●「読書余論」 2014年5月25日配信号 の 内容予告

▼ジュール・ヴェルヌ著『動く人工島』(創元文庫の5版)
 ひょっこりひょうたん島の祖形のSFは1895年に書かれていた。その時点から、1900年の米国の技術や政治を占ってみたもの。米国はカナダとメキシコを完全に占領併合している、とヴェルヌは予測した。
 イギリスがアンチル諸島をフランスにゆずりわたさざるをえなくなったとき、いやがらせに数百匹の毒蛇を置き土産とした。それまでマルチニック島には蛇はいなかった。
▼徳川夢声『夢声戦争日記(四)』中公文庫
 この巻は、S19-1月から6月末まで。
 老眼鏡のレンズで煙草に火がつけられる。それも楽屋内の光で。
▼防研史料 『昭和12年度~14年度 陸軍造兵廠歴史』
 昭和14年度にコルトポケット拳銃を工廠でコピー量産していたことなどが分かる。
▼津野田是重『旅順に於ける乃木将軍 斜陽と鉄血』大15-1
 著者が乃木の拳銃を借りて海鳥を狙ったところ、一発も当たらず。
▼フランク&ハリントン『ミッドウェイ――空母「ヨークタウン」の最期』1976訳pub. 原1968
▼防研史料 毛塚五郎『東京湾要塞歴史 附属年表(稿)』S38
▼防研史料 藤沢一孝『明治維新以降 本邦要塞築城概史』
▼防研史料 毛塚五郎『東京湾要塞歴史(1)』
▼杉浦一機『《改訂版》空港ウォーズ』1999-9、初版1995
 C-54型輸送機で4万5000人の将兵を米本土から日本へ空輸しようとすれば、200機でも2週間が必要だった。今は、C-5×35機とC-141×35機により、半日でその輸送が終わる。
 新千歳は、成田よりも800km、欧米に近い。
 新明和工業は、離島間の旅客輸送に的を絞った水陸両用機SS-2(40人乗り)の構想をもっている。
▼原田勝正・監修『日露戦争の事典』
▼坂本勲『歴史を面白く語る人々』H3
 立川文庫の第40編が、猿飛佐助。これぞ第一回の忍術ブーム。清海入道は猪八戒であり、霧隠才蔵は沙悟浄であった。
 現・講談社の敷地は、もと、山田顕義邸である。
▼小寺融吉『芸術としての神楽の研究』S4
 神楽は、神に見せるもの、と解釈するのは近世の附会。本義は、神が現われたものだったのだ。右手に持つ鈴は楽器ではなく、神の声。太鼓も同じ。しかし笛はあきらかに、楽器にすぎない。
 神楽は、古事記や書紀よりももっと古かったのであり、したがって、もしもそこに記紀のキャラが出てくるようだったら、それは比較的新しい創作にすぎず、古態を伝えたものではない。
 歌舞伎で「手をひらいて出す」動作。これも神楽から在る古い様式なのだ。
▼今川徳三『八丈島流人帳』S53-1
 著者は甲府の出身で、近藤勇についての大衆文芸を書いたこともある。
 青ヶ島は、もともと鬼ガ島といった。それは外聞が悪いというので、青ガ島という字、「おうがしま」という発音にした。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
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