これから予想される「下ネタ」文化戦争

 北京の反日宣伝総司令部が、とうとう気付いてしまった。わが国への間接侵略に対抗する防衛上の孤塁であった「日本警察」の弱点部を!
 おそらく洞爺湖サミットにピークを合わせて、日本国内にある、すべての店舗常設型の「ヌキ」系の風俗業が、アメリカ政府やマスコミ発の非難の弾丸で狙い撃ちに連打されるようになるだろう。もちろん、アメリカ世論を刺激すべく、絶えず燃料を注入し続けるのは、全世界に展開し、北京からの注文で仕事をいつでもキッチリこなす、在外プロパガンダ機関である。シナ人は表には出てこない。
 そのさいアメリカ人は、日本でいわゆるデリバリー型、すなわち米国流のコールガール形式やストリートガール(立ちんぼ)だけは非難しない(できない)はずであるが、降って沸いたようなフーゾク・バッシングに、日本政府(風営のコントロール担当は警察)が周章狼狽すれば、見境いのない行政指導の混乱や、官庁同士の下半身スキャンダル暴露合戦や、世論の暴発等が、生ずるに決まっているだろう。
 「ソープランド」を筆頭とする日本のフーゾク慣習に対する攻撃が、北京にとってのみ有利なことは言うまでもない。今のシナには、常設店舗の中で完結するヌキ営業は無いからだ。(ヤミで在ったとしても、一晩で撲滅し得る。)
 つまり、彼らは、世界の中で日本政府だけが不道徳な性産業を公法で公認して応援しており、その苦界には経済後進諸国からヤクザが人身売買的に狩り集めてくるベアリー・リーガル(=スレスレ合法orほとんど触法)な若さの「年季奉公人」が奴隷的に強制労働させられているのだと大々的に宣伝することが可能となる。それが that old「慰安婦」攻勢を、援護射撃することにもなる。
 そしてそこから、要するに日本の警察は国際テロリストに通ずるヤクザの仲間でもあるとし、対外的な信用を貶しめ、その警察が日本国内で摘発しようとしているシナ・朝鮮系のスパイ達などは皆、濡れ衣であると印象づけることも可能になるのである。かくして日本の警察が米国政府からこれまで受けて来られた高い評価(それはなんと外務省よりも高かった)は傷つけられ、公安組織はガタガタに揺さぶられ、日本の中の北京の手下たちが大暴れできるような環境が整ってしまう。
 このおそろしい嵐の前提となるべき、日米の「ヌキ」フーゾク文化の違いとは何か?
 日本では、「店によるシステマチックな多数女子従業員の管理」が堂々と許され、八百屋の野菜のように管理されている商品としての女を男が買うというスタイルが近代以前から伝統的に続いてきているのだが、アチラでは、相対ずく、すなわち、タテマエとしての「女と客の一対一の自由交渉」しか、社会的に認容されない。※間違っていたら、あとで後藤芳徳さんにでも指摘していただこうと思います。
 英国もビクトリア朝時代から「カタい国」と思われているけれども、その当時でも、教会の裏手などが「あいまい窟」となっていて、男子のヌキ需要に応える供給はもちろん存在していた。ただ、パリなどと違って、表通りからの視線は遮蔽されており、また、男どもがそこを利用する行為が、外聞・外見ともにはばかられた。もちろん、八百屋の野菜スタイルではない。まず男女ともにサロンにくつろぎ、女も男も談笑裡に互いに品定めをして、そこから徐ろに値段交渉に移って、自由な合意成ってのち、別室に消えたのである。
 戦前のベルリンでは、特定の酒場に、男の客が深夜までたむろしていると、いままでの従業員とは違う女たちが、あたかも客のようにして入ってくる。そこから、男と商売女の一対一の自由交渉が始まり、合意成れば、女のアパートに同伴外出……となったようである(旧軍参謀たちの回顧録の類をさんざん読んできた結果、このぐらいのことが、分かるようになってきた。ただし英米駐在組の下ネタ話は、さすがに軍人回顧録では読んだ覚えがない)。
 それならば現代のオランダやドイツなどにある(と聞く)行政公認の固定施設型の売春宿はどうなんだ(飾り窓は、江戸時代の吉原と同じじゃないか)――と日本人が反論しても、たぶん無駄だろう。それらの施設では、「女と客の一対一の自由交渉」が保証されている、と言われてお終いであろう。日本では「定価料金」が堂々と店の入り口前の看板に掲げられていて、それを店内で交渉で変更できるという話を聞いたことがないが、欧州の売春宿では、女が個室で客を見て料金を申し伝える、いわば時価制になっているのではないか。※間違っていたら、あとで後藤芳徳さんにでも指摘していただこうと思います。
 「一物一価」の女、というところに、米国人ならば反発するのだ。それでは人間が八百屋の野菜と違わないと思うわけである。これは尤もな話だろう。
 先走った予測をしよう。日本政府は、固定店舗内完結型のヌキ系風俗営業の完全禁止に、けっきょく踏み切らざるを得なくなるだろう。
 北京のこの攻め口の巧妙さは、日本国内の官官接待で、管理売春施設に類する施設が利用されているケースがおそらくあって、そこに弱みを感ずる一部官僚や政治家が、萎縮すると見抜いていることにもあろう。先のヘタレ国会議事堂のように、もののみごとに萎縮するだろう。反論すれば、どんな過去のフーゾク関与歴を指摘されるかわからない。
 風俗営業を管理する立場の警察官が、風俗業界から奢られていたというケースも、探せばどうしてもあるはずのことで、警察組織もこれから連打を浴びることを覚悟しなければなるまい。ドラスチックな風営法の改正(それは従来の業者とのコラボ関係を破壊し、恨みを買う)と、スキャンダル火消しに追われるために、肝心な国内第五列の監視や、テロ資金源となる賭博・薬物への対策の手が緩んでしまうだろうことが、大いに心配だ。
 やがて、「自分はソープなんか行ったこともないし、ピンサロなんて意味わかんない」という、下情とほぼ断絶した「清い」半生を送ってきた相当に奇矯な代議士や役人だけが、大威張りでのさばるようになるのか……? 刮目せざるを得まい。