花火がショボくなる予感

 韓国7-30のSLVに対抗して北鮮が黄海側で派手にやってくれるのかと思っていたら、またも日本海側になりそうなのか……。残念なような……。
 AFP通信が2009-6-27に、同日、北鮮が日本の偵察機を撃墜するぞと脅したという記事を流していましたね。
 まず北鮮が、6-25以降、16日間の、日本海側発射場沖への船舶の入りを禁止した。
 それで空自のAWACSが6-25と6-26に、元山とムスダンリの間に接近したらしい。
 それにスクランブルもかけられなかった北鮮は、くやしまぎれに、ウリの空域に0.001ミリメートルでも入ったら許さない、とか吠えたといいます。〈じゃあ仕方ないから0.00085mmくらいでどうっすか〉
 ワシントンでは、独立記念日(7-4)にハワイ方向に発射すると予測している――と、件のAFPは報じています。
 それで、しばらく静かだなぁと思っていたら、先日のシルクワーム日本海側発射ですよ。きっと、どこかの国の観測船でも接近したんじゃないでしょうか?(シルクワームについては、AFPが射程160kmと書いているんですけど、北鮮版の正確なMax値を知りたいですね。もちろん、当たる距離じゃなくて、脅かしの花火としてのポテンシャルですけどね。それでもたしかイスラエルのフネがヒズボラ――かどこかのNGO――から1発くらって4人死んだことが以前にあったでしょう。)
 となるとやっぱり日本海側のムスダンリ射場なのか。がっかりです。それではテポドンのついでに発射されるノドンやムスダンがまたしてもフルレンジを証明してくれない可能性が大きい。(さいきん、ますます、かのノドンとやらは、築城基地にまでは届いても、東京はおろか新田原にすら届かないんじゃないか、と疑うようになりました。どうもパキスタンの弾頭1トンのガウリ2=ノドンが1998-4-6に、パキ公式声明距離より200km短い800kmしか飛ばなかったことは、クレーター写真で判っているらしい。Azamという人が2000年発表のテキストでそれを書いていたそうです。1999-4の二度目の試射ではパキ当局じしんが750kmしか飛ばなかったと認めています。ノドンはそのご軽量化したとか言うけど、部材を軽くすれば構造が弱くなるおそれがあるんだから、それを一度、7割射程の実射で確かめないとね。)
 なぜか韓国発の情報に、北鮮のミサイルのレンジをヨリ長く、「大量破壊兵器」の威力をヨリ大きく思わせようとするバイアスがかかります。要注意です。彼らはたんに世界からの注目を半島へ集めたいがためにそんな誇張をしたいのだと疑うべきでしょう。
 BC弾頭があるという話もその一種。オウム真理教が開放空間で神経ガスを放出した松本サリン事件では直後に7人が死亡したけれども、障子一枚立てて寝ていた住民は無被害だった。地下鉄サリン事件は、混雑した密閉空間であったにもかかわらず、死者は12人にとどまった。BC兵器を大量殺人兵器にするためには、ヒトの肺胞に入りやすいサイズのミストを最適な高度で発生させる必要があるのです。ミクロンオーダー。これを実験なしにどうやって完成するのか? 北鮮がBC弾頭の空中爆発演習をしたという情報は、ガセも含めて一件もないじゃないか。
 一回も証明されていないレンジ情報やイールド情報がひとり歩きして、日本の国防政策を左右しているのですよ。まるで児ポ法案と同じ。国会議員に、疑う力が弱すぎる。まあ、マック偽憲法なんか奉戴していたら、そうなって当然でしょうけどね。
 余談ついで。米支の間ではもう、マイクロ・パラサイト衛星の暗闘が始まっているんじゃないかとわたしは疑ってます。これは数年前からの米支ASAT実験や公開報道の中期的な流れから直感していますことで、なんのソースもありません。そのつもりで聞いてください。
 ASATのシステムサイズを小さくしていくと、ついにはデブリ以下になる。米国政府によるデブリの監視は、宇宙監視用のXバンド・レーダーの直上を通過するものについては、野球ボール以下のサイズまでも軌道情報を把握可能ですが、そのXバンド基地のないところ(つまり北米と北欧以外のたいがいの地域)では、光学望遠鏡で偶然に見出せるデブリ以外は、追跡監視などなにも無いも同然の状況です。
 ということは、有力な観測所が存在しないような僻遠の海の上空で、親衛星からマイクロパラサイト衛星を放出してやれば、それはASATだと気づかれもせずに、デブリの霧の中にまぎれこむことができるでしょう。
 デブリは誰も意図しなくても各国の宇宙開発事業とともに増え続ける趨勢にあるのですが、シナのようにASAT実験で意図的に急増させてやることも可能です。それに同期させて、マザー衛星から偽装デブリのマイクロ・パラサイト衛星を放出してやる。そして米支開戦の瞬間に、小型モーターで軌道を変え、かねてからつけねらっていた敵の目標衛星(ラクロス、ナヴスター、DSPなどなど)に衝突させる。……こういう用法を、米支双方で研究してるんじゃないかとわたしは思います。
 ですので、この心配からも、わたしは自民党案(そのじつ三菱電機案?)のDSP投資には反対します。日本製DSP衛星など、開戦時どころか、平時から無力化される惧れが大です。「ナニィ、どこに破壊工作の証拠がある? デブリの衝突で勝手に故障したんやないかあ」とシナ大使から開き直られたなら、日本の外交官など、「はは~っ、おおせの通りでございますぅー」と引き下がるしかないでしょう。
 地上のOTHレーダーやXバンド・レーダーならば、こんな心配は要りません。やはり日本の国防政策の順番としては、まずOTHレーダーと、デブリ(に偽装したパラサイトASAT兵器も)監視ができるXバンド・レーダー基地を増やすことを、最優先すべきでしょう。