中共は「サハリン『独立国』化運動」を けしかける

 つくづく日本はオイルもガスも出ない国でよかった。
 そんなものがもし「X県」にだけ偏在したら、X県民は「X国」として分離独立しようと騒ぎ出したにきまっているからな。
 なにしろ石油か天然ガスがふんだんに出てくるのなら、その地方の税源はその販売事業に課税するだけでもぜんぶ足りてしまう。年金問題も一切解決。一般住民はオール無税。水道料金も電気代も自動車燃料もメチャ安になるだろう。
 人びとが独立したくならぬ理由が何もない。
 スコットランド人が独立したくなるのも当然だよ。もし北海道沖に巨大油田が噴出してたらどうなるかを想像してみって。
 沖縄県民、ざまあみろ。尖閣沖の海底に大油田なんかありゃしねえんだよ。あったら台湾が死に物狂いで獲りに来てるって。
 「イスラム国」も、石油のあぶく銭がつくった。シリアとイラク北部の油田には昔から「密輸出ルート」がある。トルコやヨルダン国境を、堂々とタンクローリーで超えられるんだ。国境の衛兵にカネを掴ませれば、簡単にパス。もちろん原油の売価は超ダンピング。5割、7割引きで捌くのもあたりまえ。ちゃんとそうした違法物資の転売ルートが、中東には昔からととのいまくっている。そしてそのくらいダンピングしても、売り手のISILの手には、1ヶ月に300万ドルも入ってくる。その他、身代金稼ぎと、新占領地の財貨や古美術品の転売でも稼いでいる。しかし大宗は石油だ。石油のおそろしさがわかるだろう。だからシェール革命というものが起きたあとでも、米国は、一瞬たりとも全世界の産油地帯から目を離すことができず、これからも中東にも、ずっとコミットし続けなければならないんだ。
 この月収300万ドルという値から逆算して、1人の兵隊とその家族に月給100万円を支払えるのがイスラム国の強みなのだとすれば、ISILのコアメンバーは1万人で、そこに吸引されてきた他の貧乏ゲリラグループも合計しても3万人弱の勢力だろうってことが、推定できるわけだ。
 そして、彼らが、あらたな油田を占領することができなければ、これ以上、「イスラム国」の兵隊は増えない。支払える給料の原資が増えないからね。サウジはホッとしているだろう。
 スコットランドが独立すると、西岸のFaslaneに1箇所しかない英海軍のSSBN用軍港と、その8マイル内陸にある核弾頭保管工場から、英国は、スコットランド国政府のいうとおりに、2020年までに出て行かなくてはならない。
 代替地は、無い。水深の深い軍港をひとつつくるのに20年弱かかる。そしていまどき、核兵器整備工場をうけいれてくれる村など、イングランドのどこにもありはしない。
 そこで、SSBNのメンテをずーっと依存してきている米国ジョージア州のキングズベイ軍港を母港化したらどうかという話がでている。だがそうすると、英国が独自に4隻のSSBNを建造して維持し、トライデントSLBMを米国からリースしてもらい(この紐帯はポラリス時代から続いている)、自前の弾頭を装着して、NATOのために対露抑止力を提供している意味が、もうぜんぜんなくなってしまう。
 だがロシアはこれを見て笑ってはいられない。
 次にあぶないのはサハリンだからだ。サハリンは、いつでも独立できるのだ。石油とガスがある。とうぜん、シナ人はそこに目をつけて、まず内部運動をけしかけたいと思っている。そうはさせちゃなんねーと、プーチン氏は絶東に次々と最新の艦艇を送り込んで、「モスクワは決して絶東住民の福祉をあとまわしにすることはない。軍事面でも投資し続ける」とアピールに出精せにゃならぬ。フランスから買う予定だった『ウラジオストック』(ミストラル級)の目的も、サハリン独立運動の制圧にあった。その商談はペンディングされている。シナ人は「大チャ~ンス!」と思っているかもしれない。
 石油は、どうみても、日本人以外のすべての国民を不幸にしているじゃないか!