航空法と消防組織を変える必要がある

 原子力関連施設の上空と、川崎コンビナートの上空は、やむをえない場合や管制官の指示による場合以外、原則として、民航機も自衛隊機も飛べないことになっている(空航第480号、防運第2899号)。
 なお、敦賀と美浜原発の場合は、2000フィート以上の水平飛行に限り、許されている。(おそらく、海岸線が大きく内側に引っ込んだところに立地しているため、すべての民航機に大きく避けて通れというのが不合理だから。)
 こんかい、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の空撮映像が無いらしいのは、だから、当然だ。もしあったら、その放送局と航空機を出した会社は、国交省との関係が、まずくなるだろう。
 「ヘリを飛ばせないなら、裏山の稜線から撮影すればいい」と報道会社は考えたはずだ。が、そのような写真も、インターネットで巡回した限り、リリースされていない。
 このことは、北朝鮮ゲリラにとっても、刈羽原発の襲撃の下見がしにくいことを意味するのだろう。良いことだ。
 ところで、『力の意志』7月号にも寄稿した如く、スイスはあのような小国で、しかも陸封されており、海岸というものがないにもかかわらず、ちゃんと原発を複数稼動させてきた。
 スイスとスウェーデンは、新型の原発の独自開発と販売のための合弁企業もつくっている(戦間期のスイス・エリコン社やスウェーデン・ボフォース社がワイマール・ドイツの兵器技師の避退温存先だったように、たてまえでは原発を放棄すると言っている今のドイツだって、将来、ヨーロッパ情勢が激変すれば――それは今のロシアを見ていれば誰でも想像することだが――思い立ってすぐに、原発や原爆を獲得できるのだ)。
 スイスに見習って、日本のすべての都道府県が原発(もちろん高速増殖炉)をもつのが望ましい。そのくらいでないと、来たるべきオイルショック(これはシナある限り、必ず来る)で、日本はシナといっしょに沈没してしまう。1県に最低ひとつの最先端原発を建設するという国家サバイバル・プロジェクトは、日本の株も上げるだろう。(川の最下流にバラ蒔いて年収500万円未満の労働者の老後貯金を増さしめるだけの旧套型ケインズ政策と、軍事ハイテクという川の最上流に一点かけながしして日本の産業構造を新陳代謝させ景気も好転させる、あたらしいケインズ政策との違いを、23日発売の『別冊正論』7号で、是非確認して欲しいと願う。これは、どの政党が採用しても構わない、日本にとって最善かつ必要不可欠な政策である。また、文科省の学制の統制を撤廃することによる、家庭の学資貯蓄の必要減→消費拡大という策の方は、8月1日の雑誌上で詳しく話す。)
 ただし日本中に原発をつくろうという以上、昭和46年の航空法は、少し変えなければならないだろう。だいたい、現行のままでは、ヘリコプターで原発の火事を消すことも考えられないではないか。
 〈地震で電話回線が混んでいて119番通報ができなかった〉という今朝の「共同」発のニュースはほんとうだろうか? なんのために、電力会社はマイクロ・ウェーブ通信網をもっているのだ? それに、電力線をつかった有線通信(データ伝送)も、やっているのではなかったか?
 こんなていたらくでは核武装は無理、と思う人もいるだろうが、話は逆なのだ。シナ・朝鮮などに隣り合わせる経済大国でありながら、核武装から逃げているような没倫理の社会は、必然的に、役人を頽廃させるのである。公共度が高い電力会社は、准公務員組織である。
 前々から提言がされているが、消防を自治体だけに任せていたら、有事のさいの国民保護はできない。国が「空中機動消防隊」を全国数箇所に展開し、大災害が発生したところに、外部からかけつけるようにすべきなのである。もちろん原発側はその機動消防隊本部とのあいだに複数の直通回線を構築するであろう。