自我自惨

 『エヴィエーション・ウィーク』のサイトをみていたら載っていた Amy Butler さんの署名記事(2009-3-17付)。
 以下、ちょっと意訳してみます。
 ――ボーイング社は、韓国・シンガポール・日本・イスラエル・サウジ向けに、ストライクイーグル改である「サイレント・イーグル」を提案する。
 セントルイスのボーイング工場は、ジョイントストライクファイター提案でロッキードマーチン社に敗れたので、いまのところF-18の仕事しかなく、必死だ。
 セールスポイント。
 拡大したコンフォーマルタンク内にAAMと対地攻撃兵装を収納してしまう。
 燃料搭載量は犠牲となり、航続力は減る。
 大型の対艦ミサイルまでは収納できない。
 といっても、この新型タンクはボルトで着脱できるから、元のストライク・イーグルの姿にはいつでも簡単に戻せる。
 垂直尾翼は15度外に傾けてステルス性を増す。
 将来は、「ステルス・コーティング」でアンテナ部などの強い反射を抑え、またすでにF/A-18E/F のエンジン吸気口部にとりつけられているようなレーダー・ブロッカーも後付けをして、F-35並の正面被探知率にする。
 このような「サイレント・イーグル」は、韓国が最初に調達するかもしれない。F-15クラスのF-Xを60機、求めているからだ。
 ちなみに韓国はそれと別にステルスのKFXを独自に開発国産して120機配備する計画でもある――。【部分意訳おわり】
 これを読んでの偶懐。
一、航続距離が減るというだけでも日本式の用法にはそぐわなさそうですね。ステルス性よりも滞空時間=航続距離を劇的に改善する工夫はないんですか、ボーイングの技師さん。
二、エアインテイクのレーダーブロッカーやアンテナのコーティングなるもの、どうして国内メーカーは独自に工夫をしないのか。
三、ええ、わかってますよ。予算が取れないんでしょう。だったらどうして国民向けの啓蒙と対内宣伝を強化しないんでしょう、防衛省さん。
四、金丸長官以後、涜職構造が昂進してしまった防衛族=防衛省の世界は、DoDがとっくに開催しているような、安全保障テクノロジー系のブロガーを集めての会議を設けたとしても到底しょうのないレベルに当分はあるのだろうが、必要な予算獲得のための啓蒙宣伝を堂々と彼らに依頼することはできるはずだ。というか、若い内局官僚がとりあえずできることはそのぐらいだ。
五、防衛省は、軍事ケインズ主義がどうしてバラマキにはあたらず、日本の景気を救済し、日本の競争力を高められるのか、「経済が分かっている防衛通ブロガー」を集めて会議を開いて対内宣伝しないと、じきに一切が間に合わなくなるでしょう。
六、ついでながら、内局大臣官房広報は、TV局クルーと同等以上の映像取材便宜を、映像発信が得意なオタク系ブロガーに与えるべし。早くやるべし。
 じつは日本の敵はハードウェアで攻めてくる敵ではなく、日本と近代世界のしきたりを破壊するのが得意なので、その対策を講ずることなしには安全保障も独立もおぼつかないという話を、『予言 日支宗教戦争』で書いております。「サイレント・イーグルを買おう」などと反応してしまいそうな「分かってない」オタクは、『予言 日支宗教戦争』を購入するか最寄の図書館に注文し、「概況」から勉強いたしましょう。