新たなる発見がっ!

 「商品X」を仔細に観察することができた。
 見た限り、メーカー名の手掛かりはなかった。ただ「F-141」と印刷された小さなシールが貼ってあるのみだった。
 電池は、JUST Ni-Cd 1.2ボルト AA600ミリアンペア の 黄色い 単三 充電式電池を2本、直列でつないでいるようだった。
 発光部は、白色LEDが一個である。
 この新知見により、前言を撤回する。冬期の高緯度地方で、日中が降雪or曇天であっても、夕暮れ時の早い時刻から点灯し、夜明け直前までしっかりマーカーとして光り続けてくれる、そのような頼りになる実用的ソーラーライトを構成するのに、「ニッケル水素電池」は、必須ではなかったのだ。
 もうひとつ、新知見を得た。「商品X」には、ごくちいさなスリットがあり、そこから小さな虫が回路基盤部に侵入できるようだ。おそらくそのために、中に繭状の「巣」が複数できており、虫の卵のようなものも多数付着し、さらに電池の接点等、湿気による発錆は、いたるところに認められた。
 逆に、これほど内部が汚れても、機能が完全には損なわれないのだと感動。「商品X」の設計者はジーニアスである。できれば直接、お目にかかって話したい。
 またここから、オーム電機の「ソーラーボール」のコンセプトの長所も理解された。すなわちソーラーボールは分解も電池交換も不可能であり、電池の寿命がきたら製品そのものを買い換えなければならないが、それは合理的である。
 第一、雨露や融雪水や強風飛沫や湿気や土埃、虫等の侵入があり得ない。
 第二、充電式電池は高価であり、しかも、600ミリアンペアのものはすでに旧式で電気店では売っておらず、インターネット通販でとりよせるしかない。そのコストは、おそらく新品購入コストに匹敵してしまうだろう。
 (より容量の大きな電池で交換するとどうなるか? デジカメ用2600ミリアンペアのニッケル水素電池・単三×2を、ためしにIRIS製品につっこんでみたが、ぜんぜん機能しない。当然か。)
 電池の性能改善は年々、進んでおり、このような交換用電池の「陳腐商品化」現象は、将来も予期し得る。
 そして、電池交換可能なタイプは、防湿も不完全であり、2年以上も経つ頃には、回路等に不具合が出ているとしてもおかしくないからだ。特に内地では発錆はより過酷だろう。