GSOMIA締結で逆にMDは空中分解するだろう。F-22はありえない

 GHQが、日本の裁判で有罪になって刑務所に送られていた共産党員を強制釈放した問題がサンフランシスコ講和後も不問に付されたまんまであった、そのおかげで、戦後の日本には「国家反逆罪」の概念そのものが、無くなった。
 このため、野党議員のほとんどと与党議員の一部が、戦後のひじょうに早い段階から、堂々と国家反逆に手を染めるようになった。マスコミもそれを咎めなかった。
 田中内閣以降となると、もう高級官僚まで、国家反逆に手を貸すようになった。古い例では外務省による「対支侵略史観」の捏造があり、ややあたらしいところでは、大蔵省による金日成への兆単位の贈賄などが記憶される。それでも、誰も罰せられた者はいない。
 国家反逆罪の概念がないと、スパイ罪というのも、あり得ない。
 ところが、GSOMIAは、軍人だけでなく、民間人も例外なしに、その国の政府がスパイ罪で摘発したり加罰することを、大前提としている。
 これが締結されたのは、すごいことじゃないか。マック偽憲法下では、日本にはスパイ罪など、事実上、ありえないのだから、MDやイージスに関して「スパイ」を働いた者たちは、アメリカの国家反逆罪の慣習法的基準で、時のアメリカ政府の要請によって、訴追されたり、罰せられることに、必ずや、なっていくしかないだろう。
 日本政府は、これから慌てて日本製の独自のスパイ罪をちゃんと整備できるのか?
 できるわけがない。マック偽憲法などがてっぺんにあっては、国家反逆罪のコンセンサスがつくれるわけはない。したがってスパイ罪を無理にこしらえても、誰も訴追できず、誰も裁けず、誰も罰することもできない。不公平にしか運用されない悪法の見本となり、国民が法曹を蔑視するようになる。
 マック偽憲法の無効が即時に確認されない限り、こんご何十年も、マック偽憲法が支配する空間、すなわち、小沢的世界が続くのである。それが、こんどの参議院選挙で、アメリカにも分かったことだ。
 それなのにGSOMIAが結ばれた。もはや、MDは終わった。日本のメーカーの従業員は、これで金縛りだ。アメリカ国防総省の奴隷になるのだ。
 三菱と防衛省は24時間もまたずに決意を発表した。「神心」((c)北条氏長)を自力開発するぜと、東京新聞のなじみの記者を使ってアドバルーンを揚げた。もうそれしかないのだ。マック偽憲法+GSOMIAの法的環境の下で、F-22のライセンスなどをもしもコントラクトしたがさいご、三菱重工と電機の従業員は、完全にアメリカの奴隷にされるばかりだ。日本企業の最後のプライドをかけて、彼らはそれには従えない。
 朗報だ。ついに日本が戦闘機を自主開発する日が来た。
 これから、あたらしいケインズ主義が実験される。「軍事ハイテク一点かけながし」の財政出動による、景気の回復と、国税の増収と、国内産業構造の自律的メタモルフォーゼスが誘導される。将来型戦闘機のキモはソフトウェアである。金融事業の勝負のキモもソフトウェアである。
 MDとイージスの提携事業の故障が確実となった以上は、あとは日本の頼みの綱は核武装だけである。核抑止のキモもハードウェアではない。ソフトウェアである。
 夏休みなので武器オタクの中学生のために解説しておく。飛行機は経験技術のカタマリである。ロケットは飛ばない方がおかしいのだが、飛行機は飛んでいる方がおかしいのだ。だから技術後進国は巡航ミサイルではなく弾道弾に賭けるのが正解になるわけだ。日本独自のハードウェア・システムは、ざんねんながら、アメリカ製の飛行機には、これから逆立ちしても追いつけないだろう。細々したノウハウの蓄積が、もう桁違いに違いすぎるのだ。戦前も追いつけはしなかった。その理由は製造技術ではない。そもそもそのハードを撰んで良いかどうかを判定するという、開発のためのソフトの力の差なのだ。ひらたくいうと、理工系の文化の浸透度の落差である。戦前から戦後まで一貫して、日本がアメリカに負けてきた理由は、ソフトウェアなのだ。「何かをうまく開発する方法」のソフトウェアがあるのだ。それは理性への態度、学術の文化の違いに根ざす。そこにおいて、日本人は劣っているのだ。
 しかし幸いなことに、「無人機」を本気で開発するのならば、このハンデは、わずかだが、縮まる。もちろんアメリカのメーカーもF-22の次を見越し、無人機開発を始動させている。追いつくチャンスは、今しかない。今を逃したら、未来永劫、追いつけなくなろう。
 シナのおかげで石油の値段がいまの百倍になる時代も近い。そうなれば、航空用エンジンの経験のハンデも、チャラになるのだ。千載一遇のチャンスとはこのことだ。三菱にも、そこはよく分かっているだろう。