インドについてはモニターしていたつもりでしたが、米国内でこれほど盛り上がっていたとは、気づきませんでした。
『NYT』電子版2009-10-11社説。「Just Say No」。これはインドに対して警告する内容です。
いわく。もしインドが核実験したら、2008の米印合意に縛られている米国としては、対印の核燃料販売はできなくなるぞ。
インドがやれば、パキスタンも実験すると言うに決まっている。そうなったらパキ政府はもうタリバン討伐どころじゃなくなるだろう。
それに、そうなったら米国の包括核実験禁止条約の批准(これは連邦上院の特権。大統領は条約を調印して帰ってくることができるだけ)もパーだ。
なぜ1988の核実験を仕切った インドのK. Santhanamは、いまごろになって、あの実験はフィズル(fizzle)だったなんて言い出しているのか?
NYTいわく、邪推をすれば、インドは、米上院が核実験禁止条約を批准できない環境をつくろうとしているのだ。そうなれば、インドも条約調印を迫られないですむからな。
すでに182カ国以上が調印し、150カ国は批准もすませた。
が、条文が定めた9カ国が批准しないとこれは発効しない。その9カ国には米国、シナ、インドが含まれている。
オバマは上院を説得すると公言しているのだけれども、サンタナムが新しい実験が必要だと騒いでいるので、もうだめかもしれない。インドの原子力委員長は、シミュで十分だから実験無用と言っているが……。
そしてNYTの結論。インドは経済発展しろ――。
これについては、AFPの過去記事が早かったと記憶します。
2009-8-29の「Indian PM Denies Claims About 1998 Nuke Tests」という記事。
1988の核実験について最近疑いが……。シン首相は8-29にそれを否定。
なんと、核技師が、あれは部分成功にすぎなかったと言っている。
出力も公表より低かった、と。 水爆としてはFizzleであった、と――。
兵頭いわく。この1988インド実験もそうなんですが、直前のパキ実験はもっと疑わしいものなのです。近接した横穴トンネルの中で、5発一度に炸裂させた。そんな実験ってありますかい? ロクにデータなんかとれるわけないでしょ。
米ソのおびただしい核実験数にくらべて、インドやパキスタンの実験数は回数が少なすぎ、かつまた、その実験の「質」がムチャクチャなのです。
わたしは、インドもパキスタンも、BMで核を運用する能力はないだろうと疑っています。
印パは互いにハッタリのBMレースを続けているのです。
(もちろん北鮮については言うまでもありません。ノドンがそもそも東京には届きません。)
次。インドが350kmの液体二段式BM×2本の試射に成功したというニュース。vivek raghuvanshi記者、09-10-12、「India Tests Nuke-Capable Missile Twice」。
Prithvi-II を2発、 eastern Orissa state にて、 10-12に発射した。350km先の別々な目標に、うまく到達した。
弾頭は500kgまで可能。精度は within a few meters と国防省発表。
パキスタンの Hatf-III は、 range of 290 kilometers で、固体である。
他方で、インドの通常戦力は惨憺たるありさまだとか、その割にはオマーン軍の訓練もしてやっている地域の兄貴株なのであるといった新着ニュース、それから、ロシアが米ソ条約の切れるこの年末に複数弾頭の新BMを配備予定で、それが旧単弾頭ミサイルの改造(つまり条約違反)なのか否かの舌戦が展開中で、おそらくこうしたことがオバマ氏のノーベル平和賞と関係があるのだろうとも思いますが、当方多忙につき割愛。
なぜか米国内では、北京のレアメタル禁輸発表が、かなりの政治的奇襲だったようで、ヘルタースケルター状態で次々と対応が模索されている様子が伝わってきます。
まず2009-10-12のSHARON BURKE記者による「China Is Calling for Your Cell Phone」という記事。
タイヤ問題なんか吹っ飛ぶぜ。
液晶パネル、精密誘導弾、車載レーザ、航空機エンジンにもレアアース。
考えてみろ。10年前、インド人の 0.2 % しか携帯電話をもってなかった。今は4割、つまり4億人が持っている。米国総人口の2倍だぜ。
携帯つくるにはindium と gallium が欠かせない。ところがこれらは米国も100%輸入依存ときた。
WWIIは、the scrap metal と生ゴムが drives したのを思い出そう。※オイ、そこで日本が引き合いかよ! レアアースを獲りに米国がシナに戦争仕掛けるってのか?
次世代電池に必須の Lithium これは南米に集中。ボリビアに世界の埋蔵量の半分がある。
ブリキに使われる cassiterite【錫石】は中央アフリカに偏在。クリントン国務長官はこれに言及。
とりあえず米国にとっては 13 のminerals がcritical であり、別に 39 minerals について評価中。
同じテーマを別角度から。おなじみの JOHN T. BENNETT記者〔仏語読みすればジョンベネか。同僚から冷やかされとるんだろうな〕による2009-10-12記事「Battling a Mineral Monopoly――As China Tightens Grip, Molycorp Ready To Step Up」
いわく。シナは今や98%のレアアース酸化物をコントロールしている。※まじっすか?
しかし米国にも最後の希望があった。それが2002以降、半ば廃れている カリフォルニアのMountain Pass 鉱山だ。ここにレアアースがあるのだ。
このヤマの復活をペンタゴン/米政府は支援すべし。市場に任せておくと、シナ物との競争に勝てないから、経営がなりたたないからだ。
じつはアメリカには変な鉱山規制がたくさんあるのだ。環境にうるさかった時代の。採掘拡大の許可とるのに15年とか。
鉱脈がみつかるまでにも10年かかるんだ。期限30年とか。そんな縛りがあってはダメだ。緊急事態だ。政府の肝煎りでなんとかしろ。ヤマの再開には多額の資金も必要だ。政府が貸してやれ。
レアメタルを2万トン出ないと全米の需要を満たせない。同盟国分までとなったらその倍を掘りださにゃならん。
そこで兵頭いわく。日本も海水からレアメタルを回収する事業を始めたらどうだい。これがホントの ”sea change”【すっかりさまがわり。海潮による陸地の変形】 だわな。