な核抑止力を構築するためには、黒鉛減速炉を最初から建設する必要がある」(p.105)。
 これはひょっとして産経新聞の記事の先取りですか? 241の前に240の言及があるべきだと思いますがね。この辺のいいかげんさが、ある種の「プロファイリング」を想起させますよ。ほら、大学教授にもよくいるでしょう。語っている内容が、権威ありげな「肩書き」を、すっかり裏切ってくれちゃっているような御仁が。アカデミズムの恵まれた調査環境を手にしていながら、手間を惜しんで「Fact」を調べる努力を省いて平気なヒトが。
 日本には実験炉や研究炉や高速増殖炉もあって、そこからはかなりピュアなPu239が取り出し済みだと思いますぜ。そのストックがどのくらいあるか、調べてないんでしょう。たぶん、あの大前研一さんよりも新型転換炉について十分の一もご存じないと見た。違いますかね?
 ソーラーボール報告(続き)です。前夜完全放電後の、冬の「曇りときどき雪」の日の充電でも、夜8時前後まで点灯してくれました。また、前夜完全放電後の、冬の午後2時までの間歇的な直射日光による充電(断雲による)でも、翌朝4時台まで点灯してくれました。やっぱり、すばらしすぎるぜ、埼玉県の(株)オーム電機の「ソーラーボール(黄色、売価約千円)」はヨォ!! また北海道のホーセムセンターの仕入れ部長は、もっと身を入れて地元にふさわしい商品を選んで棚に並べとかんかい!
 ソーラーボール(黄色)の唯一の弱点は、夕暮れの点灯時刻が他製品より遅いことです。夕暮れ時の点灯を重視する人は、点灯時刻の早い他製品を同じ場所にダブルで設置しておくとよいでしょう。