「読書余論」 2013年12月25日配信号 の 内容予告

▼史學会ed.『明治維新史研究』S4-11(つづき)
 天正7年に二条城で信長が見たのは「地球図」であって地球儀ではない。
▼杉原・天野『横浜のくすり文化』H6-1
 応仁の乱以後、金創医が登場した。まず気付け薬を与え、次に血止め薬。
▼加登川幸太郎『三八式歩兵銃――日本陸軍の七十五年』1975
 松下芳男の『軍政改革論』は、陸軍は北鮮国境と内地海岸を警備するだけでいいからもっと軍縮すべきだというもの。
▼防研史料 『昭和2年度 陸軍造兵廠歴史』by陸軍造兵廠総務部
▼岡沢正、他『告白的「航空化学戦」始末記』1992-10
 持久ガスは、一度だけ、S12-12の保定会戦で、6Dが、敵の後退路にイペリットを撒いたという。
▼長瀬鳳輔『巴爾幹の将来』大9
▼『偕行社記事 No.197』M31-7
 新弾丸の威力をテストするための人間の死体の準備方法。
▼防研史料 『火工部(料薬火工兵器関係)』
 海軍機が夜襲のときに使用したさまざまな火工品の試験や実験、表。
▼防研史料 『JR爆雷』
 磁気感応爆雷である。
▼防研史料 『火薬火工兵器』海軍省教育局S14-4-1
 揚子江での対機雷処理には、鉄鎖を切るための加工品が必要だった。それを帝国海軍はいかに工夫したか。
▼防研史料 『基地関係綴』S18~20
 元海軍大佐の永石正芳が作成した細字ビッシリのおそるべき資料。敗戦間際に本州に建設した海軍関係の滑走路の諸元がぜんぶ網羅されている。航空基地にとって、最寄の鉄道駅が大事だったことも分かる。桜花四三乙型(有人地対艦ミサイル)の発射陣地選定に関する、S20-6-14の方針も貴重。
▼佐伯正明ほか著『恐怖の人間爆弾「桜花」発進準備よし』1991
 光人社のリバイバル戦記コレクション。航空特攻は「単座機」がシステムとして効率的であり、多座機を道連れとしてしまう初期の空対艦型の桜花は、システムとして大失敗だったことが、あらためて得心される。
▼『放送五十年史 資料編』S52-3
 NHKは戦時中、米軍のサイパン放送に対して、S19-12-26からS20-8-29まで「防圧放送」を実施した。ノイズ・ジャミングである。
▼日本放送協会『放送五十年史』S52-3
 BBCはS18-7から、サンフランシスコから日本語放送を開始している。
 4発機は、エンジン音が、うなりとうなりの間に3拍子休止が入るように聴こえたので、味方双発機と区別することができた。
 オールウェーブ受信機はS20-9に解禁された。
▼大野貫二『わが国対外無線通信の黎明期』S51-3
 WWIまで米も、英のワイヤとワイヤレス資本の風下だった。これではいかぬと、国策会社のRCA=Radio corporation of America を設立。
▼郵政省通信政策局ed.『情報通信ジャーナル』1997-8月号
 埋設ケーブルは、水害には弱い。土砂ごと流されることあり。
▼『國際電氣通信株式會社史』S24-9 非売品
 在外の外交官や特使と、有線によらずに無線で連絡を取り合うことができなければ、そもそも外交交渉などできやしないのだということに、日本は列国の中でいちばん気づくのが遅かった。あわてて特殊会社をスタートさせた、その経緯のすべて。
▼アンソニー・スミス『ヨーロッパの新聞と助成政策』S52
 オランダではいかなる宗教・政治団体も、みずからのテレビ局やラジオ局を創れる。
 スイス新聞は第一面に論評があり、どの政党に投票すべきか、繰り返しアドバイスする。
▼R.N.ヤン他『オフロード車両の走行力学』
 デュアル・タイヤから、シングルの大型タイヤに変えると、全接地面積は減少するが、浮力(flotaion)や機動力を改善できる。
▼郵政省 電気通信局 電波部 移動通信課・監修『マルチ・メディア・タワー ガイド』H2-2、(株)ペーパーハウスpub.
 大都市部で高周波の移動体無線を実現するためにはGL300mタワーが必要だが、ビルの屋上にそんなものは建てられない。だから共同タワーが必要になる。
▼綱島理友『東京タワーのペンキ塗り』1993
▼大瀬甚太郎『続欧州教育史』大8repr. 初M40
 ドイツの19世紀初めの教育者は、貧困層出が多かった。
▼H・G・シェンク『ロマン主義の精神』
▼オットー・ヒンツェ『身分制議会の起源と発展』
 自治都市的な構造の国は、身分議会制を排した。
▼佐藤栄一『核防条約』
 中共の陳毅副総理は、1965-9-29の記者会見で、AA諸国の核保有国が多くなれば、事態はいっそうよくなる。シナはそれを望む、と。
▼Glanville Williams『イギリス法入門』原1982
 コモンロー上は妻の財産権はなかった。そこでエクイティ上に設定された。
 英法廷では、立つと座るとに関係なく、手は体側につけてしゃべること。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
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 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
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