あと 一ヶ月 に迫る! 7月17日は札幌講演会です。

 ストラテジーページの2010-6-16記事「The Hawk Turns North」。
  グローバルホーク RQ-4 が無着陸で太平洋を横断(加州から豪州まで23時間かけて)したのはわずか2年前であった。
 グロホの最新型バージョンは、滞空20時間である。着陸して給油&整備して再び離陸するまでの時間は4時間である。
 稼動成績は良好で、全機の95%はいつでも任務に投入できる。
 米空軍は年に5機のペースでグロホを調達している。単価は基本機体だけなら $35 million という計算なのだが、艤装品やら開発コストの按分も加算されるので、現実には over $120 million each となっている。
 グローバルホークの最新型= B version は、寸法が、Aモデルよりも1割大きい。すなわち wingspan が 42.3 meters、機体長が 15.5 metersある。
 そして、初期モデルより2トンも余分に器材を積める。
 発電機は5割増しパワー。
 最初期バージョンは、飛行1000時間ごとに1機が墜落するという散々な評価だったが、今は問題は修正された。墜落原因は、設計が至らなかったためであった。
 最初の3機の RQ-4B は2006に部隊配備。
 全重は 13 tonsあるから、commuter airlinerの Embraer ERJ 145と類似だ。ただし値段は2倍する。
 搭載している偵察器材は他のUAVとは別格で、ほぼ、偵察衛星に近似のシロモノ(特にAESA radar)なので、これも値段を押し上げる。
 高度60,000 feet以上を飛びながら、地表を精密に観測しようと思ったら、安い器材では役立たない。
 すでに米空軍はグァム島に、グロホの1個squadronを展開させている。このスコードロンには Global Hawkが7機ある。そして西太平洋を偵察監視中である。
 米空軍と別に、米海軍もまたGlobal Hawksを 44機調達している。
 その米海軍の運用評判が良いらしいので、オーストラリアもグロホを周辺海域監視のために買おうと考えている。
 欧州ではドイツがRQ-4を調達中。
 米国では別に NASA が2機を所有している。
 ※日本は北鮮のミサイル発射の早期警報機、すなわちDSP衛星の代用品としてグロホが使えるのではないかと一時考えていたが、いかなる赤外線センサーも雲を全く無視できるわけではなく、特にグロホの高度からでは、雲を斜めに透かし見るようになるため、雲の多い東アジアではほとんど役には立たぬと米軍では早々に悟ったように観測される。よってグロホの対BM監視バージョンも未だに存在せずしないのである。日本にとっての可能性としては、プレデター級の中高度長距離偵察機によって「雲下偵察」させる方法だけが現実的である。米国はこれから最新鋭の早期警戒衛星群を投入するので、その種の特殊偵察機を開発するモチベーションはあまり持っていない。
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 2010-6-16記事「The Shrinking Streitkrafte」。
  ドイツ軍 (Streitkrafte) は兵員を16 percent削減して 210,000にする。
 そしてその性格は国防軍というよりも平和維持派遣軍になっていくだろう。
 冷戦期には西ドイツ軍は400,000を常備していた。東独軍は250,000であった。
 東欧があいついでNATO加盟を欲している中、いまやドイツには「隣の敵国」が存在しない。そのため特にPanzertruppen (mechanized troops) に、やるべきことがなくなってしまった。
 1991から20年間で、東西ドイツは常備兵員を1/3に減じたのである。
 げんざい、ドイツがpeacekeeperとして国軍から割いて派遣している兵力は 10,000 にすぎない。
 ただし、アフガンに派遣している部隊の重装備要求が増えている。独政府としては、これに応える予算を捻出するためにも、本国の常備定員を減らしたいのだ。
 現在でもドイツは徴兵制を維持しており、兵員の4割は徴兵だ。
 しかるにその現役期間は、タッタの6ヶ月である。
 どうしても軍事活動を拒否したいという主義思想がある若者は、入営後、軍服を着用したまま、より長期の社会奉仕活動を勤めれば、兵役義務を果たしたと看做すという特別な制度も用意されているのだが、そんなコースを選ぶ若者はほとんどいない。そのくらい兵役が短い。
 現実問題として、6ヶ月しか営内にいない兵隊たちの上に成立している軍隊は、アマチュア軍隊に近い。
 現政府は、徴兵制そのものを廃止してしまいたいと望んでいる。将軍たちも、軍隊を志願兵だけで構成して、そのプロフェッショナル度を高めたいと欲している。
 これは、総定員を15万人以下に抑えれば可能である。ただし徴兵よりも志願兵は俸給を高くせねばならないので、今の年間国防予算 $37 billion は増額せねばならない。それには誰も反対しないだろう。
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 2010-6-16記事「Russia Seeks The Knowledge」。
  イスラエルがロシアにUAV技術をどのくらい渡すかについて交渉が難航中。ロシアに渡った技術は、ロシア製UAVの輸出を通じて、けっきょくシナや北鮮やシリアやイランに渡ることになるからだ。
 3年前、ロシアはイスラエルに無人機を売ってくれと初めてもちかけた。
 その結果、「Bird-Eye 400」「I-View MK150」「Searcher 2」を含む計15機が売られた。
 Bird-Eye 400 は、重さ 4 kgの micro-UAV で、80分飛行し、高度320mまで上昇でき、オペレーターから15 kilometers 離れた地点の映像を地上に送ってくる。
 I-View MK150 は 250 kgで7時間滞空。高度5,500 metersまで上昇でき、オペレーターから150 kilometers 離れても運用可能。ペイロード20kg。滑走路で離着陸できるほか、車両上から発進させたり、パラシュートで回収することも可能。
 The Searcher 2 は重さ500kg、滞空20 hours、高度7,500 metersでオペレーターから 300 kilometers離れられる。ペイロード120 kg。このクラスになれば師団の作戦を支援できる。
 ここまではいい。
 問題は、「Heron TP」をイスラエルがロシアに売るかどうかだ。ロシアはその国内生産まで希望している。米国のプレデターの同格機は、これしかないのだ。
 こいつは自重4.6トン、1,200 horsepowerの turbo prop engineで高度45,000 feetを36 hours 飛べる。この高度だと民航機とかぶらないから戦略偵察機としてじつに使い勝手がよい。
 だがロシアがヘロンの詳細を知れば、いずれロシアからシリアやイランへ、この偵察機の能力限界が伝えられることになる。その操縦を妨害する方法のヒントを敵に教えてしまうに等しいのだ。
 イスラエルもカネは稼ぎたいし……困っている。
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 Lisa M. Novak 記者による2010-6-16記事「Army awards $517M contract for high-tech surveillance blimp」。
  米陸軍は $517 millionをノースロップグラマン社に与えて、5年にわたって、新型の Long Endurance Multi-Intelligence Vehicleを納入させる。高度2万フィートを飛ぶ無人の軟式飛行船によって偵察をさせようというのだ。
 最初の1機は18ヵ月以内にアフガンの空に浮かぶであろう。
 大きさはアメフト競技場と同じくらい。
 レーダー、ビデオカメラ、センサーなど 2,500 pounds の偵察器材を搭載して、連続21日間も浮いていられる。
 無人機としても運用できるのだが、陸軍ではこれに人を乗り組ませて地上部隊とのフレキシブルな情報連携をさせようと考えている。ただし速度は80ノットしか出せぬから、間違った地域に入り込んだら生還は覚束ない。
 外殻嚢部は5年の寿命あり。
 これ1機で、12機のプレデターを代替できる見通しだ。
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 JUNG SUNG-KI 記者による2010-6-14記事「S. Korea Seeks Recon Planes by 2014」。
  今年中に内外企業を指名し、2014までに北鮮監視用の電子諜報偵察機を2機、作らせる――と韓国の防衛調達計画局(DAPA)。※ここは米DARPAの機能を持つ組織で、国費を使って国内企業にモチベーションを与えて先端兵器を競作させることもする。別に、防衛開発局 Agency for Defense Development (ADD) という部局もある。
 機体はガルフストリームか、カナダのボンバルディア社となろう。そこに搭載する電子偵察器材は、韓国のLIG Nex1 か Samsung Thales のどちらかとなろう。
 システム統合は、韓国唯一の飛行機メーカーであるKorea Aerospace Industriesか、大韓航空が請け負う。
 現有の韓国産の偵察機のBaekduの機能強化版になるだろう。
 Baekdu というのは、韓国空軍が4機保有している Raytheon Hawker 800XP のことである。
 4機の Geumgangs, 800XPs は合成開口レーダー。
 2012に米国から韓国は対外戦争の指揮権〔つまりは「主権」そのもの〕を返してもらえるので、そのための準備に大忙しだ。
 国内で開発したTactical EO/IR Reconnaissance Systemは数年以内に KF-16 fighter jetsに搭載されて、それを「RF-16」と称する。それによって既存の RF-4/5 を更新する。
 「n LIG Nex1」社は、黄海沿岸の自国の港湾内への侵入監視システム、Harbor Underwater Surveillance System (HUSS)をADDと共同開発。
 底置式で、音響と磁場の変化を捉えて水中侵入物をパッシブに探知し、さらにアクティヴ・ソナーを発射して、フロッグマンの侵入も阻止。
 「n Hanwha」はやはりADDと共同で Small Unmanned Ground Vehicle (SUGV) を開発中。重さは 26-kilogram で、市街地、トンネル、下水、洞窟に潜入して偵察してくれるロボット。
 K-7 9mm submachine gun ×1で武装し、時速 9 kilometers で自走する。
 「n Hanwha」は CROW という micro UAVも提案中。
 重さ 500-gram で wingspan は 70 centimeters 、全長は 50 centimetersしかない。最高500mの高度を時速90 kilometers で飛行できるという。
 手投げ発進、落下傘回収式である
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 ナショナルディフェンスの2010-6-8記事「Robots in Combat: A True Revolution or Just Techno-Hype?」。
  外交評論家のKaplan氏いわく。
 今進行中の軍事上の大変貌の本質は、ピーター・シンガー先生が強調なさるような無人機やロボットの多用そのものではない。米空軍が、いまやかんぜんに陸上戦闘の支援兵種として、任務の再認識をさせられつつあることなのだ。プレデター等のUAVは、そういう時代の要請に応える上での表面現象にすぎない。
 無人の偵察/攻撃機がスター扱いの注目テクノロジーとなっている理由は一つ。それが地上戦闘を大いに援けてくれるからなのだ。
 じつは、米空軍が60年前に米陸軍航空隊から分離独立した当初から、彼等は対地直協なんてことはしたくはなかったのだ。空戦や遠距離のインターディクション(侵攻阻止爆撃)や戦略爆撃だけをやりたかったわけで、その夢が、とうとう無人直協機の実用化のおかげで、叶いつつあるとも言える。
 1947 から 1982まで、米空軍の参謀長はぜんいん、戦略爆撃機のパイロット出身であった。82年から2009までは、戦闘機パイロット出身である。
 しかし現在の空軍参謀長は、異色にも、Air Mobility Command and the Air Force Special Operations Commandの出身。
 これは空軍に期待される任務の時代変貌をそっくり反映しているのだ。
 それに比較すると、地上軍に期待されとる任務は昔からあまり変わらん。陸上では、ロボットの出番はIED排除くらいだ。
 今日では敵は民間人の海の中に隠れておる。そこから敵ゲリラだけを弁別せにゃならん。こりゃ、ロボットには最も不得意分野じゃて。
 なぜ有史いらい、戦争の死傷者の半分は、敵との最初の接触において発生しとるか。それは、誰にも敵の戦力など正確には量れんし、まして敵の意図なんぞ判らんちゅうことなんじゃ。
 ロボットが人殺しの主役になることは将来もけっしてない。人殺しの主役はあくまで人なのじゃ。
 The Jetsons というTVシリーズを視て育った世代は、いまごろ、国じゅうに、腕時計内臓式カメラだとか、ビデオフォンだとかがありふれていると予測したじゃろう。しかし現実はそうなっとらん。それは技術的に不可能だからではない。人々がそれをそれほど便利だとは思わなかったっちゅうことなんじゃ。先端技術も、それが役立つ限りにおいて、普及するのじゃ。
 だから、地上戦闘ロボットなんてものも、普及しない。それが技術的に高度だからではなく、真の敵と中立住民と味方と敵の負傷者と敵の投降者などの自動識別が困難なために、必ずユーザーに面倒をかけることになるのがオチだともう知れているがゆえに、それを誰も欲しいと思わないからだ。
 iRobot Corp.社は生産能力を強化するし人ももっと雇うつもりだ。必ず需要があるんでね。そう言うのは、iRobot’s government and industrial robots divisionのpresidentである退役提督(Vice Adm.)のJoseph W. Dyerだ。※「兵器部門」と呼ばずに、「政府御用達部門」と言うのか。
 視覚情報の中からコンテクストを掴む――こんなタスクが、ロボットには、依然としてできないのである。