●「読書余論」 2012年10月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 陸軍兵器本廠『東京陸軍兵器本廠歴史 前期(自 明治元年 至 明治拾九年)』
 造兵史を研究する者にとり必読の一次史料。砲兵工廠の部外者向けの業務作業日誌のようなもので、陸軍省からの命令に関することは逐一、日付とともに記載されている。原本は毛筆。その面白い内容を今回から順番に抜粋します。まずはM19-12まで。村田銃の頃は照尺をすんなり仏式のメートルにできなかったこともわかる。薩摩は英式でヤードに慣れていたため、抵抗をしたのだろう。
▼木村哲人[のりと]『テレビは真実を報道したか』1996-1
 BBCの「やらせ」主義は戦前から有名だったこと。戦前に日本で公開されたドイツの宣伝映画と戦争映画。戦中に製作された日本の戦争映画。
▼斉藤光政『米軍「秘密」基地ミサワ』2002-3
 三沢ではロシアの何を傍受しているのか。デフコンの話。F-16とB61爆弾の話。
▼『歴史評論』No.519(1993-7)所収・小椋喜一郎「百姓一揆における鉄砲のあり方――明和六年令を中心に」
▼渡辺銕藏『交戦国の資本力と資源力』S15-2
 ドイツは鉄が自給できない。だから鉄鉱地帯のロレーヌが必要。フランスはロレーヌを守るためにマジノ線を築いていた。
▼木村荘十『戦闘指揮所』S19-2
 レンドバ雷撃戦の見聞記と、小説「ラバウル」。
▼天藤 明『珊瑚海を泳ぐ』S17-12
 著者は朝日新聞の海軍報道員。ウェーク島のブルドーザ・エピソードの真相が分かる。
 華僑は妻は故郷から呼び、けっして混血しない。
▼澤田 平『和時計――江戸のハイテク技術』1996
 ペリーから贈られた「コルト51ネービー」はコピー生産された。
▼塚田泰三郎『和時計』S35
 寛政8年(1796)の『機巧図彙』の名詞。
▼Otto Mayr著『時計じかけのヨーロッパ』1997訳刊、原1986
 アダム・スミスは当時最新式の「自動制御装置」を見て、『国富論』を思いついたのだろう、と。
▼小石 房子『流人100話』1988
 なんと大塩一族は、WWII後まで名誉回復されなかった。
▼『偕行社記事 No.241』M33-5
▼『偕行社記事 No.242』M33-5
▼『偕行社記事 No.243』M33-6
 南阿戦争で、英は、スチームショベルで塹壕を掘っている。また鉄道用に「戦車」のそっくり品も設計していた。
▼『偕行社記事 No.245』M33-7
 なぜ英歩兵の制服は美々しいか。徴兵制ではなかったため。
▼『偕行社記事 No.249』M33-9
▼『偕行社記事 No.250』M33-9
 南阿戦争までは、英軍こそが、銃剣突撃大好き軍隊であった。
▼『偕行社記事 No.252』M33-10
▼『偕行社記事 No.254』M33-11
 ボーア兵と「コマンドー」
▼『偕行社記事 No.257』M34-1
▼『偕行社記事 No.258』M34-1
 「霰発砲ノ研究」。過去史くわしい。
▼『偕行社記事 No.264』M34-4
▼『偕行社記事 No.266』M34-5
▼『偕行社記事 No.269』M34-7
▼『偕行社記事 No.271』M34-8
▼『偕行社記事 No.272』M34-8
▼『偕行社記事 No.275』M34-10
▼『偕行社記事 No.276』M34-10
▼『偕行社記事 No.287』M35-4
▼『偕行社記事 No.290』M35-5
 「機関銃隊の必要を論ず」
▼『偕行社記事 No.293』M35-7
▼『偕行社記事 No.380』M41-6
 「38式機関銃 使用に関する注意事項」他。
▼『偕行社記事 No.381』M41-7
 D弾とS弾。
▼『偕行社記事 No.382』M41-8
 「機関銃の沿革」。※外国記事だが、もし宮古湾海戦や箱館湾海戦でガトリングが使われていれば、両方に外人が同乗していたのだから、それが海外にニュースとして伝わらないはずはない。やはり宮古湾でも箱館湾でもガトリング砲は使われていなかったのだなと分かる。
▼『偕行社記事 No.383』M41-9
 機関銃の話。詳しい。
▼『偕行社記事 No.384』M41-10
▼『偕行社記事 No.387』M42-1
 近代の白兵戦の考察。
▼『偕行社記事 No.389』M42-2
▼『偕行社記事 No.391』M42-4
 旅順で日本兵は、腕だけをさしあげて銃を乱射した。
▼『偕行社記事 No.395』M42-6
 英軍のハミルトンによる日露の白兵戦評。
 ホーマー・リーの米日戦争SFの刊行を最も早く紹介している速報。
▼『偕行社記事 No.396』M42-7
▼『偕行社記事 No.398』M42-9
 小銃弾丸の体内での爆発現象がシャスポー弾で初めて生じたこと。
▼『偕行社記事 No.399』M42-9
▼『偕行社記事 No.420』M43-11
 旅順の手投弾の詳細。
▼『偕行社記事 No.421』M43-11
▼『偕行社記事 No.422』M43-12
 日本の制式手榴弾の見本となったと思われる外国製の手投弾。
▼『偕行社記事 No.426』M44-4
▼『偕行社記事 No.427』M44-5
▼『偕行社記事 No.430』M44-8
 日本の銃剣術や機関銃の話。
▼『偕行社記事 No.489』大4-4
 有坂成章が1月12日に死亡したので、その一代記。
▼『偕行社記事 No.725』S10-2
 武田の矢は、やじりをゆるく取り付け、体内に残るようにしていた。
▼『偕行社記事 No.724』S10-1
▼『偕行社記事 No.732』S10-9
▼『偕行社記事 No.733』S10-10
 「我が尖弾採用の経緯」。
 日光東照宮の「眠り猫」は左甚五郎作ではない。奥の院まで客を寄せるためのつまらぬ捏造物だ、と建築学の伊東忠太。
▼『偕行社記事 No.750』S12-3
 陸軍少将・小松八四郎による「世界無類の有阪〔sic.〕砲」という記事。※「坂」の字を分解すれば つちにかえる で不吉だと、明治前半、勝手に「阪」と変えられた人や地名が多かった。維新直後の欧化の世相についていけない庶民が精神不安だったことがその背景。漠然と不安な人心に、すぐ浸透するのが、こうした「庶民のおつむりでもわかりやすいオカルト」迷信なのであった。事情は今でも同じだろう。
▼『偕行社記事 No.751』S12-4
 山縣有朋の伝記連載。
▼『偕行社記事 No.486』大4-1
▼『偕行社記事 No.488』大4-3
 各国の小銃事情。管弾倉とセンターファイア実包の組合せはやはり暴発を呼ぶこと。
▼『偕行社記事 No.489』大4-4
▼『偕行社記事 No.492』大4-7
 台湾蕃族のブービートラップについて。
▼『偕行社記事 No.497』大4-12
▼『偕行社記事 No.736』S11-1
▼『偕行社記事 No.753』S12-6
 「鮮匪金日成と長白縣」という記事もあり。
▼『偕行社記事 No.754』S12-7
 中将・南部麒次郎による「兵器回顧談片」。
 旅順戦中に英人が毒ガス使用を勧めたという話。
▼『偕行社記事 No.756』S12-9
 シナ語の地名にはどんな意味があるのか。その村の名称から、景況地形もあるていど推定できるのである。これからまた日支戦争が起こるのだから、自衛官諸君には必習の教養だろネ。
▼『偕行社記事 No.757』S12-10
 初期の銃剣術の話。
▼『偕行社記事 No.758』S12-11
 予備役の大動員で軍刀と拳銃と双眼鏡が市場から払底。
▼『偕行社記事 No.759』S12-12
▼『偕行社記事 No.760』S13-1
 「典範用字例」で、濁点・半濁点をこれからは付けることとなった。
▼『偕行社記事 No.761』S13-2
 スペイン航空戦特集。人民戦線は旅客機を改造して重爆にしていたこと。
▼『偕行社記事 No.763』S13-4
▼『偕行社記事 No.765』S13-6
 本号より、外国語学の頁は休載となる。
▼『偕行社記事 No.768』S13-9
▼『偕行社記事 No.769』S13-10
▼『偕行社記事 No.770』S13-11
▼『偕行社記事 No.771』S13-12
 編集方針に「ドイツよいしょ」が露骨に現われる。
▼『偕行社記事 No.772』S14-1
▼防研史料 『軍用拳銃ノ沿革及諸元』/陸軍技術本部第一部銃器班、S8-8
▼防研史料 陸達第九十四号『二十六年式拳銃保存法』by寺内大臣・M36-11-14
▼一番ケ瀬康子・福祉文化学会ed.『高齢者生活年表 1925~1993』1995
 支那事変のおかげで一挙に日本の公的社会保険制度が整ったこと。
▼赤羽招魂社奉賛会ed.『工兵第一大(聯)隊史』S59
 装甲作業機の珍しい証言。
▼吉野裕子『陰陽五行と日本の民俗』S58
▼山崎英雄『死線』S57
▼『長谷川如是閑集』(ちくま)
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